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第11話

Author: 風待 栞
七緒は長いこと灼也に仕えているが、あくまで彼の「プライベートシェフ」という肩書きで、その素性は謎に包まれている。当然、臣たちは彼の顔を知らなかった。見知らぬ男が、さも親しげに水琴と鹿耶に声をかけ、自分たちを完全に無視した挙句、こう言い放つのをただ見ているしかない。「夜風で冷えるっスよ。よろしければ、オレがお二人をお送りするっス!」

その申し出に、鹿耶はぱあっと顔を輝かせた。敵の敵は味方、とはよく言ったものだ。臣と紗夜、あの気に食わない二人の鼻を明かせるなら何でもいい。彼女はたちまち目を輝かせ、甘えた声を出した。「ほんと?じゃあ、七緒さんにお願いしちゃおうかな」

その様子に、水琴は思わず苦笑する。だが、彼女には分かっていた。これほど気が回る男ではない七緒を寄越したのは、おそらく灼也本人だろう。

水琴は鹿耶に続いて車に乗り込みながら、夜の闇に沈むロッジを見上げた。先ほどの、あの男からの依頼が脳裏に蘇り、彼女の眼差しがふと遠くを見つめるものになる。

「静沢さん。蓮見教授から伺っている。君は心理学の分野で、類稀なる才能をお持ちだと。ある患者を診てほしい。君の力を貸してもらえないだろうか
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