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第16話(50)

Auteur: 北川とも
last update Dernière mise à jour: 2026-02-19 20:00:54

 苦々しい笑みを唇に浮かべた中嶋は、何度も髪を掻き上げながら、ダイニングを歩き回る。そうすることで、自分の頭と気持ちを整理しているのだろう。ときおり横顔に、強い苛立ちを滲ませている。

 和彦は立ち上がり、中嶋に歩み寄ろうとする。すかさず釘を刺された。

「今、俺の近くにきたら、今度こそ拳で殴らせてもらいますよ」

「……言っただろ。こう見えても、殴られるのは慣れてるんだ」

「だったら、本当に犯しますよ。秦さんが原因で先生がそういう目に遭ったら――長嶺組が、俺だけじゃなく、秦さんを潰してくれるかもしれない」

「それはそれで、君と秦の心中みたいなものだな」

 カッとしたように中嶋のほうから歩み寄ってきて、拳を振り上げる。ここで和彦は、淡々とした口調で告げた。

「――秦は、ぼくを利用したんだ。君が、男と寝るということを、リアルに感じるために。ぼくが秦と何かあるかもしれないと思ったら、いろいろと想像しただろ。どんなふうに秦に抱かれるのか、どんな声を上げるのか。秦の舌と唇の感触、貫いてくる性器の感
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