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第556話

作者: 風羽
彼女もバカではない。藤堂沢にいいように扱われ、まるで、掌で弄ばれているように感じていた。

彼は、明らかにわざとやっているのだ。

清水晶の時も、今夜の女性たちの時も、彼はわざとやっている。

なぜ、彼は自分にこんなことをするんだろう?

ただの遊びなのか?自分が......面白いおもちゃだから?

鏡に、人影が映った。

藤堂沢だった。

キラキラと輝くシャンデリアの下、完璧な装いの彼は、ワインを2本も空けているにもかかわらず、冷静な表情で、彼女をじっと見つめていた。

彼の視線は、さっきの席とは全く違っていた。

さっきの女性たちを見る目は、どこか冷めていた。しかし、彼女を見る目は熱い。まるで、視線で彼女を愛撫し、服を脱がそうとしているかのようだった。

九条薫の体は、震えていた。

力が抜けたように壁に寄りかかり、この危険な男を見上げ......逃げ出したい衝動を覚えた。

会社を辞めて、新しい仕事を探すべきかもしれない。

そんな考えが頭をよぎった時、藤堂沢はタバコの火を消し、そうっと言った。「もう行こう。運転手が待っている」

九条薫は驚いた。まだ9時なのに、もう帰るのか?

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