LOGIN目が覚めれば病院のベッドの上。俺は誰かに助けられたんだね。おや、お客様みたいだねぇ~。やっと本当のお客様みたいだ。俺は腕に付けられている点滴の針を外す。息を殺して部屋に入ってきてるけどさ「部屋に入るならその殺気消した方がいいよ」俺はそう声をかける。「チッ」そんな舌打ちと現れたのは神谷。「ようこそ、いらっしゃ~い。神谷くん。それとも…佐久間亮一くんって言った方がいいのかな?」俺は組んだ脚に肘をつき言う。「なんでその名前を…」神谷もとい佐久間が驚く。「んふふ。俺を唯の飾りだと思った?残念でした。亮一くんは渡の弟だもんねぇ~。しかも恋人だしね」俺は淡々と言う。気付かないわけないじゃない。「お前の口から渡の名前は聞きたくない!」佐久間はそう怒鳴る。「んふふ。やっぱり?あの日、ZEAのメンバーの中に紛れ込んでたのは褒めてあげるよ。でもね。まだまだ甘いね。亮一くんも。俺たちを騙せないよ?」リーダーである翔太がメンバーの顔を覚えてないはずがない。わかっててあの場所に来たんだからね。翔太も意地悪だよね。あの場所の中がどうなってるかわかってるくせして連れてきてるんだもん。まぁ、それだけ翔太も怒ってたんだけどね。だって、翔太も佐久間渡がどういう男だったのかって知ってるんだもん。「お前なんか殺してやる」佐久間はそういいながら腰からナイフを取り出し俺に向かってくる。「血の気の多いのは兄貴譲り?」俺はそう言ってベッドから降りる。その拍子に点滴が倒れてガシャンと派手な音を立てた。ありゃ…。静かにするつもりだったのになぁ~。「だからお前の口から兄貴のことは聞きたくないつっただろ!」ナイフを振りかざし佐久間がいう。「その攻撃方法も教わったんだろ?渡にさ。あ~そうそう。俺を陥れようと拓真に近付いたみたいだけどちゃんと相手してもらった?」俺は窓辺に凭れいう。佐久間がそのままナイフを翳し突進してくる。俺の頬をかすめて窓ガラスが割れる。「お前…何者だ?」佐久間が呟く。俺は小さく笑った。さすがに今の騒ぎで看護婦たちがやってくる。まぁ、結構派手な音がしたもんね。「織田さん。一体なんですか…きゃー!」あらら。めんどくさくなったなぁ~。「ん~。危ないから来ちゃダメですよ~」俺はそう言って手を振る。「貴様」佐久間がナイフを動かす。俺はそ
学校ってこんなにつまらなかったのかな?俺はボーっと授業を受けながら考える。教室内に聞こえる声が只の雑音にしか聞こえない。こんなもんなのかな。ほんと俺一人取り残された気分。ってか取り残されてるんだっけ。俺の時間はあの日止まったまま。渡が転校して来たあの日に止まったまま。動き出すことはない。もっとも動かす気もないけど……壊れた人形が誰にも迷惑かけずに壊れていくだけ。だから別にいい。このまま壊れて無くなってしまえば誰にも迷惑掛からないでしょ?両親ですら俺を捨てたのだから……。だからそれでいい。俺がどんなに壊れても誰も気付かない。それでいい。誰も気付くことなく俺は壊れてしまえばいい。俺は窓の外を見る。この席でこの景色を見るのも後何回あるだろう。あと、どれだけこの景色を見て過ごすんだろう。俺の心の中では決心がついてる。でも今はまだ時期じゃない。もう少し……我慢しなきゃね。でなきゃせっかく張った網の意味が無い。きっと親子の縁も完全に切れるかもね。あの父なら……。子供のことより自分の名声の方が大切なんだから……。まぁ殴られるの覚悟しといた方がいいのかなぁ~。意外に血の気が多いしね。なぁ。翔太。お前はどうする?俺が消えたらお前はどうする?蒼華が消えたらお前はどうする?なんてな。いわねぇよ。俺はお前にも言わねぇよ。全部隠してくからな。今までありがとね。ほんと……俺に付き合ってくれてさ……ありがとな。でもこれで最後だからさ……だからごめんな。俺は溜め息一つつき窓の外を眺め続けた。授業が終われば俺はさっさと教室を後にする。その方がみんなにはいいからさ。