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6 押しつけられた指輪が厄介ごとの始まりでした

Auteur: 缶小豆
last update Date de publication: 2026-07-17 05:20:00

レオンハルトは、宿舎に帰ってから室内に入り、鍵を閉めカーテンを閉めた。

そして、ほっと一息つく。

そして、店で受け取ったものを机に置き、自分がもらった剣をじっと見つめる。

(試し切りはまだだけど……手に馴染む感じがすごい)

刀身を光にかざしてみる。刃紋が細かく波打ち、鋼はまるで透き通った水のように艶やかだ。

「汚れのない世界が映っているみたいだ……相当いい剣だな」

そして……

「これ、魔力の属性が宿っているのを感じる。何の付与がされているんだろう?」

こんな時鑑定スキルがないのは惜しい。

だが、これはただものじゃない。相当な高級品だろうな。

ダリウスが国の金を横領した疑いが頭をよぎり、こんなもの高級なものを受け取っていいのか迷う。

いや、そういっても、もう受け取っちゃったけど……

俺は、これからどうすればいいんだ?

剣を、袋に入れて戻し、壁に立てかける。

そして、視線を、頼まれていた指輪の箱に向け、そっと触れた。

「ダリウスから渡すように頼まれた相手は恋人じゃなかったのか?」

レオンハルトは、苦虫を噛み潰したような渋い顔つきになる。

話が変わりすぎている。

なんで、娘に変わっている?

しかも娘って誰だ? 

ダリウスの彼女の娘のことか?

取り調べを受けているということだったが、その娘に渡すのが正解なんだろうか?

頭の中をいろいろな考えが回り続けていたが、本来の目的である指輪に何かヒントが隠されていないかと、指輪のケースをそっと開けてみた。

「ん?大きくないか?」

中の指輪は、男性の中指にぴったり合うほど大きくて重厚だ。

その指輪の真ん中にある石は宝石ではなく魔石だろう。

強い魔力を感じるし、複雑な細工が施されている。

だが、詳しいことはわからない。

(どうみてもプロポーズ指輪じゃない、これは)

一つだけ確かなのは、俺はダリウスに騙されて、知らぬ間に面倒なことに巻き込まれている、ということだった。

「おいおい……誰にも相談できないじゃないか。まずは明日、娘の取り調べの様子を聞いてから動くか」

レオンハルトはため息をつきながら、ダリウスの策略にまんまとハマってしまった自分を呪いたくなった。

翌朝、騎士団の朝練で、こんな噂が流れていた。

「聞いたか?あの錬金術師の娘、尋問で何も話さずに、釈放された後、逃げたらしいぞ。

「ありえねえ……じゃあ、総司令官の行方も掴めないままか?あんなに警戒されてたのにどうやって逃げたんだよ?」

レオンハルトは、耳に入ってくるタイムリーすぎる噂話に眉をひそめる。

(さて、これからどう動くか……)

レオンハルトは朝練を終え、こっそりと有給休暇の申請を出す。

「総司令官のことで疲れてるんだろ」

「そういえば、団長は可愛がられていたもんな」

周囲が勝手に察してくれたおかげで、申請はすんなり通り、むしろゆっくり休んでくださいと団員からも気の毒そうな視線を投げかけられた。

レオンハルトは、部屋に戻り、朝にもかかわらず、再びカーテンを引いて鍵をかける。

誰かに見られてはならない

その気持ちの焦りがあった。

机の上に再度、置いたのは、預かった短剣と指輪、そして自分が受け取った剣。

短剣を調べていくと「ミレイユ」と名前が刻まれている。

「尋問にかけられていたダリウスの恋人の娘の名前もミレイユだった。やはり娘とは恋人の娘だろうな」

そう、レオンハルトは確信した。

「指輪はどうだ?」

リング裏を調べても、イニシャルなどの刻印はない。

だが、ケースの中のクッションをめくると、小さな紙片が現れた。

そこには――

【すまない。指輪はお前にやる。力を貸してほしい】

見慣れたダリウスの筆跡で書かれている。

「すまないで済むか?ざっくりしすぎだろ」

レオンハルトは、思わず低く呟いた。

何を、どこで、誰に対して力を貸すのかも書いてくれ。

ついでに言うなら、男から指輪を贈られる趣味はない。

「とりあえずもらった物は表には出せないな」

これだけ素晴らしい剣をもらっても、出所がダリウスでは……

レオンハルトは、片付けるためにまとめて持ち上げた時、ふとその男性用のサイズの指輪が気になった。

「お前にやるって言うけど……どのくらいの指の太さの人がはめるのか気になるな」

レオンハルトは、試しに指輪をはめてみた。

サイズはぴたりと合った。

だが、──瞬間、視界がねじれる。

「……なるほど。こういう仕掛けか」

床に足がついた頃には、すでに理解していた。

この指輪は、アクセサリーじゃない!

転移魔法の発動だ。

ーーー

そして、転移したレオンハルトの目の前にいたのは、煤で顔まで汚れ、焚き火を慌てて消そうとしている少女だった。

以前店で見た雰囲気よりは、子供っぽい雰囲気に見えるのは、化粧も何もしていないからか?

だが、そんなことより――

その少女の慌ただしさとは対照的に、レオンハルトは、軽く眉を上げた。

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