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第 15 話

Author: 藍葉
陽太とは一年以上前、前の上司の接待に同行した際に知り合った。

それ以来、ずっと付きまとわれている。

しょっちゅうプレゼントを送りつけ、まるで落とす相手として見ているかのように、追い続けている。

琴音はベルベットの箱を手に取り、中から星形のダイヤモンドブレスレットを取り出して目の前で揺らした。

「これも処分するの?最新コレクションのブレスレットだよ。『君という星』シリーズ。一千四十万円もするのに」

その時だった。

健司が部屋へ入ってきた。隣には美しい女性を連れている。

そのオーラと身なりからして、やり手の女性社長のような雰囲気だ。

綾香はすぐに給湯室へ避難した。

美咲もついてきて、意味ありげに彼女の腕をつつく。「あの美人さん、もしかして将来の社長夫人だったりする?」

「さあね」綾香は無表情だった。

先日は白川家のお嬢様。今度はあの気品ある美女。この先まだ何人出てくるか分からない。やっぱり男は金を持つと変わるものだ。

しばらくして、綾香はコーヒーを二杯持って応接室へ向かった。

部屋では健司とその美女は並んでソファに座っている。健司は足を組み、気だるそうにくつろいでいた。

「あなたの秘書さんたち、みんな美人ね。人気があるのも納得だわ。そりゃ黒崎社長も、東雲グループをいきなり買収しちゃうよね」

南條星良(なんじょう せいら)は笑った。さっき秘書室で見た大量の花束と、あのきらびやかなブレスレットを思い出しているのだろう。

「わざわざ帰国して俺をからかいに来たのか?」健司は冗談めかして言った。「もう少し遅く戻ると思ってた」

「逃げられたら困るから急いで追いかけてきたのよ」星良は笑った。

「社長、コーヒーです」綾香はノックして入室し、二人の前にそれぞれコーヒーを置いた。

すると女性が突然尋ねた。「あなたが綾香さん?」

綾香は一瞬戸惑いながらも答えた。「はい、そうです」

女性は笑顔で名乗った。「私、南條星良。会えてうれしいわ」

何これ?

現カノと元カノの顔合わせみたいなもの?

「こちらこそ、お会いできてうれしいです。では、これで失礼します」綾香は無理やり笑顔を作り、その場を後にした。

「今回は長く瑞原市にいるの?もう出て行かない?」星良が尋ねる。

「行かない」

健司の表情が少し柔らかくなった。今回は綾香のために戻ってきたのだから。

彼はコーヒーをひと口飲み。だが次の瞬間――

甘すぎる。

あまりの甘さに危うくむせそうになった。

あの綾香、絶対わざとだ。

「あなたの弟も瑞原市に戻ったみたいよ。最近は潮見市でいろいろ動いてる。何か大きなことを企んでるんじゃない?」星良がふと思い出したように言った。

「好きにさせておけ」健司は落ち着き払っていた。「黒崎グループがあいつのものになることは絶対にない」

誰が想像しただろう。健司がF国・黒崎グループの後継者だったなんて。

世界屈指の名門財閥だ。その事実は綾香ですら知らない。

だが彼は黒崎グループに入らなかった。

星良の協力で最初の資金調達に成功し、自らのビジネスセンスと才能だけで、わずか四年で世界的金融企業、北条キャピタルを築き上げたのだ。

六歳の時、父親は愛人との子どもを家へ連れて帰ってきた。怒った母親は彼を連れて瑞原市へ移り住んだ。それから彼はずっとそこで育ち、綾香と出会い、恋に落ちた。

彼女との未来を切り開きたくて、大学卒業後すぐに起業した。だが、成功する前に彼女は彼を見限って、彼を自分の世界から追い出したのだ。

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