Se connecter指の腹で軽く押し潰されたあと、胸の突起を熱い口腔に含まれ、きつく吸い上げられる。和彦は小さく身じろいてから、結局顔を背けていた。
反応すまいとする和彦の意思を突き崩すように、南郷の愛撫は執拗で、濃厚だった。さんざん胸の突起を舌と唇で弄んだかと思うと、指で摘み上げてくる。そして、無防備な脇腹に、突然歯を立ててきた。あくまで軽く、痛みはなかったが、歯の硬さ、強靭なあごの力を感じるには十分で、和彦が身を竦めると、今度は機嫌を取るように舌を這わせてくる。 緊張と安堵を繰り返しているうちに、知らず知らずのうちに和彦の体は熱を持ち、肌が汗ばんでくる。もちろん、冷や汗ではなかった。 胸の突起を吸い上げた南郷が顔を上げ、思い出したように和彦の唇を塞いでくる。口腔を舌で犯しながら、手荒く内腿をまさぐられ、欲望を握り締められた。ズキリと腰が疼き、そんな自分の反応に和彦はうろたえる。この瞬間、間近にある南郷の目が笑ったような気がして、ゾッとした。 慌てて大きな体の下から逃れようとしたが、欲望を握る手にわずかに力を込められ、動けなくなる。あとは、南郷にさ指の腹で軽く押し潰されたあと、胸の突起を熱い口腔に含まれ、きつく吸い上げられる。和彦は小さく身じろいてから、結局顔を背けていた。 反応すまいとする和彦の意思を突き崩すように、南郷の愛撫は執拗で、濃厚だった。さんざん胸の突起を舌と唇で弄んだかと思うと、指で摘み上げてくる。そして、無防備な脇腹に、突然歯を立ててきた。あくまで軽く、痛みはなかったが、歯の硬さ、強靭なあごの力を感じるには十分で、和彦が身を竦めると、今度は機嫌を取るように舌を這わせてくる。 緊張と安堵を繰り返しているうちに、知らず知らずのうちに和彦の体は熱を持ち、肌が汗ばんでくる。もちろん、冷や汗ではなかった。 胸の突起を吸い上げた南郷が顔を上げ、思い出したように和彦の唇を塞いでくる。口腔を舌で犯しながら、手荒く内腿をまさぐられ、欲望を握り締められた。ズキリと腰が疼き、そんな自分の反応に和彦はうろたえる。この瞬間、間近にある南郷の目が笑ったような気がして、ゾッとした。 慌てて大きな体の下から逃れようとしたが、欲望を握る手にわずかに力を込められ、動けなくなる。あとは、南郷にされるがままだった。 大きく足を開いた姿勢を取らされ、欲望を扱かれる。与えられる刺激に無反応ではいられない和彦は、南郷の視線に晒されながら、次第に呼吸を弾ませ、腰を揺らし、欲望を熱くしていく。南郷は、貪欲に和彦の反応を求めてきた。「うっ」 柔らかな膨らみをまさぐられ、上擦った声を洩らす。南郷は口づけを続けながら、無遠慮な手つきで柔らかな膨らみを揉みしだき、和彦はビクビクと腰を震わせる。「ここを弄ったときの、あんたの反応は複雑だ。怖がって、戸惑って、だが、確かに感じてもいる。そのことを恥らってもいるし、媚びてもいる。〈あのとき〉は表情を見ることはできなかったが、声だけでも十分それが伝わってきた。こうして表情を見ると――また格別だな」 弱みを強く指先で弄られ、和彦は悲鳴に近い声を上げる。強い刺激は、恐怖と同じだ。和彦の怯えを察したらしく、南郷は低く笑い声を洩らした。「どうやら、怖がらせたようだな。……痛かったか?」 囁きかけてきながら、南郷が唇を吸ってくる。しかし愛撫が止まることは
もっともらしいことを言っているが、これは恫喝だ。ここでは、南郷の行動を止められる人間はいないと仄めかしているのだ。「普段、あんたを守っている男たちほど、俺は紳士でもないし、気も利かないだろう。だが、我慢してくれ。俺なりに、あんたを大事に思っているんだ。〈恋焦がれる〉と表現してもいいほどな」 南郷の声は優しいが、だからこそ不気味だった。掴まれているあごが痛くて、和彦は大きな手を押しのけようとしたが、力が緩むことはない。それどころか――。「あっ……」 南郷の顔が間近に迫り、獣の息遣いが頬に触れる。まさか、と思ったときには、唇を塞がれていた。唇を覆う熱く湿った感触に、嫌悪感が湧き起こる。