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第210話

Auteur: 笹しぐれ
自己防衛のために録音の習慣をつけて以来、この手は何度試しても役に立った。

「本当に私に何かするつもりなら、この録音を公開します」夕凪は淡々と言った。

知景は桐生グループの副社長にまで登り詰めたが、その野心はグループの掌握にとどまらず、さらに上を目指している。だからこそ、彼女が何より気にするのは自身のパブリックイメージだ。信用や評判に傷がつけば、これ以上キャリアを築くことは難しくなるからだ。

「この……っ!」

知景は怒りのあまり体を震わせたが、夕凪をどうすることもできなかった。

夕凪は静かな口調のまま続けた。

「先ほど申し上げたとおり、私と司さんがどうにかなることはありません。私は約束を守ります。そして、これからも涼崎に残り、働いて暮らしていきます。

知景さんが私に干渉しない限り、私も何もしません。でも、私の仕事や生活を脅かすような真似をするなら、この録音をSNSで公開し、マスコミにも送ります。私から申し上げることは、これだけです」

知景は夕凪を見つめたまま、不意に胸の奥を強く突かれたような感覚を覚えた。

ほんの少し前まで、知景は夕凪のことを、平凡な顔立ちに地味な服をま
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Commentaires (2)
goodnovel comment avatar
sayu
さすが夕凪!! これ以上不利にならないように、警戒を怠らない頭の良さ…竣や周囲の浅はかさにしっぺ返ししてやれ!
goodnovel comment avatar
Rims
でもここまでやれて、ここまで評価されると、 夕凪に期待しちゃうな!
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