「蒼樹」その声と共に腕を掴まれた。「何?」俺は溜め息をつき振り返る。相手は翔太。「今夜…正輝さんとこでいつものやつやるんだけど…お前来るよな?」あぁ。もうそんな時期なんだ。「悪いね。今年は俺不参加」俺はそんなのに参加しなくてもいい。「どうして! お前がいなきゃ意味ねぇだろ?」翔太が聞いてくる。俺はもう一度、溜息をつき「俺がいなくても平気じゃん。それに蒼華は消えたんだ。だから俺は参加しない」翔太の手を解き言う。「んでだよ! なんでそうなるんだよ!」翔太が俺を掴み言う。「翔太。俺とお前の住む世界は違う。もう俺に構うな」俺は翔太の手を解
『2-Aの織田蒼樹。大至急生徒指導室までこい』あ~らやだ。吉田ちゃんからのラブコールだわ…。な~んてね。判ってたことだけどさ。俺は背伸び一つしてのんびりと生徒指導室まで向かった。「織田はいりま~す」そう声を掛けて扉を開けると物凄い厳しい顔をした吉田がいた。「説明してもらおうか。この答案用紙の意味を…」吉田はずらっと俺の白紙答案を並べ言う。「説明ってそのまんまですけど?」俺はとぼけてみる。本当はわざとだけどさ。「あのなぁ。そんな嘘が通じると思うか? 今までずっとトップクラスの奴がいきなりこれはないだろ?」さすが吉田。伊達に先生をやってるわけじゃないんだな。「先生。冗談じゃないんだけど? 俺マジでこのとき頭真っ白状態。だから答えなんてわからなかったんです」俺はあくまでも嘘を貫き通す。「お前な。授業まともに受けてないお前がいつもトップになってるんだぞ? そんな嘘が通じると思うか?」あらやだ。俺が授業まともに受けてないのも知ってるよ。さすが吉田だねぇ~。「は~い。せんせぇ~。俺は嘘言ってませ~ん。ねぇ。先生。俺にとってテストなんてただの紙切れでしかないって知ってるでしょ? ほんとに今回は俺調子悪かったし…全然答え出てこなかったんだけど?」俺はそういう。吉田は大げさに溜め息をつき「あ~も~いい。わかった。追試は真面目に受けろよ」そう言って解放してくれる。「追試も意味ないけどね」俺はそう呟き部屋を出た。どこから情報を得たのか俺が白紙答案を出したと全校内に伝わった。「よっぽど暇なのな」俺は呟く。「織田くん。ちょっと付き合って」急に呼ばれたと思ったら雅だった。「何?」俺は聞いてみる。「うん。いいから付き合って」雅はそれ以上言わない。俺もそれ以上は聞かず着いていった。雅が向かったのは生徒会室。つくづく俺ってここに縁があるのな。雅はソファに座ると「織田くんもここに座って」自分の隣を叩いて言う。はてなんでしょうか? 俺は言われたまま隣に座ると雅はいきなり俺の頭を自分の膝の上に乗せた。「み…雅?」俺は意味がわからず聞き返すと「寝不足。顔に出てるよ。僕の膝で悪いけど少し寝てよ」やっとそう説明してくれる。「え~。雅の膝を借りたら清に殺される~」俺は冗談で言う。「大丈夫だよ。それより寝ないと無理やりにでも寝かすよ
「あ…あの…織田さん」生徒会室から帰る途中で呼び止められた。「何?」俺は振り返り聞いてみる。「なんでなんですか? なんで苗代さんや金城さんと仲悪くなったんですか?」なんてまぁ~相変わらず直球で来るねぇ~「関係ないだろ?」俺はそう答える。これは俺たちの問題。だから他人にとやかく言われる筋合いはない。「どうしてですか? あんなに仲良かったのに…それに…金城さんと付き合ってたんじゃないんですか?」あ~も~イライラする!「るっせぇ~よ! どうしようが俺の勝手だろうが!」俺はそう怒鳴ると同時に廊下の窓ガラスを割っていた。「何だ今の音は」騒ぎを聞きつけた教員がやってくる。「先生。ごめん。転んだ時にガラス割っちゃった俺」俺はそう誤魔化す。「お前は…兎に角保健室で怪我の手当てしてこい」俺の手を見た教員が言う。「へ~い」俺はそう答える。紅く染まった手は痛みすら感じない。「俺がどんな気持ちであの二人から離れたかお前らにはわからねぇよ…」俺はさっきまで俺を問い詰めていた集団に呟く。