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第8話

Penulis: 心優(mihiro)
last update Terakhir Diperbarui: 2025-12-05 15:00:00

「美味しくなかった?」と聞くと、

「あ、いや……そんなことないよ! 本当に全部美味しかったよ」と言う。

「なんか無理してるみたいだったから。あっ! もしかして、体調悪い?」と聞くと、

「あ、いや、ちょっと昨日眠れなくて……」と言った。

「え? あっ、そうなんだ! 私もなかなか寝付けなかったし、早く目が覚めちゃった」と、笑いながら言ったが、やはり智之は笑っていなかった。

──違うんだ……眠れなかった理由、私の理由と同じじゃないんだ、と思った。

お弁当箱を片付けて、もう一つの水筒に入れて来た、コーヒーを紙コップに淹れた。

そして、手渡すと、

「ありがとう」と。

そして、いよいよ智之の話を聞くことにした。

「で、どうしたの?」と聞くと、

「あ……」と言ったまま伏目がちに黙り込んだ智之。

「何かあったんでしょ? ちゃんと話して! 婚約者なんだから」と私が笑顔で言うと……

「綾、ごめん!」と言った。

「ん? 何がごめん?」と聞くと、

智之は、

「綾と結婚出来ない!」と言った。

「え?」

さすがに驚いた。

「どうして? どういうこと?」と聞くと、

智之は、

「本当に申し訳ない」と、私に土下座をした。

「何? ちょっとやめてよ! ちゃんと話して」と、言うと、ゆっくり顔を上げ、

「俺、綾に嘘ついた」と言った。

「嘘?」

「うん……」

「何? ちゃんと順番に話して」と言うと……智之は、ゆっくり話し始めた。


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