LOGIN足を広げられ、下着を穿いていないため易々と和彦の欲望は守光の手の中に収まる。
呼吸が弾む。丁寧に欲望を扱かれながら、守光の唇が首筋に這わされる。体は強張ったままだが、何も感じないわけではない。守光は、和彦の体の奥に灯る欲望の種火を燃え上がらせようと、じっくりと肌をまさぐってくる。 浴衣の前を寛げられて、胸元にてのひらが這わされる。解かれた帯を抜き取られると、上体を起こした守光に見下ろされる。そのときの眼差しが賢吾にそっくりだなと、ふっと考えたが、なぜか守光が口元を綻ばせた。「今、他の男のことを考えただろう」 答えは求めていないのか、両足を大きく左右に広げられ、辱めるようにあからさまな視線を中心へと向けられる。欲望の形を指先でなぞられて、柔らかな膨らみを優しく揉まれる。無反応ではいられず腰を揺らすと、守光に膝を掴まれた。「足を閉じるなよ、先生」 守光の愛撫に執拗さが加わる。指先に弱みを探り当てられ、巧みに弄られる。和彦が顔を背けて上擦った声を洩らすようになると、わずかに力が込められ、ゾクゾクするような感覚が背両足を折り曲げるようにして抱え上げられ、律動が大きくなる。和彦は喉を反らし、突き上げられるたびに恥知らずな嬌声を上げていた。自分が自分でなくなったような錯覚に襲われ、守光もまた別の誰かを組み敷いているような激しさを見せる。この場にいない相手を挟んで、二人は性的興奮を覚えていたのだ。 「あっ、あっ……ん、はっ、くうっ、うっ」 激しい律動が繰り返された時間は短く、守光のものが深々と穿たれてすぐに、生々しい脈動を感じる。和彦は反射的に目を閉じていた。体全体で守光の体の重みと硬さを受け止める。姿を見なければ、自分を抱いたばかりの男なのだと親しみ――というより愛着を抱く。 守光の手によって呆気なく射精へと導かれてから、ようやく目を開ける。汗で湿った和彦の髪を撫でながら、柔らかな表情で守光が言う。 「多淫で多情、それでいて気性が穏やかなあんたは、このうえなく好ましいオンナだ。特に長嶺の男と相性がよすぎる」 「そう……、でしょうか」 なぜいまさらこんなことを言うのかと、快感の余韻でぼんやりとした頭で思う。 内奥からゆっくりと欲望が引き抜かれ、和彦は熱を帯びた吐息を洩らす。すっかり蕩けて綻んだ内奥に指が挿入されて、精を掻き出すように蠢かされる。うろたえた和彦は慌てて体を起こそうとして、腹部に手を置かれて止められた。 「――まだ、このままで」 淫靡な音を立てながら内奥を刺激されているうちに、自分ではどうしようもない反応として守光の指を締め付けてしまう。 これは行為の後始末ではなく、いまだ行為の最中なのだと、はっきりと意図を持った守光の指の動きで察した。多淫と言われたばかりではしたないが、和彦は呼吸を弾ませ、腰をもじつかせる。 「さっきの話の続きだ」 「さっきの話……、えっと……」 「稜人のことだ。過保護にしてくれとは言わん。ただ、あの子が庇護や愛情を求めたら、あんたにできる範囲で与えてやってほしい。難しく考えんでくれ。そうだな……、稜人の歳の離れた友人のようなものと考えてくれたらいい。本宅に入ってからのヤクザに囲まれての生活。来年、小学校に入ってからの普通の家の子に囲まれての生活。小さな体と頭で受け止めるには大変な日が待っている。だから
再び反り返った和彦の欲望を性急に扱き、絶頂へと追い上げようとしてくる。 「あっ、あっ、や、めっ……。まだ――」 「オンナの務めだ。悦ぶ姿を曝け出して、わしらを悦ばせる。わしとあんたの仲だ。いまさら遠慮もないだろう」 守光の声は確かに笑いを含んでいた。ぐうっと道具を一層深く押し込まれ、いままで感じたことのない部分に刺激を感じる。次の瞬間和彦は、体の奥から熱い何かが夥しく溢れ出してくる感覚に襲われ、惑乱する。 浅ましい獣のように嬌声を上げ、身悶えていた。まるで本物の欲望で犯されるように内奥を激しく攻め立てられる。 「あっ……、うぅっ、うっ、くぅっ……ん」 和彦は中からの刺激だけで絶頂を迎えていた。不自由な姿勢のままのたうち、腰を振り、卑猥な道具をきつく締め付ける。意識が舞い上がり、頭の先から爪先にまで快美さが行き渡っていた。その余韻が消え去らないうちに内奥から道具が引き抜かれ、手首を縛めていた帯も解かれる。ぐったりと脱力した体をひっくり返されたところで、守光に挑まれた。 「はうっ」 ひくつく肉の洞に守光の高ぶったものを一息に挿入される。和彦は細い声を洩らしながら、咄嗟に守光の肩にすがりついていた。熱い肉の感触に歓喜しながら、懸命に締め付けて奉仕する。 守光は、浴衣の前を寛げているだけだった。