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第18話(37)

Auteur: 北川とも
last update Dernière mise à jour: 2026-02-17 11:00:59

 夕食のあとに知らされたが、長嶺父子と和彦のみが別荘の本館に宿泊し、護衛の組員たちは、渡り廊下で繋がった離れを使うらしい。

 家族水入らずの旅行だから、というのが賢吾の言い分だ。

 和彦としては、同じ建物内を組員が歩いていても、さほど気にしない。本宅で過ごしているときは常に組員がいるのだ。その生活に、年末年始の間で和彦はすっかり慣らされた。

 むしろ、三人だけで過ごすことに戸惑ってしまう。

 ガスストーブの近くに置いたクッションに、あぐらをかいて座った和彦は、大きなカップに口をつける。中身はワインで、ここに来る途中に寄ったスーパーで買ったものだ。値段が安く、味も値段相応だと思うのだが、雰囲気のある別荘のリビングで飲んでいるというだけで、不思議と美味しい。

 和彦の右隣に座っている賢吾は、さきほどから缶ビールを呷っている。ストーブで暖かくした部屋で飲むビールは、普段以上に美味いと言っていたので、和彦だけが特別な感性をしているわけではないようだ。

 一方の千尋は、さきほどから窓に張り付いて
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  • 血と束縛と   第18話(1)

    ****「――先生、今晩は何が食べたい?」 ショッピングセンターを並んで歩いていると、突然三田村が、大事なことを思い出したような顔で問いかけてきた。しかも、真剣な口調で。 休みが取れた三田村とともに必要なものを買いに来たのだが、献立は人任せなところがある和彦は、面と向かってこう問われると、けっこう悩む。 目を丸くしたあと、なんでもいいと言いかけて、思いとどまる。実は先日、テレビでたまたま観てから、なんとなく気になっているものがあったのだ。「なんでもいいのか?」 和彦が問い返すと、頷いた三田村の目が一際優しくなる。もっとも和彦以外の人間が見れば、いつもの無表情との違いに気づかないかもしれない。「……鍋が、いい」 鍋、と小さな声で三田村が反芻し、何か思案するように軽く眉をひそめる。「ちゃんこにすき焼き、しゃぶしゃぶ。この場合、湯豆腐も鍋料理に入れていいのか……。なんにしても、ちょっと調べたら、鍋料理を食わせてくれる店はいくらでも――」「そうじゃない。外で食べたいわけじゃなくて、部屋で食べたい。……いままで、人と鍋を囲んだことがないんだ。それで、この間テレビを観ていて、ちょっといいなと思って……」 なんだか言い訳めいたことを言っているなと、和彦は自分自身の行動に、内心で苦笑を洩らす。相手が三田村でなければ、口が裂けても言えないわがままだ。そんなこと、と笑われても不思議ではないのだが、三田村が浮かべたのは、どこか嬉しげにも見える淡い微笑だった。「先生の貴重な経験を、俺が作った鍋で済ませていいのかな」「キッチンで包丁を握っているあんたを見るのは好きだ」 三田村は、困惑気味に視線をさまよわせながら、口元を手で覆う。もしかすると、有能な若頭補佐なりの照れ隠しなのかもしれない。「あまり……俺の腕に期待しないでくれ。そう器用になんでも作れるわけじゃないんだ」「鍋って、適当に材料を切って、水と一緒に放り

  • 血と束縛と   第17話(51)