和彦は、大きな獣を威嚇するように呻き声を洩らすが、それすら南郷の唇に吸い取られる。 必死に唇を引き結ぶと、南郷は焦れることなく、片手に掴んだ和彦の欲望を弄び始める。括れを強く指で擦り上げられ、敏感な先端を爪の先でくすぐられると、和彦は無反応でいられなかった。感じているわけではない。いつ、痛みを与えられるかと、気が気ではないのだ。 下肢の愛撫に気を取られ、唇が緩む。待ち構えていたように、南郷の舌が悠々と口腔に押し込まれてきた。 これで、和彦を自由にできるという確信が生まれたのだろう。南郷が布団を跳ね除けて、和彦の体の上に覆い被さってくる。和彦は両手で逞しい肩を押し退けようとしたが、スウェットパンツと下着を無造作に引き下ろされて、再び欲望を握り込まれると、できる抵抗など知れていた。 南郷の舌に口腔を犯される。粘膜を舐め回されながら唾液を流し込まれ、逃げ惑う和彦の舌は簡単に搦め捕られて、強く吸われる。粗野で暴力的な外見そのままの、乱暴な口づけだった。 考えてみれば、南郷と直接唇を重ねるのはこれが初めてだ。だが、まったく感触を知らないわけではない。長嶺組の組員たちから引き離され、総和会が身柄を預かっている男の治療のため、一人で仮眠室に泊まったとき、和彦は南郷に体に触れられた。そのとき、顔に薄い布をかけられて、南郷に唇を貪られたのだ。 布一枚分の建前で、南郷は正体を隠すつもりはあったようだが、今夜は違う。自らの存在を明らかにし、誇示しながら、和彦
ガウンの紐を解かれ、Tシャツをたくし上げられて直に肌にてのひらが押し当てられる。胸元を荒々しく撫で回されたところでやっと和彦は、与えられる感触があまりに生々しいと感じる。その違和感のおかげで、目を開けられた。 意識にへばりついたような眠気を強引に引き剥がしているうちに、視界に入る光景をようやく認識できるようになる。 つけたままのテレビの明かりがぼんやりと壁を照らしていた。その壁に、大きな影が映っていた。 声を上げるより先に、飛び起きようとしたが、背後からがっちり抑え込まれているため、身動きが取れない。咄嗟に首を動かそうとして、寸前のところで恐怖が勝った。自分が誰の腕の中に捕らえられているか、本能的に悟ってしまったからだ。 和彦の怯えを堪能するかのように、背後からきつく抱き締められる。分厚いてのひらが動き回り、胸の突起を捏ねるように刺激される。そして、もう片方の手が下肢に伸び、両足の間をぐっと押さえつけてきた。 このときには和彦は完全に眠りから覚め、全身から冷や汗が噴き出す。本能的な怯えから声も出せず、それでもベッドから抜け出そうとしたが、逞しい両腕に捕らえられた体は動かない。 背後で気配が動き、耳元に獣の息遣いがかかる。ゾワッと鳥肌が立った。「――別に、取って食いやしない」 耳に直接唇を押し当てて注ぎ込まれた声に、やはり、と和彦は思った。自分は今、南郷の腕の中にいるのだ。「ど、して……」 和彦がようやく言葉を絞り出す間にも、南郷の手は油断なく動き続ける。さらには、唇も、舌も。 刺激を与えられ、強引に反応を促されて胸の突起が凝ってくると、待っていたように南郷の太い指に摘み上げられる。同時に、耳朶を舌で舐られ、唇で挟まれていた。不快さに、たまらず首をすくめて声を洩らす。 顔を見なくとも、和彦の反応の意味を察したのだろう。南郷が低く笑い声を洩らした。「どんな男も咥え込んで甘やかす体のくせに、あんた自身は、俺が嫌いで堪らないんだな」 当然だと言いたかったが、そう言い放った瞬間、自分が縊り殺されるような気がして、和彦は唇を引き結ぶ。しかし、心の中を読んだのか、胸元をまさぐって
