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第112話

Penulis: 風待 栞
ガシャン!

鋭い破砕音がリビングに響き渡り、二人はハッとして声のした方を見た。

落としたグラスが足元で粉々に散っているのも意に介さず、紗音は完全に血の気を失って立ち尽くしていた。目を見開き、口を半開きにしたまま、水琴の赤く腫れ上がった足を、何かに取り憑かれたような形相で凝視している。

「紗音ちゃん……?」水琴は静かに声をかけた。

「あああっ!」直後、紗音は突如として悲鳴を上げ、両手で耳を強く塞いだ。何かおぞましいものを目の当たりにしたかのように、パニック状態で後ずさりしていく。

「助けて!誰か、助けてっ!」

苦痛に満ちた絶叫が響く。かと思えば、ふいに狂ったように笑い出した。「あっちへ行って!寄るな!どっか行け!助けて!水琴お姉ちゃん、やめてぇっ!」

目の前に悪魔でもいるかのように、支離滅裂な言葉を泣き叫びながら喚き散らす。

灼也は顔色を変え、慌てて紗音のそばに駆け寄って暴れる体を抑え込もうとした。「紗音、落ち着け。俺だ」

だが、大人の男の低い声は、かえって彼女の心の奥底にある最も恐ろしい記憶の引き金を引いてしまったらしい。紗音は顔中を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら
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