Masuk賢吾に背後から抱き締められながら、腰を揺らされる。すると、目の前にやってきた千尋に両足を左右に押し広げられ、揺らめく湯の中、賢吾としっかり繋がっている部分を見つめられる。
「……千尋っ」 羞恥に身を捩ろうとしたが、内奥に打ち込まれた賢吾のものをきつく締め付けただけで、快感を貪る部分を隠すことは叶わない。それどころか千尋に、熱くなって震えるものを掴まれ、ゆっくりと扱かれる。 全身が震えるほど、和彦は感じてしまう。賢吾と千尋に同時に攻められると、どうしようもなく羞恥心を煽られるが、それすら、快感になりつつある。 父子に交互に口づけを与えられ、体を撫で回される。肌にまとわりつく湯の感触も心地よく、和彦が奔放に乱れ始めた頃、内奥から賢吾のものが引き抜かれ、すかさずまた、千尋のものを内奥深くまで呑み込まされる。「あっ……ん」「先生のここ、すぐに狭くなるよね。もう、きつくなってる」 興奮のため、千尋の目がいつも以上に強い光を放っている。犬っころという可愛「この調子なら、連休中にでも抜糸できそうだ」 連休、と小声で呟いた鷹津が、傷口の消毒を始めた和彦に問いかけてくる。「このクリニックも、連休があるのか?」「一週間ほど休むことになっている。ぼくはカレンダー通り開けていてもいいんだが、組長に言われると、何も言えない」「ヤクザは優雅なものだな。そのオンナも」 鷹津が左手を伸ばし、頬に触れてこようとしたので、咄嗟に払い除ける。触れられることが嫌だというより、賢吾から言われた言葉が蘇ったのだ。 鷹津に情を移すなと、賢吾は言った。それがどういうことなのか和彦にはよくわからない。鷹津は相変わらず嫌な男だし、好意的な感情を抱いていないつもりだ。だが、それだけで鷹津との関係は割り切れない。そう、単純なものではないのだ。「……治療中だ。邪魔するな」 あえて鷹津の顔を見ないで注意すると、和彦は黙々と手を動かす。治療とは言っても、傷の様子を診たかっただけで、あとは消毒をして、ガーゼと包帯を取り替えるだけだ。 手早く包帯を巻き終え、立ち上がった和彦は片付けを始める。「また何日かしたら連絡をする。そのとき、傷が化膿していなかったら抜糸をする。――用は済んだから帰ってくれ」 鷹津に背を向けて素っ気なく告げると、突然、肩に手がかかる。驚いて振り返ると、いつの間にか鷹津が目の前に立っていた。怖いほど真剣な顔で見つめられ、察するものがあった和彦は後退ろうとしたが、うなじに手がかかって反対に引き寄せられる。「おいっ――」「長嶺に、何か言われたか? えらくピリピリしているな」 和彦は思わず視線を逸らしたが、肯定したも同然だ。鷹津は鼻先で笑い、顔を寄せてきた。「〈あれ〉で、餌を食わせ終えたなんて思ってないだろうな? 俺はお前の命を助けたんだぜ。せめて、この怪我が治るまで、好きなだけ食わせてもらうぞ」「そこまで恩着せがましいことを言うと、せっかくの善行も価値がなくなるぞ。助けられたほうも、うんざりしてくる」 睨みつけながら和彦が言うと、鷹津は意外なほどあっさりと身を引いた。「腹が減った。これからメシを食いにいくぞ」
しっかりと腰を抱え込まれて、内奥で賢吾の欲望が脈打ち、爆ぜる。熱い精をたっぷりと注ぎ込まれ、その感触に和彦は軽い絶頂状態に陥る。きつく目を閉じ、眩暈に耐える。 内奥から賢吾のものが引き抜かれ、体をひっくり返される。手荒く頬を撫でられて、ようやく和彦は目を開けることができた。顔を覗き込んできた賢吾に唇を吸われ、ぎこちなく応える。優しい声で問われた。「俺が今言ったこと、しっかりと頭に叩き込んだか?」 頭がぼうっとしているが、それでも和彦は頷く。「お前は、俺の大事で可愛いオンナだ」「あ、あ……。ぼくは、あんたのオンナだ。ぼくは、あんたには逆らえないし、逆らうつもりもない」「そういう言われ方をすると、俺がまるで暴君みたいだな」 声同様、優しい表情を見せた賢吾にもう一度唇を吸われ、そのまま舌を絡め合う。