「え?」「織田さん?」「先輩?」俺の呟きが聞こえた生徒が振り返り問いかけてくるが俺は無視をした。「先生お時間いいですか~」俺は保健室の扉を開け聞く。意外に保健室でやってる連中いるからね。「今度は何?」あら今日は大丈夫だったのね。「これ治療してくださいなぁ~っと」俺は怪我した手を見せる。保健医は大きく溜め息をつき「織田くん。自虐趣味? 外の水道で洗ってらっしゃい。それからよ治療は」呆れ顔で言う。「あら? そう見えます?」俺はそう言って保健室を出てすぐにある手洗い場で血を洗い流す。「ほいじゃお願いしま~す」また保健室の中に戻り手をだす。「破片はないみたいね。今度は何をやったの?」傷の手当てをしながら聞いてくる。「躓いてこけそうになってガシャ~ンって感じかなぁ~っと」俺は冗談交じりに答える。「はいはい。そういう事にしとくわ」保健医はそう言い包帯を巻く。「せんせ…ここでする時は鍵掛けた方がいいっすよ? 因みに口紅が歪んでます」俺は小声で言う。「な…や…嘘…」保健医は慌てて手鏡を見て口紅を直してる。「ほいじゃお邪魔しましたぁ~」俺は何食わぬ顔で保健室を後にした。保健室からのんびり戻ってくる時ふと掲示板に目が行った。そこ
渡がドラッグ所持で捕まったことは翌日、全校生徒に伝わっていた。「相変わらず情報が早いことで…」俺は呟き自分の席に着く。「特Aに転校生だって」なんてクラスで噂になっている。俺には関係ないけどな。誰が来ようとさ。それに歪んだものは歪んだまま。元には戻らないんだ。それを一番知ってるのは俺自身。みんなが俺と距離を開けてるのは知ってるし俺自身近付けさせないようにしてるし…此処にいるのも潮時かもな…俺はボーっと窓の外を見ていた。これが終われば自由になってもいいよな…みんなの前から消えちゃってもいいよな…俺は小さく息を吐き机にうつ伏す。一番後ろって便利だよな。教室の全体が見えるんだからさ。みんな色んなことやってバカなことやって楽しんでる。俺には入り込めない世界だけどさ。俺が入っちゃいけない世界なんだ。俺が入ればすべて壊してしまう。だから歪んだままでいい。一緒にバカをやってた頃に戻らなくてもいい。俺の心はもう決まってるから……。だからみんな俺のこと忘れてくれ……記憶の中から総て消して……俺が姿を消すまでの間に……「バイバイ」俺は小さく呟く。誰にも聞こえないように。ごめんな翔太。俺はお前にも何も告げずに消えるから…だからメンバーのこと大事にしてやってくれ。拓ちゃんもごめんね……俺のわがままにばっかり付き合わせちゃったよな。でもこれが終わったら俺はあなたの前からも消えるから…だからごめんな…特Aクラスに転校生がきたのはその日のうちに全校に知れわたった。大人しくて可愛い子らしい。俺は興味ないけど…。俺は東棟に向かうために教室を出て廊下を歩いていたら、ちょうど反対側から拓ちゃんが歩いてきた。隣にいるのが噂の転校生なのか。確かに可愛い子だ。ふと拓ちゃんと視線が合ったがあからさまに逸らされた。まるで俺に見せつけるように隣の子と仲良く楽しそうに話してる。別にそんなことしなくてもいいのにな。俺は無言のまま二人の横を通り抜ける。そして東棟へと向かう。目的地はどこにしようか?なんて考えながら歩いていたらたどり着いた場所は音楽室。なんとまぁ~こんなところにたどり着くとはな…。俺はピアノの前に座り蓋を開け鍵盤を押す。やっぱりキレイな音がする。誰かが調律してるんだな。「こういう時はやっぱりあの曲かな?」俺はそう呟
