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第61話

Auteur: 笹しぐれ
夕凪は、胸の奥で張り詰めていた息をそっと吐き出した。誰よりも自分を可愛がってくれた静江の声を、聞き間違えるはずがない。ただ、峻の番号から静江の声が聞こえてきたせいで、一瞬だけ状況が飲み込めなかったのだ。

「おばあさま、どうしてその番号で……」

夕凪の声は、そこで途切れた。

すぐに思い当たった。峻は今、静江のすぐそばにいるのだ。

案の定、静江は待ちきれない様子でまくし立てた。

「もう、峻があんたを見つけたって言うじゃないか。私がどれだけ心配していたか、あんたには分からないだろうね。だからつい、峻のスマホを借りてかけてしまったんだよ。どうしても声が聞きたくてね」

夕凪はすぐに返事ができなかった。

静江にどう向き合えばいいのか、まだ心の準備ができていなかった。この二ヶ月間、なぜ姿を消していたのか。峻との離婚の手続きを進めていることを、どう話せばいいのか。

頭の中が千々に乱れ、言葉がまとまらない。

その時、電話の向こうで、男の低い声が割り込んだ。

「おばあさま、電話では話しきれません。来週、会った時にゆっくり話せばいいでしょう」

来週、会う?

いったい何の話だというのか
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
makinori
自分に尽くしてきた妻を、前科者にしといて、今更愛しいとか、、最低なクズ夫ですね!
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