その間に、賢吾の指が内奥に挿入され、注ぎ込まれたばかりの精を掻き出される。発情している和彦の内奥は、物欲しげにその指を締め付けていた。「本当に、お前はいいオンナだ……」 指が引き抜かれ、まだ硬さを失っていない賢吾の欲望が、閉じきっていない内奥の入り口に押し当てられる。すぐにまた挿入されるのだと思って喉を鳴らした和彦に、怜悧な笑みを浮かべた賢吾はこう囁いた。「欲しかったら、俺の見ている前で――漏らしてみろ」 ハッとして和彦は顔を強張らせる。〈何を〉漏らしてみろと言っているのか、問い返すまでもない。求められるのは初めてではないが、だからといって慣れることはない行為だ。「……ここ、で……?」「心配するな。二人分の浴衣があれば、吸い取ってくれるだろ。お前一人の――」 耳元に露骨な単語を注ぎ込まれ、和彦は羞恥と屈辱を覚えると同時に、異常な高ぶりを感じていた。 賢吾に両足を広げた格好を取らされ、手慰みのように柔らかな膨らみを揉まれる。ときおり弱みを指先で刺激され、早くしろと無言で急かされる。 何度目かの攻めで、和彦の理性は陥落した。 賢吾が見ている前で『漏らした』のだ。
微かに濡れた音を立てながら先端を吸われ、熱い吐息をこぼして和彦は身悶える。欲望の形を舌先でなぞられ、さらに柔らかな膨らみも舐られる。「うっ、うっ、うあっ、あっ――」「今度鷹津に教えてやれ。長嶺組の組長は、自分のオンナのこんなところまでしゃぶって、感じさせてくれると。あいつは、どうするだろうな」 賢吾の言葉は、見えない執着の炎となって和彦の全身を炙る。不意打ちのように内奥の浅い部分をぐっと指の腹で押し上げられ、呆気なく和彦は絶頂を迎えた。精を迸らせ、下腹部を濡らしていた。 そんな和彦を見下ろし、唇の端に笑みを刻んだ賢吾は、あっさりと内奥から指を引き抜く。浴衣を剥ぎ取られた和彦はうつ伏せの姿勢を取らされ、高々と腰を抱え上げられる。身構える間もなく、背後から貫かれた。「んううっ」 力を漲らせた賢吾の欲望は、容赦なく内奥を押し広げ、襞と粘膜を強く擦り上げてくる。背後から突かれるたびに和彦は畳に爪を立て、衝撃に耐える。重苦しい痛みが下腹部に広がるが、それ以上に、内から焼かれそうなほど賢吾の欲望が熱い。尻を鷲掴んでくる手も。「待っ……、賢吾、さ……、もう少し、ゆっくり……」 和彦の切れ切れの訴えは、乱暴に内奥を突き上げられることで応じられる。賢吾の逞しい欲望が、根元まで捻じ込まれていた。 奥深くまで呑み込んでいるものの存在を、呼吸を繰り返すたびに強く意識する。賢吾は内奥の収縮を堪能するように動きを止め、その代わり、両手を駆使して和彦の体をまさぐってくる。 和彦の肌は、嫌になるほど賢吾の手の感触に馴染んでいる。てのひらで撫で回されているだけで肌はざわつき、汗ばみ、官能を生み出す。和彦のその従順さを、背後から貫きながら賢吾は堪能していた。「……惚れ惚れするほどの、いいオンナっぷりだな、先生。こうして眺めているだけでわかる。俺を欲しがっているってな。もっとも――」 軽く腰を揺すられ、内奥で欲望が蠢く。意識しないまま、食い千切らんばかりに欲望を締め付けていた。「尻のほうはさっきから、グイグイ締まりまくってるがな。突
「……この家の主が仕事をしているのに、その主の部屋でダラダラしているのは、気が引けるんだ」「仕事といっても、電話で片付くような用だ。だから、そう待たせなかっただろ」「気にせず、じっくりと話してくれてもよかったのに……」「俺が気にする」 和彦のすぐ背後に立った賢吾の手が、肩にかかる。浴衣の布越しに体温が伝わってきて、それだけで和彦は冷静ではいられなくなっていた。 慌てて正面を向くと、両肩をしっかりと掴まれ、力を込められた。「あっ」 絶妙な力加減で肩を揉まれて、思わず和彦は声を上げる。背後から笑いを含んだ声で言われた。「凝ってるな、先生。気疲れすることが多すぎるせいか?」