それに、賢吾がこちらの状況をある程度把握している様子なので、急いで連絡する必要性はなさそうだ。しかも、何日も滞在するわけではないのだ。 和彦はそう自分に言い聞かせ、気持ちを落ち着かせる。こうして中嶋を寄越してくれた効果は、絶大だというわけだ。 ボストンバッグを足元に置いて、和彦は頭を下げる。 「こちらの事情に巻き込んで、面倒をかけてすまなかった。それと……ありがとう」 「俺としては下心たっぷりなので、先生に頭を下げられると、心苦しいんですが」 「それでもいいよ。ここにぼくがいることを、君だけじゃなく、組長も把握していると知って、安心した」 中嶋がふいに腰を屈めて、顔を覗き込んでくる。何事かと和彦は目を丸くした。 「……なんだ?」 「いえ、明かりのせいかとも思ったんですが、先生、顔色が悪いですね」 「別に体調が悪いわけじゃないが、今日は疲れた……」 だからといってすぐにまた横になる気にはなれない。昼間は雨に濡れ、うたた寝をしている最中には汗をかいた体は気持ち悪い。それに、今日は朝からほとんど何も食べていないので、さすがに胃に何か入れておきたかった。 和彦が腹に手をやると、察したように中嶋が提案してくれた。 「来る途中で、弁当を買ってきたんですよ。どうせここだと、インスタントか、冷凍食品を温めるだけかと思ったんで。俺の分も買ったんで、ここで食べて帰っていいですか?」 和彦が頷くと、持ってきますと言い置いて中嶋が部屋を出ていく。その後ろ姿を見送った和彦は改めて、中嶋を寄越してくれた賢吾の気遣いを、心憎く思っていた。中嶋特有の配慮は、今はとにかく心地よい。 久しぶりに会った兄より、下心があると言い切るヤクザに対して安心感を覚えるとは――。 皮肉っぽくそう考えた和彦は、口元に淡い苦笑を刻んだ。** 中嶋が帰ったあとの隠れ家は、まるで建物全体が息を潜めているかのように静かだった。和彦以外に二人の男が滞在しているのだが、そもそも建物自体が広いため、少数の人間が動いたところで物音も聞こえないのだ。 かつては何人もの男たちが同時に入っていたであろう風呂も
板張りの薄暗い部屋には、ベッドやテーブルセット、テレビにエアコンだけではなく、クローゼットまで揃っており、他の部屋とは明らかに様子が違う。「特別なお客さんが使う部屋です。クローゼットの中に、サイズはバラバラですが、クリーニングした服がいろいろ揃っているので、自由に使ってください。それと――」 家の中での行動は自由だが、外には出ないようにと、何度も念を押された。そもそも、動き回る気力もなく、ドアが閉まるのを待ってから、和彦はぐったりとベッドに腰掛ける。 まだ一日が終わったわけではないが、今日は大変だったと、改めて実感していた。 英俊と交わした会話を思い返そうとしたが、頭の動きは鈍く、記憶が上手く繋がらない。ここで和彦は、自分がまだジャケットも脱いでいないことを思い出した。 億劫ながらも一旦立ち上がり、脱いだジャケットとネクタイをイスの背もたれにかける。ついでに窓の外に視線を向けてみたが、家の前の様子ぐらいしか見えなかった。 ふらふらとベッドに戻り、そのまま横になる。その瞬間、自分が肉体的にも精神的にも、ひどく疲弊しているのだと思い知らされた。もう、起き上がるどころか、目を開けることもできない。 賢吾に連絡しなければと思いながらも、抵抗する間もなく、和彦の意識はスウッと暗いところへと引きずり込まれていた。** 瞼越しに光が差し込んできて、和彦はビクリと体を震わせる。詰めた息をゆっくりと吐き出しながら目を開けると、なぜか、よく見知った顔が目の前にあった。電気の明かりがまぶしくて、数回瞬きを繰り返す。「――……何、してるんだ……」 ぼんやりとした意識のまま問いかけると、相手は、ヤクザらしくない優しい笑みを浮かべた。「先生の寝顔を見ようとしていたんですよ」「……つまらないぞ、見ても」 和彦の返答に、中嶋が短く噴き出す。「どんなときでも、先生は先生ですね。マイペースというか、危機感がないというか」 危機感、と口中で反芻してから、自分が置かれた状況を思い出す。途端に、一気に気分