俺がいつもの店に着けば「遅かったな」不機嫌丸出しの渡がいた。そこで俺は気が付いた。昼間の拓ちゃんの突然の行動と渡の不機嫌の意味に…。俺は一人ククッと喉の奥で笑う。「何だよ?」渡が不機嫌なまま聞いてくる。お前はまだ変わってねぇんだな。自分の玩具を横取りされるとすぐ機嫌が悪くなる。子供っぽい所はそのままなんだな。それならその方が扱いやすくていい。「なぁ。渡」俺は渡の腕を掴み立たせるとそのまま壁際に連れて行き抱きつく。「何だよ? 珍しいじゃねぇか?」そういいながら俺に腕を回す。俺は渡に気付かれないようにそっと渡の腰に付けてあるナイフを引き抜く。「キスして?」お前はこういうのに弱いよな。「いいぜ。してやるよ」渡はニヤリと笑い俺にキスをしようとする。俺はクスッと笑い「残念でした」渡の両手にナイフを突き刺しそのまま壁に貼り付ける。「ぐあぁぁ。お…織田…お前…」渡が驚き俺を見る。俺は渡の腰からもう2本ナイフを取ると渡の首ギリギリに突き刺す。少しでも動けば皮膚が切れ血が流れ出す。俺は渡の手から流れ落ちる血を指ですくい、「大人しくそこで見てなよ。此処が真っ赤に染まるのを…」そう言って舐める。渡の顔色が変わる。「お前…本当に…あの織田なのか?」その言葉に俺は「さぁね。お前はそこで大人しく見物してろよ。お前は最後に相手してやるからさ」そう告げゆっくりと店の真ん中へと歩み寄る。流石にドラッガー達もボスの異変に気付き戦闘体勢に入ってる。俺はニヤリと笑い「お待たせ。さぁ始めようか? 最高のショーを…」指を鳴らす。さぁ総て破壊してやるよ。総てを……真っ赤に染めてやるよ&he
「せめて言葉で言ってよ…俺が必要じゃないなら…」 こんな風に置いていかないで…言葉で別れを告げて…そうすれば決心がつくから…期待しなくてすむから… もう傍に寄らないから… 俺は小さく息を吐きバスルームに行き服を脱ぎ捨てて頭からシャワーを浴びた。 これなら涙も隠せるから… 「…っ…」 暫くシャワーを浴びていたけど俺は外に出てタオルで身体を拭きバスローブに身を包みベッドへと倒れ込んだ。 何もする気ないや…また失恋しちゃったんだね…本気だったのに… 本当に好きだったのに…これで終わりなんだ… ベッドの上で動くのも嫌で倒れ込んだままボーっとしてたらガチャって扉の開く
~♪ 電話? 誰? 俺は携帯のディスプレイを見て驚いた。そして急いで出た。 「もしもし」 だって拓ちゃんだったから… 『蒼樹? 昼間は悪かったな』 あぁ、やっぱり逢いたいよ… 「うぅん。大丈夫。ごめんね俺が寝ちゃってたから…」 寝てたほうが悪いんだもん。 『やけに静かだけど一人なのか?』 あ…そっか…知ってたっけ… 「うん、そう」 隠してても仕方がないよね。 『終わったのか?』 どうかな? 「うぅん。食欲なくてさ…俺だけ抜けたんだ…」 じゃなきゃ壊してしまいそうだったから… 全部、跡形もなく壊してしまいそうだったから… 『今…どこにいるん
しばらくして 「織田くん寝てるの?」 そんなヒソヒソ声が聞こえる。本気で寝てるわけじゃないから聞こえて当たり前なんだけどね。 「ちょっと疲れたらしいからさ」 「大丈夫なの?」 翔太の言葉にそう聞いてる。 お願いだから邪魔をしないで… 俺は少しだけ握りしめている翔太の手を強く握る。それに反応するように強く握り返される手。 「大丈夫だ。少し休みたいって言ってただけだから。すぐに起きて騒ぎ出すって」 翔太はいつもながらうまくフォローしてくれる。それを聞いて会話が途切れた。 「蒼樹、そろそろ起きろよ」 30分後、翔太が俺の耳元で囁く。起きて参加させるために。
「…ん…んん…拓?…拓ちゃん?…」 目を醒まして名前を呼んでみるけど返事がなくて… 「拓真!」 急に襲いくる恐怖と不安。慌てて飛び起きて探そうとしたらテーブルの上に紙が置いてあるのに気がついた。 「なに?」 恐る恐るそれを取って読めば拓ちゃんからのメッセージだった。 『蒼樹へ 急に実家から電話がかかってきて予定よりも早く帰らなきゃならなくなった。起こそうと思ったんだが気持ちよさそうに寝てるから起こすのがもったいなくて起こさずに行く。今日はみんなとの打ち上げなんだろ?楽しんで来いよ。後、勝手に鍵を借りていく。開けっ放しで行くのは不用心だったからな。今度返すから借りとく