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第26話(19)

Auteur: 北川とも
last update Date de publication: 2026-04-22 08:00:56

 かつてペンションだったという建物は、そこかしこにその名残りがある。食器の数だけではなく、そもそも部屋数が多いし、風呂も大きい。立地的には、ほどよく隠れ家と呼べる場所にあり、総和会が人を集めるのに利用しているのも、こういったところが使い勝手がいいためだろう。

「……悪党の巣窟、か……」

 さきほど三田村から聞いた言葉を、無意識に和彦も呟く。賢吾のことなので、三田村に話しながら、自虐とも皮肉ともとれる表情を浮かべていたかもしれない。

 和彦に気づいた中嶋が、皿をテーブルに置いて声をかけてきた。

「先生、コーヒーを飲みませんか? コーヒー豆を買ってきたんですよ」

「だったら、ぼくが淹れる。君はその間に、自分の仕事をしてくれ」

 脱いだジャケットをイスにかけると、さっそく和彦はキッチンに入り、コーヒーメーカーを使ってコーヒーを淹れる。

 三田村の分はサーバーに残し、コーヒーを注いだ二つのカップを持ってダイニングに戻ると、中嶋は皿にお菓子を出しているところだった。
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