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第七話

last update publish date: 2026-06-28 16:58:00

「極端な話をすると、例えば目玉焼きにソースをかけるか、醤油をかけるか、たったそれだけのことからリコーンってなることもまあ、あるかもしれないねって話なのよ」

これは美沙の言葉だ。

それは水口夫妻の“面談“のためのブリーフィングの場でのことだった。

水口夫妻の詳しいプロフィールが書かれた書類をめくりながら、沙月は戸惑いの言葉を返す。

「この水口さんご夫妻も、目玉焼きで離婚するんですか?」

「違う違う、あくまでも例え話。いや、"目玉焼きでリコーン"の調停を担当したことあるけどね」

「そんなことで離婚できるんですか?」

「できる。マジでできる。離婚理由として一番多いのが"性格の不一致”ってやつなんだけど、これって便利な言葉でね、目玉焼きに何をかけるかっていう些細な問題から、子どもの教育方針や夫婦生活の価値観、嫁姑問題から金銭のやり取りに至るまで、意見の相違ってのを何でもかんでもひっくるめて"性格の不一致”として扱うことができるわけよ」

「はあ、なるほど?」

「で、ここからが大事、離婚理由として一番ポピュラーなのが"性格の不一致"だけど、これ、裁判にまで持ち込むとまず離婚理由として認められない
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    “相談室”の奥にある扉を開けると、そこは相変わらず、バラで埋め尽くされていた。誰かの激しい怒りを吸い上げたような真紅の薔薇。恋を弔う祭壇に似た白い薔薇。深い悲しみを抱え込んだみたいに俯く黄色の薔薇。この深い感情の中に、曖昧で不確かなピンクのバラを、果たして置いてもいいものなのか——手の中のバラをくるりと捻りながら佇む沙月に、遥子は静かな声で聞いた。「どうしたの?」「私なんかが、バラを置く資格があるのかなって……」「どうして?」「冷静に考えてみると、夫は別に悪いことなんか一つもしていないんです、私が勝手に苛立っただけで……」「そう、あなたはそう思ったのね」沙月は、ふと目に

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