「……あんたは、原因の一つだからな」「遠慮なく、俺が原因の大部分だと言っていいんだぞ」 返事の代わりに、和彦は笑い声を洩らす。 長嶺組組長に肩を揉んでもらうという贅沢を堪能できたのは、わずかな間だった。肩を揉んでいた賢吾の片手が前へと移動し、浴衣の合わせから入り込んできた。 大胆に蠢く手に胸元をまさぐられ、あっという間に凝った胸の突起を、捏ねるようにてのひらで転がされる。指先で捉えられて爪の先で弄られる頃には、和彦の呼吸は弾んでいた。「――鷹津にも、ここをたっぷり弄ってもらったか?」 突然、冷めた声で問われる。背後に立っているのは賢吾だと知っていながら、和彦は一瞬、別の男に入れ替わったのかと混乱した。それぐらい、賢吾の声音が一変したのだ。 本能的な怯えから、和彦は愛撫の手から離れようとしたが、賢吾は焦った素振りすら見せなかった。 立ち上がろうとしたが、いきなり座椅子を引かれてバランスを崩す。すかさず賢吾の腕に捕らえられて、畳の上に放り出された。 悠然とのしかかってきた賢吾を、顔を強張らせて見上げる。手荒な行動とは裏腹に、賢吾は薄い笑みを浮かべていた。「鷹津とのセックスはよかったようだな、先生。……鷹津のことを話すときの顔を見ていたら、いままでにない表情を浮かべてい
「聞くまでもないだろう。――返事は、ギリギリまで引っ張ればいい。オヤジの腹の内が、もしかすると読めるかもしれない」 それしか打てる手はないのかと、和彦は小さくため息をつく。すかさず賢吾に言われた。「物騒な男に気に入られると、物騒なことに事欠かないな、先生」「他人事だと思って……」 自棄酒というわけではないが、和彦はグラスのワインを飲み干す。『物騒なこと』という話題の流れから、秦の店を襲撃した男たちのことを聞いてみたい衝動に駆られたが、守光の話題が出たことで、軽々しい好奇心は慎むべきだと思い直した。三日前の秦との電話でのやり取りがなければ、危うく口に出していたかもしれない。 自らが踏み込めない領域について、あれこれと思索する和彦とは対照的に、秘密すら踏み散らすような無粋ぶりで賢吾が切り出した。「鷹津には、美味い餌を食わせてやったか?」 和彦は咄嗟に言葉が出なかった。激しい動揺と羞恥で一気に顔が熱くなったが、賢吾の向けてくる冴えた眼差しに首筋は冷たくなるという感覚を、同時に味わう。 賢吾は今日まで、怪我をした鷹津とどう過ごしたか、和彦に一切尋ねてはこなかった。二人の間に何があったかは想像するまでもなく、だからこそ賢吾は知る気がなかったのだろうと解釈していたが、どうやら違ったようだ。 和彦が逃げられない状況になるまで、虎視眈々と機会を狙っていたのだ。「――……餌はやった」「自分が切りつけられながらも、先生を守ったんだ。俺が思った通り、あいつは態度は悪いが、優秀な番犬だ」「何日かは利き手が使いにくくて、不便だろうな」「通って面倒を見るか?」 冗談めかした口調とは裏腹に、ヒヤリとするような感覚が和彦を襲う。賢吾が、鷹津のことを話す自分の反応を観察していると感じ取り、警戒していた。「ぼくはそこまで甲斐甲斐しくない。……ただ、傷の具合を診る必要があるから、夜、クリニックに足を運んでもらうことになる」 慎重に言葉を選んで話した和彦は、賢吾の反応をうかがう。「その顔は、俺の許可を求め
気にしないでくれと、和彦は苦笑を洩らす。大変な騒動と、その後の鷹津とのこともあり、自分が背負っていた事柄について、今この瞬間まで考えることすらしていなかった。秦の思惑とは違ったところで、和彦の機嫌は直りつつあるといえるのかもしれない。 あくまで、問題の先延ばしでしかないのだが――。 電話を切った和彦はぼんやりとしていたが、ふと、バスタブに湯を溜めていることを思い出し、慌てて浴室へと駆け込んだ。****「――ここのところ大忙しだな、先生」 窓の外に広がる夜景に見惚れていた和彦は、どこか皮肉げな賢吾の言葉にハッとする。 