     賢吾の手が柔らかな膨らみへと伸び、中嶋に見せつけるように手荒く揉みしだかれる。和彦はたまらず甲高い声を上げて、上体を捩ろうとしたが、動きを封じるように内奥深くを突き上げられた。「あっ、ああっ、はあっ、はっ……」 身悶える和彦と、果敢に攻め立ててくる賢吾の姿を、中嶋は食い入るように見つめていた。熱に浮かされたような目には、嫌悪の色は微塵もない。賢吾もそれがわかっているのだろう。まるで中嶋を試すように言った。「抵抗があるなら、外で待っていてもいいぞ」 すると中嶋はふらりと足を踏み出し、間近まで歩み寄ってくる。そして、畳に両膝をついた。「――……ここで、見ています。すごく、興味があります」「好きにしろ」 腰を掴まれて揺り動かされ、内奥を逞しいもので掻き回される。卑猥な湿った音が室内に響き渡り、そこに和彦の乱れた息遣いが重なる。 押し寄せてくる快感と、中嶋に正面から見つめられているという激しい羞恥に、和彦は惑乱する。いっそのこと意識を手放してしまいたいが、皮肉なことに、内奥を突き上げてくる衝撃が意識を繋ぎとめる。「うっ、あっ、あっ……ん、んあっ」「ここもどうなっているか、興味があるだろ」 そう言って賢吾に片足を抱え上げられて、繋がっている部分を中嶋に晒してしまう。あまりの羞恥に息が詰まりそうになるが、和彦の体は気持ちとは裏腹に、見られることに歓喜していた。「うちの先生は、いいオンナだろ。もともと素質はあったが、性質の悪い男たちが開発しちまった。その男たちが、先生に骨抜きにされてるんだから、一番性質が悪いのは――」 喘ぐ和彦の耳元で、賢吾がそっと囁きを注ぎ込んでくる。和彦はのろのろと振り返り、賢吾と唇を吸い合う。その最中に賢吾の手に促されて二度目の精を放ち、少し遅れて、賢吾の熱い精を内奥深くで受け止めた。「はっ……、んっ、んっ、くぅ……」 和彦の体から一気に力が抜けると、つられたように中嶋も大きく息を吐き出した。いつの間にか顔が上気しており、一見してハン

  • 血と束縛と   第17話(50)

     賢吾の指示を待っていたように、障子にスッと人影が映る。いつの間にか廊下に控えていたようだが、賢吾との行為に夢中になっていた和彦はもちろん気づかなかった。 廊下に人がいたというのも意外だったが、姿を見せた人物は、さらに意外だった。 丁寧な動作で障子を開けたのは、中嶋だった。和彦と賢吾の姿に驚いた様子もなく、それどころか和彦に笑いかけてくる。おそらく、廊下にいる間、行為の声をすべて聞いていたのだろう。「ど、して……」 中嶋が障子を閉めたのを機に、ようやく和彦は声を洩らす。愛撫の手を止めないまま賢吾が答えた。「俺が呼んだ。いままで、総和会との連絡役は別の人間だったんだが、若い連中の中で抜きん出て見所があるし、先生と親しいということで、新たに中嶋を指名した。長嶺組長の本宅に出入りできる、総和会でも数少ない男というわけだ」 いつの間にそういう話が決まったのかと思ったが、これは組の細かな決定事項の一つだ。賢吾が和彦に知らせる必要はない。ただし賢吾は、和彦の反応を見たいがために、この瞬間まで隠していたのだろう。そういう男だ。「先生としても、俺の目を盗んで中嶋と会っているという罪悪感を抱かなくて済むだろ。本宅に出入りできるようになったぐらいだ。長嶺組長のオンナの部屋にも、中嶋は堂々と立ち寄れる」 賢吾の言葉で和彦は、中嶋と絡み合った日のことを思い出す。ベッドの上での甘い呻き声を、盗聴器を通して賢吾が聴いていたことは知っている。そのうえで中嶋に、本宅や和彦の部屋の出入りを認めたのだ。「……何を企んでるんだ、あんたは……」 思わず和彦が問いかけると、うなじに唇を押し当てながら賢吾は言った。「先生が生活のしやすい環境を整えただけだ。――俺が何を企んでるか、先生は気にしなくていい」 賢吾が腰を揺らし、内奥の感じやすい部分を擦り上げられる。和彦は咄嗟に声を堪えたが、表情は隠せなかった。正面に立つ中嶋に、すべて見られてしまう。それどころか、賢吾と繋がり、悦びに身を起こした欲望の存在も。 中嶋は薄い笑みを唇に湛え、目には興奮の色を浮かべる。そんな中嶋に

  • 血と束縛と   第17話(49)

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  • 血と束縛と   第17話(48)

