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第271話

Author: タロイモ団子
オークションの品々が次々と運び込まれ、やがて照明がゆっくりと落とされていく。

紬が今夜身に纏っている紫のシフォンドレスは、暗がりの中でほのかな銀光を帯び、静かに揺れていた。

「……美しい」

「え?」

聞き間違いかと思い、紬は隣に座る男を横目で見た。

理玖は思わず漏れた本音に内心で舌打ちしながら、何食わぬ顔でグラスを手に取る。

「……何でもない」

紬はなおも数度、彼を盗み見た。

だが特に変わった様子もないと確信すると、再び視線を戻し、出品物へと意識を向けた。

先ほどの筆よりも高額な品はあったが、最終落札の熱気は、あの一件には遠く及ばない。

紬は、かつてネットや書籍で一目見て心を奪われた絵画の数々を実際に目にし、静かな感動に浸っていた。

惜しむらくは手持ちの資金が心もとないことだが、それでも目の保養ができただけで十分だった。

一方で、あの正体不明の1番ボックス席の入札者は、今もなお執拗に価格を吊り上げ続けている。

いくつかの品では、もはや天井知らずの独走に入っている気配さえあった。

最終展示のセクションに入ると、主催側が無償提供されたジュエリーの一部をテーブルに
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