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第8話(5)

Author: 北川とも
last update Last Updated: 2025-12-04 08:00:29

「麻酔薬だ。心配しなくても、美容外科医は、麻酔薬の扱いには慣れている。持病はないな?」

 必要以上に素っ気なく応じた和彦は、苦笑しつつも秦が頷いたのを確認してから、傷口に注射針を入れる。

「――何があったんだ」

 沈黙で間がもたないため、そんな質問をぶつけてみる。案の定、秦は天井を見上げたまま答えない。和彦も本心から知りたいわけではなかったので、それ以上は問いかけず、代わりにこう言った。

「中嶋くん、本気で心配していたぞ。いかにも厄介なトラブルを抱えていそうなあんたを、見捨てもせずに自分の部屋に連れ込んだぐらいだ。後輩からの人望はあるみたいだな」

「中嶋は、頭が切れすぎるんです。しかも、要領がいい。そのせいか、どことなく他人を見下したようなところがある」

 中嶋が他人を見下すという点に関しては、賢吾も同じことを言っていたなと、ふと和彦は思い出した。

「だからこそ、自分より頭のいい人間にはすぐに懐きますよ。先生とか。そのうえ、面食いですからね」

 じろりと秦を睨みつけた和彦は、麻酔が効いているのを確かめ
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  • 血と束縛と   第20話(3)

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    「こういうところに来て、いいと思えるのは、浴槽が広いことだな」 和彦の言葉に、三田村が生まじめな顔で応じる。「大胆な発言だ」「――大胆っていうのは、こういうことを言うんだ、三田村」 和彦は、三田村の両足の間に顔を伏せると、すでに熱くなっている欲望に唇を押し当てた。「先生っ……」 三田村が驚いたような声を上げ、遠慮がちに頭に手をかけてきたが、かまわず和彦は行為を続ける。 片手で三田村のものを扱き上げながら、先端を優しく吸い、舌を這わせる。三田村はいつも、和彦がこの行為に及ぶとき、最初は遠慮がちで、申し訳なさそうな反応すら見せる。和彦は、そんな三田村を唇と舌で変化させていくのが好きだった。 何度も大きく息を吐き出す三田村の反応をうかがいながら、逞しさを増していく欲望を丹念に舐め上げ、唇で締め付けるようにして扱き、口腔の粘膜でしっとりと包み込む。 行為の間も湯は溜まり続け、伏せた顔が浸かるまでそう時間は残っていない。和彦の口淫が熱を帯びようとしたとき、思いがけない三田村の言葉が降ってきた。「――先生、顔が見たい」 三田村の掠れた囁きに、和彦は羞恥で全身を熱くしながら、小さく首を横に振る。すると、三田村の手があごにかかった。「見たいんだ。俺を感じさせてくれている先生の顔が」 そうせがまれ、三田村の欲望を口腔で愛撫しながら、顔をわずかに上向かせる。三田村が唇に笑みを湛えているのを見て、このまま消えたくすらなったが、狂おしいほどの欲望の前に羞恥心は呆気なく消えてしまう。 和彦は、三田村を見上げながら、愛撫を続けていた。 この男には、自分のあさましい部分を見る権利があると思った。和彦にとって、ただ一人の〈オトコ〉だからだ。 三田村が苦しげな表情を浮かべた次の瞬間、口腔深くまで呑み込んだ欲望が爆ぜ、熱い精を迸らせる。和彦はすべて受け止めて、嚥下していた。 顔が湯に浸かるギリギリの瞬間まで、まだ硬さを失わない欲望に愛撫を施し、三田村に引き起こされる。和彦の体はバスタブに押し付けられ、背後から三田村に挑まれた。「三田、村っ…&

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