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第36話

Auteur: 霜晨月
last update Date de publication: 2026-01-07 18:29:41

森を抜けると、沼沢の広がる原野に出た。雨はとうに上がり、暗紅の空には血のような月が懸かり、大地を血の海へと染め上げていた。

空気は重く湿り気を帯び、胸の奥底までじわりと沈み込んでくる。それはあたかも、誰かの悪夢の底へ足を踏み入れてしまったかのようだった。

颯斗が駆け出して間もなく、この世界に来て初めての敵と遭遇した。

それが敵であると確信できたのは、二人の前に立ちはだかる者が、小柄で背の曲がった、尖った耳を持つ異形であったからに他ならない。

それは明らかに――。

「『ナイトメア』だ」練が険しい表情で呟いた。

「いやいやいや!どう見てもゴブリンだろ、霧生さん!」颯斗が即座に言い返す。

そういえば、睦弥は転向する以前、王道ファンタジー漫画に傾倒していた時期があり、その画風も西洋ファンタジー寄りであった。彼の描く物語には、こうしたゴブリンに似た怪物が頻繁に登場したものだ。

それにしても、魘とは一体何なのだろう。

「心界に現れ、人を襲う怪物の総称だ。姿形は患者の記憶や恐怖に左右されるが、その本質は同じ――精神汚染が凝縮して生まれた、敵性反応体に過ぎん」

練の言葉が終わるか終わらないか
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