    ところで、佐伯家の人間は、先生の性癖を把握しているのか?」「……性癖?」「こうして男と寝ているってことだ」 和彦は眉をひそめてから、ふいっと顔を背ける。「わからない。知っていたとしても、面と向かって指摘されたことはない。――ぼくが誰と寝ようが、少なくとも父は、それを言う資格はない」「興味をそそられる言い方だな」 内奥から指が引き抜かれ、衣擦れの音がする。少しの間を置いてから、熱く凶暴な形が内奥の入り口に押し当てられた。「あっ……」 狭い場所をゆっくりと押し広げられ、太いものを呑み込まされていく。和彦は間欠的に声を上げながら上体を捩り、下肢を支配される苦しさと、うねるように押し寄せてくる熱い感覚に煩悶する。「男と寝ているという事実を知っていたとしても、先生のこんな姿は想像もつかないだろうな。肌を上気させて、誘うように腰を揺らして、真っ赤に色づいた粘膜を捲り上げながら、男のものを懸命に受け入れている――」 繋がった部分を指で擦られて、和彦は上擦った声を上げる。両足をしっかりと抱えられて腰を突き上げられると、内奥深くで重い衝撃が生まれる。一瞬あとにじわじわと広がるのは、狂おしい肉の愉悦だ。「あっ、あっ、ああっ」「お高くとまった官僚一家に、今みたいな色っぽい姿を撮った映像を送りつけたら、一発で縁が切れるかもしれないぞ」 乱暴に数回突き上げられて、賢吾とこれ以上なくしっかりと繋がっていた。ふてぶてしく息づく欲望は力強く脈打ち、内から和彦の官能を刺激してくる。「……面倒事を隠すのは、得意なんだ、ぼくの家族は。……それに、刺激したところで、あんたの得になるとは思えない」「佐伯家と縁を切らして、憔悴する先生を見なくて済むなら、それだけでも俺にとっては得だと思うが?」 本気で言っているのかと、じっと賢吾を見上げた和彦は、すぐに笑みをこぼす。「大蛇の化身みたいな男が、ずいぶん優しいことを言うんだな」「先生に骨抜きだからな、俺は」 賢吾の手が、両足

  • 血と束縛と   第17話(47)

    ** 客間に連れ込まれると、布団を敷く間もなく畳の上に押し倒され、和彦は裸に剥かれる。獣が襲いかかるように、覆い被さってきた賢吾は容赦なく、和彦の肌に愛撫を施し始める。 寒さで鳥肌が立った肌を熱い舌でじっくりと舐め回され、痛いほど強く吸い上げられて、鮮やかな鬱血の痕を残される。 期待で凝った胸の突起を口腔に含まれたとき、和彦は深い吐息をこぼして仰け反っていた。濡れた音を立てて執拗に突起を舐られ、吸われたかと思うと、歯を立てられて引っ張られる。「うっ……」「先生、足を開け」 傲慢に賢吾に命令され、和彦はぎこちなく従う。羞恥はあるが、身を捩りたくなるような興奮のほうが勝っていた。その証拠に、和彦の下肢に視線を遣った賢吾が、唇の端を持ち上げるようにして笑う。 敏感なものを無遠慮に握り締められ、一瞬息が詰まった。「寒い思いをさせて可哀想だと思ったが、こっちはもう、熱くなってるようだな」 握ったものを手荒く扱かれて、和彦は首を左右に振って反応するが、寸前のところで声を堪える。そんな和彦を、賢吾はおもしろそうに見下ろしてきた。「遠慮せず、声を出したらどうだ」「……うる、さい。ぼくの勝手だろ」「確かに、先生の勝手だな。だったら俺も、勝手にさせてもらおう」 和彦はのろのろと片手を伸ばして、賢吾の頬に触れる。「いつもは勝手にしてないような、言い方だな」「してないだろ。なんといっても俺は、紳士だ」「どの口が――」 ここで賢吾に唇を塞がれた。口腔深くまで舌を差し込まれ、唾液を流し込まれる。息苦しさから、和彦は賢吾の下で軽くもがいていたが、口腔で蠢く舌に刺激されているうちに、体の奥で肉欲の疼きを自覚する。そうなると、もう賢吾に支配されたも同然だ。 指を濡らさないまま、内奥の入り口をまさぐられ、柔な粘膜を擦り上げられる。痛みを予期して体を硬くするが、和彦の体を知り尽くしている賢吾の指は、手荒なくせに傷をつけるようなことはしない。 内奥の浅い部分に指を含まされ、和彦は腰を揺らす。じわりと広

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