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第6話(20)

Author: 北川とも
last update publish date: 2025-11-20 17:00:28

「だからといって、お前がマネする必要ないだろ」

「約束して。先生が甘やかすのは、俺だけだって」

 真摯な表情と、食い入るような眼差しを向けられて、冷たくあしらうことなどできなかった。小さく息を吐き出した和彦は、大きな図体の犬っころの頭を撫で回す。

「ぼくはいままで、お前みたいな甘ったれと出会ったことはないぞ。こっちも手加減を忘れて甘やかしているから、お前一人で手一杯だ。他の奴に甘えられても、面倒見きれない」

「……照れ屋だなー、先生。お前だけだ、の一言で済むのに」

「調子に乗るな」

 千尋の頬を軽く抓り上げたが、当の千尋が楽しそうに笑っているので、バカらしくなってくる。和彦は、千尋の頭を抱き締めた。

「今日は、おとなしく帰れ。明日なら、部屋に転がり込んできてもいいから」

「うん。……いっぱいセックスしていい?」

 調子に乗るなと、千尋の足を思いきり踏んでやった。笑いながら体を離した千尋から濃厚なキスを与えられてから、なんとか帰らせること
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    「なんだか先生、すっかり心配性になりましたね。俺のことは心配しなくても大丈夫ですよ。少なくとも先生のせいで、俺の立場が悪くなることはありませんから」「……感覚がよく掴めないんだ。ぼくの言動が、周囲にどういう影響を与えるか。長嶺組とだけ関わっているときは、まだ平気だったんだ。だけど……」「総和会――というより、長嶺会長と関わると、自分の存在の大きさがわからなくなりますか」「実体や実力以上の影響力を得たようで、怖くなる。ぼくにその気がなくても、誰かを傷つけるかもしれない」 エレベーターが最上階に到着し、先に降りた中嶋が慎重に辺りをうかがってから、こちらに向かって頷く。 秦の部屋は、前回訪れたときからあまり様子は変わっていないように見えた。秦自身が、仕事で出張の多い生活を送っているせいもあるだろうが、中嶋が主に代わってきちんと管理しているのかもしれない。「きれいなままだな」「隣の部屋は覗かないでくださいね。秦さんが、雑貨の商品サンプルを溜め込んでいるんで」 和彦は思わず噴き出してしまう。「すっかり雑貨屋の経営者だな」「こまごまとした商品を扱うと手間がかかると、よくぼやいていますよ。でも、利益はけっこう出しているようです。――どんな雑貨を扱っているんだか」 中嶋から意味ありげな流し目を向けられ、和彦は苦笑で返す。「ぼくは何も知らないからな。秘密主義の男たちが顔寄せ合って相談したんだろうから、探ろうという気にもならない」「先生、隠し事に向かないタイプですから、それでいいかもしれませんね」 いろいろと身に覚えがある和彦は、あえて返事は避けておく。 中嶋を手伝い、買ってきたものをさっそく温め直したり、皿に盛り付けたりして、ラグの上に並べていく。 ハンバーガーにかぶりつく和彦を、中嶋はいくぶん呆れた様子で眺めながら、フライドポテトを口に放り込む。「こういうもので喜んでくれるなら、俺に言ってくれれば、いつでも買ってきて、配達しますよ」「……会長の部屋で、ハンバーガーの匂いをプンプンさ

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    last updateLast Updated : 2026-03-25
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  • 血と束縛と   第9話(32)

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  • 血と束縛と   第9話(20)

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