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第755話

Author: 桜夏
透子は歩みを速めた。なぜ理恵の母が自分を訪ねてきたのか、心は疑問でいっぱいだった。

一度も会ったことがない。以前、理恵に家に誘われた時も、「いつか伺います」と口先だけで返事をしたきり、一度も訪ねたことはなかったのだ。

そんな疑問を胸に、透子はロビーへと急いだ。

ハイヒールの音が聞こえ、柚木の母はそちらに目を向けた。写真で見た姿と大差なく、むしろ実物の方がさらに際立って見える。

カーキ色のスーツスカートを身につけ、全体のコーディネートはシンプルで上品だ。化粧も濃くなく、清楚で洗練された印象を与える。

背はそれほど高くないが、華奢で、可憐なその姿は、どこか庇護欲をそそるものがある。

柚木の母が透子を観察している間、透子もまた彼女を見ていた。

理恵は母親に六割ほど似ている。ただ、理恵がより華やかで快活なのに対し、母親の方は歳月を重ねたことで生まれた、落ち着きのある貴婦人といった佇まいで、優雅さと気品に満ちている。

透子は一礼して挨拶した。「初めまして、如月と申します。理恵にはいつもお世話になっております」

柚木の母は微笑みながら言った。「こちらこそ、娘がいつもお世話になって
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