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第62話

Auteur: 吉乃婆婆
last update Date de publication: 2026-07-27 18:59:40

「確かに。ラストノートはかなりその人に馴染んでくるけど、その人のイメージと違い過ぎるとちょっと、えって思っちゃうね。逆にぴったり合ってると心地よく感じるし。結構大事かな。」

「第一印象、外面的イメージ、内面的イメージって感じですかね。」

「周りにとってはね。自分では、さぁ行くぞ!って気合が入って、ガンガン頑張って、最後に終わったぁ~ってリラックスする感じ?」

「そうなんですね!参考になります!」

「いやいや凛ちゃん、僕たちの勝手なイメージだからね。正解とは限らないよ。」

「いえ、自分ではそんなイメージすら沸かなかったので助かります。うーん、うん!何とか頑張れるかな?」

「参考になった?じゃあ、記念すべき第一作は僕たちにも体験させてくれる?」

勇真が興味津々で聞いてくる。

凛華は、はいと答えようとして躊躇った。もし、颯生の為のものだと気づかれたら気まずくなるかも……。

「ちょっと…自信ないです。いくつか練習して、お渡しできるような物ができた時でもいいですか。」

凛華の困ったような顔を見て、颯生が、

「冗談だよ、凛ちゃん。勇真の言ったことなんて気にせずに、自分で納得できるものを作ればいい
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  • 間違い人生のトリガーを破壊して新しい人生を謳歌します!   第66話

    箱の中には、三色の綺麗な硝子の小瓶がびっしり入っていた。数えてみると、30個もある。しかも一つ一つ工夫を凝らした手作りのようだ。驚いて瓶を見つめる凛華に父が、「気に入ったかい?一足早いクリスマスプレゼントだよ。工房長に頼んで作ってもらったんだ。出来上がったと連絡をもらったので早速君に見せたくて届けに来たんだ。」「凄いです!とっても素敵です。ありがとう、お父さん。そうだ!もう出来てる香りがあるんです。ぜひ、試して見てくれませんか。」「いいのか。」「もちろん!」凛華はすぐに既にできている凛華のレシピのを持ってきた。そして、グドムンドの手首にひと吹き吹きかけた。辺りに爽やかな香りが広がる。以前試したのよりもすっきりした感じがする。「どうですか?お水を替えてみたんです。それと、精油の産地を替えてみたりもしたんです。」「うん。爽やかさが増して普段でも使えそうだ。」「ふふっ。ちょっとお父さんに合うかなって思ったのでそう言ってもらえて嬉しいです。」「……僕?僕をイメージしてくれたのか?」グドムンドのあまりの喜びように、少し慌てて、「いえ、ただ、ちょっと、合うかなって思っただけですけど……。」「ちょっとでも思い浮かべてくれただけで嬉しい。プレゼントを届けに来たのに逆にプレゼントをもらった気分だよ。ありがとう、凛華。あっ、この香り、芙美華にも感想を聞かなくては!早く帰らなきゃ。じゃ、凛華またな。無理をしてはいけないよ。」父はお茶も飲まずに慌ただしく帰ってしまった。少しイメージしたと言っただけで、あんなに喜んでもらえるなんて予想もしなかった。もし、颯生さんに最初からあなたをイメージして創りました、なんて言ったらどんな反応をするのだろう。ただの知り合いの妹のような存在からそんな事を言われたら……、やっぱり迷惑に思うのだろうな。これは絶対に秘密にしなくては…と密かに心に決めた。マリア達とは、学園のミーティングルームを借りてそこで集合した。「凛華、アルフ、久しぶりね。どう?満足のいくものができたかしら。」「はい。今の私にとって最高の物ができたと思います。」「僕もだよ。この3カ月間、とっても楽しかった。」三人で近況報告をした後、それぞれの作品を交換して鑑賞し合った。「同じようなレシピなのに材料や成分の僅かな差でこんなに印象が違ってくるのね。」「

