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第8話(23)

Author: 北川とも
last update publish date: 2025-12-07 17:00:38

 自分のことのように顔をしかめる中嶋は、とてもではないが、野心的なヤクザには見えない。ただ、この世界に足を踏み入れてわかったが、ヤクザであることを匂わせないヤクザのほうが、実は性質が悪い。

 その一人が中嶋なのだが、少なくとも秦の件で見せる表情は、本心だろう。それだけ、あの男――秦を本気で心配しているのだ。頭の切れる中嶋が、明らかに厄介事を背負っている秦をまだ自分の部屋に匿い、世話を焼く理由としては、それしか思いつかない。

「あれだけの内出血だ。さぞかし派手な痣になってるだろうな」

「ええ。男ぶりが台無しだと嘆いてましたよ」

「そんなことが言える余裕があるなら、大丈夫そうだ」

 和彦がこう言うと、途端に中嶋は表情を曇らせた。

「一応体を起こせるようにはなりましたが、息をするのもつらそうです。胸が痛いと言って」

「まあ、肋骨が折れているんだからな……」

 ここで二人の間に、不自然な沈黙が流れる。肝心な部分をはぐらかして会話することに、どうしても無理が生じてしまうのだ。
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  • 血と束縛と   第13話(21)

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  • 血と束縛と   第13話(5)

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    last updateLast Updated : 2026-03-29
  • 血と束縛と   第13話(15)

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