背にある九尾の狐に直には触れがたいので、ある意味守光の配慮なのかもしれない。賢吾や千尋の背にあるものとは違い、どこか畏れ多いという感覚があるのだ。 もしかすると、自分の父親――俊哉が触れたかもしれないものだと考えると、なおさらだ。 ゆっくりと内奥を突き上げられ、吐息を洩らした和彦は守光を見上げる。耳元に顔が寄せられ囁かれた。 「今、不埒なことを考えたんじゃないかね。あんたの中が痙攣しながら、わしに食らいついている。何を考えて興奮した?」 「そんなことは――」 「あんたの体は、あんたが思っている以上に、素直で貪欲だ」 守光の視点に視線を逸らしたかったが、間近から目を覗き込まれてそれも叶わない。 「……あんたの父親は、腹の底を読ませない男だった。今も変わりないようだが」 ハッとして目を見開くと、
守光との行為は、いつでも畏怖と同時に、倒錯した興奮と背徳感を和彦に与えてくる。これは、守光以外には抱かない感情だ。力関係に年齢差、長嶺の男たちの頂点という立場、それらすべてが影響しているのだろう。どこか和彦を観察しているような眼差しは、息子と孫が触れるに相応しい存在か値踏みされているようにも感じるのだ。 だからといって体が拒絶反応を示すわけではなく、むしろ――。 「あっ、あっ……、ん、んうっ。んん……」 付け根まで挿入された指が小刻みに動き、快感の波を引き起こす。さらに口淫による刺激も加わり、和彦は声を抑えられなくなっていた。 時間をかけた愛撫に、全身が蜜に浸かったように甘い感覚に満たされていた。手足を動かすのが億劫で、頭の芯がぼんやりとしてくる。気がつけば、守光の手の中に精を迸らせていた。 仰向けで和彦が息を喘がせていると、守光が床から出る。つい行動を目で追っていると、桐箪笥の観音開きから何かを取り出す。振り返った守光が抱えているものを見て、和彦の胸の奥が妖しくざわつく。漆塗りの立派な文箱の中に何が収まっているか、よく知っているからだ。 床に戻ってきた守光は、まるで和彦に見せつけるように、準備を始める。和彦と〈遊ぶ〉ために。 相変わらず目を背けたくなるような露骨に卑猥な形をした道具だった。内奥を効果的に刺激できるよう瘤に似た小さな突起物がついているだけではなく、しっかりと張り出した括れがある。守光が、和彦のために作らせたものだ。 「――目の色が変わったな」 ふいに守光に言われる。和彦が軽く目を瞠ると、守光は口元に薄い笑みを浮かべる。 「懐かしいだろう?」 大きく乱れていた浴衣を剥ぎ取られて、うつ伏せにされる。さらには両手を取られて後ろ手で縛められる。手首に巻きつけられたのは帯だ。腰を突き出す姿勢を取らされたときは、さすがに羞恥で身じろいだが、尻の谷間に垂らされた冷たい感触に体が強張る。 溢れるほどの潤滑剤を内奥に施されてから、道具の滑らかな先端が擦りつけられる。無意識のうちに逃れようと腰が揺れるが、かまわず道具が押し込まれてきた。 「ううっ」 内奥の入り口が広げられ、苦しさに呻く。冷たく無機質なもの
足を広げられ、下着を穿いていないため易々と和彦の欲望は守光の手の中に収まる。 呼吸が弾む。丁寧に欲望を扱かれながら、守光の唇が首筋に這わされる。体は強張ったままだが、何も感じないわけではない。守光は、和彦の体の奥に灯る欲望の種火を燃え上がらせようと、じっくりと肌をまさぐってくる。 浴衣の前を寛げられて、胸元にてのひらが這わされる。解かれた帯を抜き取られると、上体を起こした守光に見下ろされる。そのときの眼差しが賢吾にそっくりだなと、ふっと考えたが、なぜか守光が口元を綻ばせた。「今、他の男のことを考えただろう」 答えは求めていないのか、両足を大きく左右に広げられ、辱めるようにあからさまな視線を中心へと向けられる。欲望の形を指先でなぞられて、柔らかな膨らみを優しく揉まれる。無反応ではいられず腰を揺らすと、守光に膝を掴まれた。「足を閉じるなよ、先生」 守光の愛撫に執拗さが加わる。指先に弱みを探り当てられ、巧みに弄られる。和彦が顔を背けて上擦った声を洩らすようになると、わずかに力が込められ、ゾクゾクするような感覚が背筋を駆け抜ける。 緩く身を起こし始めた和彦の欲望は再び守光のてのひらに包まれ、擦り上げられる。くすぐるように先端を指の腹で撫でられて、先端が濡れ始めていることを知った。「相変わらず堪え性のない体だ。だからこそ、わしらを悦ばせてくれるんだが。――年甲斐もなく、あんたに触れるのは楽しいんだ。興奮というほど激しいものではないが、どこまであんたに快感を与えられるか、試したくて仕方ない」 そんなことを言いながら守光が、うっすらと汗ばんだ内腿を撫でる。表情はどこか楽しげに見える。 舐めてやろう、と太く艶のある声で囁かれ、和彦は両足の間に守光の頭を迎え入れる。「あっ……、うぅっ」 括れを唇で締め付けられながら、先端に舌が這わされる。その間も柔らかな膨らみをまさぐられ、ときおりじわりと力を加えられる。先端にそっと歯が当てられると、本能的に怯えながらも被虐的な悦びが体の奥から湧き起こってくる。 守光の口腔深くに欲望を呑み込まれる頃には、和彦は両足を大きく開いたまま上体をのたうたせていた。濡れた