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    「確かにそれは心配ですね。」てっきりグドムンドを諌めてくれると期待していた凛華と芙美華は驚いて颯生を見た。グドムンドもまた、同志を得たとばかりに颯生を見て、「分かってくれるか!だから芙美華の家みたいにして、凛華も家族も安心して思う存分に好きな事をさせてやりたいんだ。」『えっ?若桜家の離れってそんな理由で建てられたの?』凛華と颯生と勇真は驚いて、一斉に芙美華を見た。芙美華はばつが悪そうに視線を反らした。『『『そうだったんだ……。』』』「まぁ、取り敢えず今は叔父様に紹介してもらった工房の部屋をお借りできてるから充分です。先のことはまたそのうちに……と思っています。」凛華は話題を変えるように言った。「ところで、お姉様はお元気でしたか。確か今年は中学部になられたんですね。」「ああ、彼女は呑気に学校生活を楽しんでいるようだよ。音楽部に入ってバイオリンの練習を頑張るそうだ。」「そうなんですね。じゃあ、今度帰ったら一緒に演奏してみたいなぁ。」「凛ちゃんもまだピアノの練習しているの?」勇真が意外そうに聞いた。「いえ、ピアノは数年で止めてしまいました。三年ほど前からチェロの練習を始めたんです。寮にいた時は音楽室を借りて練習していたんですが、この家に住むようになって家で練習できるようになって嬉しいです。」凛華が答えると、「君たち、凛華のチェロを聴いたことないのかい?僕はもう何回か聴かせてもらったよ。中々の腕前で感動したよ。君たちはまだ聴けていないんだ。それは残念だね。」グドムンドが自慢げに話し始めた。複雑な表情の二人を見て芙美華がグドムンドを諌めた。「グム、大人げないわよ。どんどん親バカになってきちゃって、ごめんなさいね。」「いえ、今度聴かせて貰う楽しみが出来たので大丈夫ですよ。そうだ、凛ちゃんそのうちに同じ曲を練習して一緒に演奏しないか?」「ええ、いいですよ。来栖さんはピアノですよね。」「ああ、三人で弾ける曲を探して連絡するよ。」「楽しみです。」「僕もビオラなら弾ける。」話がまとまりかけた所で、颯生が参加の意思を示した。「へぇ〜。珍しいな。じゃあ翔月にも連絡しとく?」「そうだな。一人だけ知らなかったら寂しがるかもな。」どんどん話が膨らんでいく三人を、芙美華とグドムンドは微笑みながら見守っていた。9月に入っていよいよ医療実習が始

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    「そうなんですね。今まで何か作業する時は一人だったので気づきませんでした。そう言えば、知らない間に凄く時間が経ってしまってたことがよくありました……。」 「これからは気を付けた方がいいわよ。タイマーをかけておくとか、誰かに声をかけてもらうように頼んでおくとか。」 「はい。気を付けます。」 「さて、じゃあ今日はもうおしまいって事でみんなで帰ろう!」 それからも三人で相談したり、教え合いながらようやくそれぞれの作品が完成したのは実習終了の四日前だった。 その翌日、早速担当指導員のスヴェンと、工房長とオーナーの三人が集まり、ちょっとした発表会が行われることになった。 「スヴェンから今回の実習生は優秀だと聞いてね。いつもは彼の判断だけで成績を出していたのだが、ちょっと興味が出てきて私達も参加させて貰うことにしたんだ。」 工房長のフレドリクに続いて、オーナーのソフィアも、 「私もよ。ちょうど時間も空いていたし、楽しみにして来たの。」 と言ってにこにこしながら席に着いた。 ついさっきまでお互いの作品を楽しみにして燥いでいた三人は、少し顔を引き攣らせながら恨めしそうな目をスヴェンに向けていた。 『もっと早く言って欲しかった。』 三人に見つめられたスヴェンも戸惑いながら、 『僕だってさっき聞いたんだ。まさか本当に二人とも来るなんて…。』 と思いながらも、仕方なく三人の視線を無視して発表会を始めた。 最初はマリアの発表だった。 資料として既に三人のレシピはそれぞれの手元に用意されている。その上で、コンセプトや工夫点の説明をしていった。 そしていよいよ実際に香りを確かめることになった。 マリアが瓶の蓋を開けた途端、辺りに爽やかな香りが広っていく。 まず、試験官である三人がムエットで更に詳しく香りを確かめた。すると今まで気軽ににこにこしていた工房長とオーナーが、次第に真剣な表情になっていった。凛華たちも邪魔にならないように少し離れた所で香りを確認しながら小声で感想や説明を言い合っていた。 十数分して香りがトップノートからミドルノートに移って行くと、再び試験官三人が驚きと満足そうな表情になっていった。 「想像以上の出来だわ。後の二人の作品が楽しみね。」 「全くだ。本当にこの工房にあった材料で作ったのか?

