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第1196話

Autor: 桜夏
透子の手は掴まれたまま、振りほどけない。蓮司の、その必死な叫びを聞きながら、透子は深呼吸を一つすると、目を閉じた。

聡がすぐに駆け寄り、蓮司の手を強引に引き剥がした。二人が完全に引き離された、その時、透子は背を向けたまま、口を開いた。「私たち、縁がなかったのよ。あるいは、悪縁だったのかもね」

あの頃の両想いが、何だというのか。それも、今となっては遅すぎる気づきだ。

すでに十年が過ぎ、今では、腐り果て、悪臭を放つだけの汚物と化した。

そして、そもそも、その縁を無理やり結ぼうとしたのは、自分だった。自分が、先に蓮司を好きになり、必死に彼を追いかけたのだ。

おそらく、神様も、二人が結ばれることを望んでいなかったのだろう。だから、これほど多くの障害を与え、二人を引き裂いたのだ。

「どうして、あの時、本当のことを言ってくれなかったんだ。もし、言ってくれていたら、俺たちは、こんなことにはならなかったはずだ……」

蓮司は両手を地面につき、透子の、冷たく、決然とした後ろ姿を見つめた。

透子は言った。「もう、忘れて。人は、前を向いて生きていかなきゃ。新井、私たち、とっくに終わってるの」

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Comentários (1)
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     芳香
あの時、透子が本当の事を言ったとして、当時美月の言う事を信じていた蓮司はきちんと話聞いていたかはわからないですよね?透子が作り話してると思う可能性もありましたよね。
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