「あの子が本宅で落ち着いた生活を送れるようになってから、ただの爺として会うつもりだ。あまり急いで、強面の男ばかりと会わせるのも酷だ。賢吾は平気だったが、千尋が小さい頃は、大人の男と引き合わせたあとはよく熱を出して寝込んでいてな。……千尋と稜人は似た体質のようだと、賢吾が言っていた」「……線は細いですけど、ずいぶんしっかりとした子でした。本宅では気後れした様子もなかったですし、千尋とも打ち解けているように見えました。でも、そう聞くと、心配ですね」「爺の杞憂であってほしいがな。育った環境が落ち着かなかった分、自分の立ち回り方を理解している……しすぎているというのもかわいそうだ。子供は多少わがままで、親を振り回すぐらいでいい」 守光はアルバムを傍らに置くと、ひたと和彦を見据えてきた。反射的に背筋が伸びる。「稜人はもうじき長嶺の家に入る。生まれた時点で長嶺の姓を背負い、特殊な環境で育ってきた賢吾や千尋とは違う。すでに物心もついているからこそ、戸惑うことのほうが多いだろう。たった数時間、初めて訪れた場所で過ごすのと、ずっと暮らすのとでは、稜人にかかる心理的な負担も違うはずだ。そこで、あんただ」「ぼく、ですか」「あんたも、〈外〉の世界から、わしらの世界に連れてこられた人間だ。稜人とはだいぶ年齢も立場も違うが、一部で感覚を共有することはできる。だからこそあの子の理解者になれる――いや、なってほしい」「……ぼくは、他人ですよ? 稜人く……稜人のサポートは、やっぱり家族が一番だと思います。健康面で気を配ることはできますが、それ以外は長嶺家の方針というのもあるでしょうし、どこまで口を挟んでいいか……」「思うことがあれば、あの子の父親と祖父にぶつければいい。あんたは遠慮なく長嶺の男を振り回せるだろう」 守光の言う役割は、一般的な家庭では母親が担うものではないのかと思ったが、口には出さない。言っても益体もないことだ。 長嶺の家には女性がいない。偶々の結果なのか、あるいは明確な意志を
** 明日は朝早くにここを出なければならないと、緊張と居たたまれなさを誤魔化すために、和彦はそんなことを考えていた。実際、重要なことなのだ。なんといっても明日はまだ平日で、クリニックも通常通り診療を行っている。本部を出て着替えのためにマンションに立ち寄っても、ゆっくり座る暇もないのを覚悟しなければならない。 他人の都合で振り回されることに腹が立たないのは、気づかないうちに自分も他人を振り回しているはずだと自覚があるからだ。 夕食後、勧められるままシャワーを浴びて出ると、当然のように浴衣が準備されていた。袖を通してから、何げなく脱衣所の壁にかかった鏡に目を向ける。いくらか気疲れした様子の自分自身と目が合い、居たたまれなさから視線を逸らす。 脱衣所を出て、人気のないキッチンで冷たい水を飲んでから、守光の部屋に向かう。すでに床が延べられており、シャワーを浴びたばかりで火照った肌が、さらに熱を帯びる。 いまだに、守光と体を重ねることに慣れない。行為自体は慣れ親しんでいるともいえるのだが、相手が守光ということに気後れするのだ。 守光は布団の傍らに珍しく胡坐をかいて座り、手元に視線を落としていた。肩越しにちらりと視線を向けられ、誘われるように和彦も隣に腰を下ろす。守光の手元には、アルバムがあった。覗き込むまでもなく、守光は開いたアルバムを見せてくれる。「これは――」「稜人の写真だ。母元にいる間は、写真を送ってほしいと直接頼むわけにもいかんかったからな。賢吾が手に入れたものを、珍しくわしに分けてくれた」 写真には、今よりもずっと幼い頃の稜人が写っていた。野外で小さな体を丸めて遊んでいたり、スーパーらしき場所でベンチに腰掛けている姿、一人で歩道を歩いているものもあるが、稜人がカメラに気づいている様子はない。ほぼ隠し撮りのような画角ということもあって、賢吾がどんな手を使ったかなんとなく予想がついた。 次々と写真を見ているうちに、明確な変化が現れる。稜人がカメラを認識したうえで写真を撮られるようになっていたのだ。おっかなびっくりで大きな目をまん丸にしているが、少なくとも嫌がってはいないようだ。「うちの親類に稜人を預けてからは、とき