** まだ午後三時にもなっていないというのに、和彦が車から降りたとき、日暮れかと錯覚するほど辺りは薄暗かった。 すかさず差しかけられた傘に雨が落ちる音がする。鬱陶しいほどの湿気は覚悟していたが、街中で生活していてはまず嗅ぐことのない、青草と土の匂いが立ちこめていた。 移動の間中、後部座席はカーテンで覆われていたため、外の様子がよくわからなかったのだが、ようやく和彦は周囲をじっくりと見渡すことができる。山間の、木々に囲まれた場所だった。天気のせいだけではないだろう。なんとなく、鬱蒼とした景色だと思った。 少なくとも、活気はない。なんといっても、和彦の目の前に建つ一軒家以外、辺りに人家が見当たらないのだ。当然のように、人も車もまったく通っていない。とにかく静かで、総和会の男たちがぼそぼそと交わす会話は、重苦しい静寂を打ち破るほどの威力はない。 日常から切り離されたような――という表現が、ふと和彦の脳裏に浮かぶ。観光地として、あえて静かな環境を保っているという様子はなく、ここは普段、人が立ち入らないような場所なのだろう。 だからこそ、身を隠すにはうってつけだ。 和彦はそっと息を吐き出すと、傘を差しかけている男に短く問いかける。「ここが?」「はい。佐伯先生には日曜日まで、ここで過ごしてもらいます。不便でしょうが、我慢してください」 和彦はもう一度息を吐き出して、車中で受けた説明を思い返す。 デパートの地下駐車場で車に乗り込んだあと、一旦身を隠してもらうと言われたものの、どんなところに連れて行かれるのかと不安でたまらなかったのだが、いざ目的地に連れて来られると、不安が解消されるどころか、新たな不安が募る。 長嶺組から、和彦の護衛を完全に引き継いだ総和会の目的は、理解したつもりだ。和彦と長嶺組の繋がりを、佐伯家に知られる事態は避けなければならない。 そのため、英俊と別れた和彦に尾行がついていれば、長嶺組は一旦手を引き、和彦の身を総和会に委ねることにしたのだという。これは、総和会という仕組みに関係がある。 総和会に名を連ねる十一の組の誰かが犯罪を犯して逮捕されたとき、組の名が表に出ることは
ヤクザなんて食えない男たちばかりだと思っていたが、自分も立派にその一員だ。半ば自嘲気味にそう思った和彦だが、このしたたかさは賢吾によって磨かれたものだと感じ、感慨深さも覚える。 賢吾はきっと、中嶋と関係を持つことを許してくれると、確信があった。あの男は、和彦の淫奔さとしたたかさを愛でている。「――それで手を打とう」 和彦が答えると、まるで契約を交わすように中嶋がそっと唇を重ねてきた。** ジムでシャワーを浴びるたびに、中嶋の体は見ていた。細身だがしなやかな筋肉に覆われて、いかにも機能的に鍛えており、鑑賞
湯気の向こうに姿を現したのは、禍々しくも艶かしい、大蛇の刺青を背負った男だ。「な、んで――」 思わず和彦が声を洩らすと、賢吾はニヤリと笑った。「仕事が終わって、寛ぐために一風呂浴びに来たんだ」 和彦は慌てて湯から上がろうとしたが、千尋にしっかりと抱きつかれ、肩まで湯に浸かってしまう。湯の中でもがいている間にも、賢吾は桶で汲み上げた湯を、悠々と体にかけている。「二人揃って、たっぷり雪遊びをしてきたようだな。雪だるまみたいになって戻ってきたと聞いたぞ」「……人を、子供みたいな言い方しないでく
凝った首筋を揉みながら、総和会の組員とともにエレベーターを待つ。上の階から降りてきたエレベーターの扉が開くと、すでに一人の男が乗っていた。その男の顔を見て、和彦は大きく目を見開く。「お疲れ様です」 和彦と一緒にいた組員が頭を下げた。すると、エレベーターに乗っている男が鷹揚に頷く。「おう。怪我人が運び込まれたって、えらい大騒ぎになってたが……、そうか、長嶺組の先生の世話になったんだな」 そんなことを言いながら、男がこちらを見る。反射的に会釈をした和彦は、その男の姓を心の中で洩らした。南郷、と。 元日に
デスクを並べてシーツを敷いただけの簡易ベッドの上に、腹から血を流した男が横たえられていた。顔は青ざめ、呼吸は速いものの、意識は取り戻している。 和彦は指示を出しながら手術着を着込み、洗面器に手を突っ込んで消毒する。その間に、頼んでおいた医療用品などが運び込まれてきた。 生理食塩水で血を洗い落とし、傷口をよく検分する。「ひどいな……」 顔をしかめた和彦は、思わず洩らす。「――大怪我なんですか?」 部屋に残っている組員に声をかけられ、顔を上げる。思わず洩らした一言で不安を煽ってしまったらしい