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第86話

Auteur: 霜晨月
last update Date de publication: 2026-08-03 17:56:33

打ち上げは夜九時まで続いた。

修はろくに食事にも手をつけず、空き缶を積み上げるように、ただひたすら飲み続けていた。

彼の視線は、部屋の隅に座るあの少女へと向けられていた。

澪は隣に座る部員と言葉を交わし、その口元にはごくかすかな笑みが浮かんでいる。今夜になって初めて目にした、彼女の笑顔だった。

その笑みは誰にでも向けるのに、ただ一人――彼にだけは決して向けようとしない。

修の胸の奥に、得体の知れない泥のような感情がどろりと溜まっていく。

彼は弾かれたように立ち上がると、足元をふらつかせながら澪の前まで歩み寄った。周囲が止める間もなく手を伸ばし、力任せに彼女を席から引き起こす。

「修――」

澪の瞳孔が大きく揺れた。

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