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第9話(25)

Author: 北川とも
last update publish date: 2025-12-17 14:00:22

「そういえば、肋骨を折っていたんだな。客の前で平然としているから、すっかり忘れていた」

「さすがに、お客さまの前で醜態を見せるわけにはいきませんから。先生は特別ですよ。事情を知っているから、つい気が緩む」

 肋骨を折ってはいても、秦の口は滑らかだ。どうやって反撃してやろうかと考えながら和彦は、ぐいっとオレンジジュースを飲み干す。そんな和彦を、秦はおもしろそうに見下ろしていた。

「お代わりをお持ちしましょうか?」

「いい。あとで自分で取ってくる」

 和彦の返事に、ああ、と納得したように秦は声を洩らす。

「また、薬を盛られることを警戒しているんですね」

「さすがにこんな場で、不埒なことをするとは思いたくないが……念のためだ」

 ここで二人組の女性客が秦に話しかける。このまま和彦の側から離れるかと思ったが、秦は愛想よく会話に応じはしたものの、ウェイターを呼んで、女性客を料理の置かれたテーブルへと案内させた。そして、和彦に向き直る。

「――招待はしたものの、先生に来ていた
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