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    「確かに。ラストノートはかなりその人に馴染んでくるけど、その人のイメージと違い過ぎるとちょっと、えって思っちゃうね。逆にぴったり合ってると心地よく感じるし。結構大事かな。」「第一印象、外面的イメージ、内面的イメージって感じですかね。」「周りにとってはね。自分では、さぁ行くぞ!って気合が入って、ガンガン頑張って、最後に終わったぁ~ってリラックスする感じ?」「そうなんですね!参考になります!」「いやいや凛ちゃん、僕たちの勝手なイメージだからね。正解とは限らないよ。」「いえ、自分ではそんなイメージすら沸かなかったので助かります。うーん、うん!何とか頑張れるかな?」「参考になった?じゃあ、記念すべき第一作は僕たちにも体験させてくれる?」勇真が興味津々で聞いてくる。凛華は、はいと答えようとして躊躇った。もし、颯生の為のものだと気づかれたら気まずくなるかも……。「ちょっと…自信ないです。いくつか練習して、お渡しできるような物ができた時でもいいですか。」凛華の困ったような顔を見て、颯生が、「冗談だよ、凛ちゃん。勇真の言ったことなんて気にせずに、自分で納得できるものを作ればいいよ。」「そうそう、ちょっと言ってみただけだから気にしないで。」「はい。でも、いつかお二人それぞれに合う香水を作れるように頑張ります!」「凛ちゃん、将来は調香師を目指すんだったっけ?」「いえ。調香は趣味になると思います。」「そうなんだ。」一瞬遠い目をした勇真だったが、やる気に満ちた笑顔の凛華を見ると、まぁいいか、と当てにせず待つことにした。颯生達と別れた凛華は調香の工房に戻った。資料室にはマリアが一人で調べ物をしていた。「こんにちは。今はマリアさんだけですか?」「ええ、アルフは別の部屋で試作品づくりをしているわ。」「もうレシピが出来んですか?」「どうかしら。彼は元々レシピは重視しないタイプでしょ。頭で考えるより鼻で組み立てる方が捗るんじゃないかしら。」「なるほど。」「やだ、真面目に納得しないでよ。冗談よ。イメージで組み合わせた香りが実際にどんな香りになるか確かめに行ったのよ。」「それは大事ですね。私もあと少ししたら実験しに行こう。」「その様子ならやっとイメージが固まったようね。」「はい!まだ何となくですけど。マリアさんはどうですか。」「私もイメージはで

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    「わかっています。あと2週間、外面的には完璧で従順な妻でいます。夫以外の異性と親しくしません。もし破ったら若桜家からの独立はあきらめます。財産分与は一切なしで東雲家を出ていく事に同意します。あなたも忘れないでください。私が約束を守ったら、契約通り2週間後には正式に離婚してください。慰謝料として、自立に必要な家と現金三千万をいただきます。」「もちろんわかっている。お互いに望む所だからな。」二人でそんな話をしている間、他の者たちは楓香を中心にパーティーを楽しんでいた。この異常な婚姻関係を結ばざるを得なかった原因はこの楓香なのに、と思うと無性に腹が立つが仕方ない。六歳のあの時、自分のひと言

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