ホテル上階からの夜景を和彦によく見せてやろうという配慮なのか、賢吾は窓を背にしてテーブルについている。 しかし和彦は、一旦賢吾に視線を移してしまうと、もう夜景を眺める気にはなれない。 賢吾は、夜の街のきらびやかさも霞む濃い闇を背負っているように見え、禍々しさすら漂っている。普通の感覚を持った人間ならば、この男を一目で危険な存在だと判断するだろうが、困ったことに和彦の目には、非常に魅力的に映るのだ。怖いほどに。「ぼくが忙しいのは、ぼくのせいじゃない。……暖かくなってくると、この世界の連中は血が滾るのか? 物騒なことが多すぎる」 賢吾は低く喉を鳴らして笑い、鉄板の上で焼けたヒレステーキを一切れ、和彦の前の小皿に置いた。 クリニックを終えてから途中で賢吾と合流し、外で夕食をとることにしたのだが、肉が食べたいと希望したのは賢吾だ。疲れ気味の和彦に精をつけさせようと考えた――のかどうかは知らないが、鉄板焼きのコースディナーの他に、さらにサーロインステーキを別メニューで頼んだ賢吾は、和彦の倍の速度で肉を焼き、口に運んでいる。「物騒といえば、総和会からの申し出も、ある意味じゃ物騒だな」 賢吾が言っているのは、総和会から、和彦にクリニックを任せたいと提案された件だ。移動中の車内で簡単に説明をしたのだが、とっくに千尋から、賢吾の耳に入っていただろう。驚いた様子もなく、薄く笑っただけだった。もっとも和彦自身、賢吾の反応をある程度予
**** 組お抱えの医者は、こういう仕事もこなさなければならないのかと、内心でうんざりしながら、和彦は箸を動かす。「先生、遠慮しないで、どんどん飲んでください」 中嶋の言葉に半ば反射的に頷く。和彦の好みをすでに把握しているらしく、膳とともに出されているのは、グラスワインだ。口当たりのいい美味しいワインだが、飲みすぎにだけは気をつけている。 中嶋の手前、形だけグラスに口をつけた和彦は、視線を泳がせたついでに、座敷を眺める。総和会の幹部がよく利用しているというだけあって、とにかく高そうな料亭だ
立ち上がりかけた姿勢で、反射的に鷹津の顔を凝視してしまう。この時点で和彦の厄介な好奇心は、わずかながら鷹津に対する嫌悪感を上回っていた。 ちらりと中嶋を見ると、和彦が帰ると思ったのか、同じく立ち上がりかけている。なんでもない首を横に振って見せ、和彦はイスに座り直した。満足そうに鷹津が頷く。「……秦のことで何か知っているんなら、早く話せ」 和彦の言葉に、もったいぶるようにゆっくりとコーヒーを啜った鷹津は、ようやく口を開いた。「家具屋で会ったときは、なんとなく、どこかで見たツラだな、というぐらいにしか感じなかったん
シャワーの水音を聞きながら和彦は、三田村が与えてくれた愛撫をいとおしむように、自分の体を指先でまさぐる。そうしているうちに、シャワーを浴びた三田村が部屋に戻ってきて、和彦が見ている前で淡々とスーツを身につけていく。 優しく激しいオトコが、長嶺組の若頭補佐に変わる様に、つい和彦は惚れ惚れと見入ってしまう。そんな和彦の視線に気づいたのか、三田村がふっと表情を和らげた。 しどけなくベッドの上に横たわる和彦を、スーツ姿で覆い被さってきた三田村が見下ろしてくる。簡単にシャワーを浴びただけだというのに、すでにもう三田村には、情交後の気だるい様子は微塵もなく、端然として鋭いヤ
若いビジネスマンのような外見ながら、実は切れ者のヤクザである中嶋に、あれは秦の冗談だと話しかけるのも、わざとらしい。 秦が何かしらフォローしていればいいが――。 頼んだコーヒーを啜った和彦に、中嶋は静かな迫力を湛えた眼差しを向けてくる。そのくせ口元には笑みを刻んでいるのだ。 中嶋にしてみれば、長嶺組の組長のオンナが、自分の慕う人物をたぶらかしていると思っているのかもしれない。 自分で自分を追い詰めるようなことを考えた和彦は、居たたまれなさから、つい視線を周囲へと向ける。すると、こちらの緊張が伝わったのか、笑いを含んだ声で中嶋が言う。