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29話

مؤلف: 東雲桃矢
last update تاريخ النشر: 2026-08-19 11:00:21

 食事が終わると、作戦会議が始まる。テーブルの上には、それぞれのスマホとノートが置かれている。

「まず確認なんだけど、香坂蒼斗くんとの交際は、どっちから?」

「蒼斗さんから告白してくれたの。昔から舞花に恋人を取られ続けてたし、自分に自信がなくて何回か断ったけど、舞花じゃなくて私がいいって言ってくれて、それで……。あのネットニュースにあったラインのやり取りは、本物だった……」

「そんなことが……」

 壮介はノートに箇条書きしていく。

 今の恋人に、かつての恋人について聞かれるのは、気持ちの良いものではない。だが、今は緊急事態だ。それに壮介は、解決するために色々考えているのだ。気まずいなんて言ってられない。

「これはあの時、酔ったヒカリさんから聞いた話なんだけど、結婚式当日にヒカリさんが目を離した隙に、舞花さんが勝手にウエディングドレスを着て、そのまま蒼斗さんと舞花さんの式になったのは事実?」

 当時の悔しさと、それを酒の勢いで話してしまった恥ずかしさで、なんとも言えない気持ちになる。<

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  • 魔法のルージュ〜婚約者を奪われて始まる真実の愛〜   30話

    「いいえ、私の友人よ。あの人達は私に受付をさせて、式場の隅に置いたパイプ椅子に私を座らせたの。招待状には私の名前が書いてあったけど、印字ミスってことにしておけって」「だいぶ無茶のある誤魔化し方を……」 壮介は顔をしかめながらも、ヒカリから聞いた話を簡潔にノートにまとめていく。「呆れ返って帰った人もいたっけ……。こんな感じで、私を陥れるのが生きがいみたいな人達だから、招待客を呼んだってわけ」「それなら、証人になってくれそうな人はいそうだね。招待状を取っておいてる人とか、いるといいんだけど……。ヒカリさん、心当たりとかない?」 心当たりと言われて、アリサの顔を真っ先に思い浮かべる。だが、彼女を信用していいのか分からない。「そうね……。招待した人達に聞いてみる」 抵抗と不安はあったが、ヒカリは結婚式に招待してた人達に、今のニュースはすべて嘘であることを簡単に伝え、招待状を持ってるかラインで聞いた。一応、アリサにも……。「一応、聞いておいたけど、この時間に仕事してる人もいるだろうし、返信はいつになるか分からない」「それでいいよ。そうだ、家族のグループトークが偽物って証拠もあるよね。今のうちにラインのスクショを撮っておいて」「そっか、証拠は大事だもんね。私、ずっとパニックになってて、証拠集めとか考えられなかった。壮介さんが来てくれて本当によかった」 ショックが大きすぎて、どう動くべきか考えてすらいなかったことに気づく。壮介が来てくれなかったら、スクショも撮れなかっただろう。「こんなことになったら、誰だってパニックになるよ。僕が支えるから、ヒカリさんは堂々としてて」「壮介さん……。ありがとう。あなたが来てくれて、本当によかった」 ヒカリは家族のグループトークや、個人のトーク画面をスクショしていく。見返していて、気分が悪くなる。「他に証拠になりそうなものとかある?」

  • 魔法のルージュ〜婚約者を奪われて始まる真実の愛〜   29話

     食事が終わると、作戦会議が始まる。テーブルの上には、それぞれのスマホとノートが置かれている。「まず確認なんだけど、香坂蒼斗くんとの交際は、どっちから?」「蒼斗さんから告白してくれたの。昔から舞花に恋人を取られ続けてたし、自分に自信がなくて何回か断ったけど、舞花じゃなくて私がいいって言ってくれて、それで……。あのネットニュースにあったラインのやり取りは、本物だった……」「そんなことが……」 壮介はノートに箇条書きしていく。 今の恋人に、かつての恋人について聞かれるのは、気持ちの良いものではない。だが、今は緊急事態だ。それに壮介は、解決するために色々考えているのだ。気まずいなんて言ってられない。「これはあの時、酔ったヒカリさんから聞いた話なんだけど、結婚式当日にヒカリさんが目を離した隙に、舞花さんが勝手にウエディングドレスを着て、そのまま蒼斗さんと舞花さんの式になったのは事実?」 当時の悔しさと、それを酒の勢いで話してしまった恥ずかしさで、なんとも言えない気持ちになる。「間違いない、けど……。私、なんて言ってたの?」「また舞花に取られたー! って、やけ酒してたよ」 恥ずかしさのあまり、テーブルに顔を突っ伏してしまう。穴があったら入りたい。「ただ、詳細は聞いてないから、不可解な点がいくつかあるんだよね。それを聞いてもいい?」「えぇ、もちろん」「蒼斗さんとは秘密裏に交際してたって言ってたけど、結婚式って身内だけだった?」「招待客はいたけど、芸能人だけだし、口が固い、信頼できる人だけだったの。蒼斗さんの指示でね」「それはどうして?」「お互いのイメージを壊さないために、結婚したことは公表しないでいようって言われてて……」「なるほどね。けど、それなら招待客なんて呼ばなければいいのに」 壮介の言うことは最もだ。人気絶頂の芸能人が結婚しても、結婚式をしなかったり、身内のみの式を挙げ、人気が落ち着いてきてから発表することもある。 本当に誰にも知られたくなかったら、壮介が言ったよう

  • 魔法のルージュ〜婚約者を奪われて始まる真実の愛〜   28話

    「壮介さん……。ありがとう」「いいって。さてと、ここはどんなルームサービスがあるかな」 壮介は明るい声で言うと、メニュー表を広げてヒカリの隣に座る。一緒にメニュー表を見て決めると、金田に連絡した。 金田の方で注文してもらい、持ってきてもらうつもりだ。手間ではあるが、ヒカリを見たホテルスタッフが、SNSに書いたり、マスコミに伝えたりしたら悲惨なことになる。炎上中の芸能人など、承認欲求モンスターの若者にとって格好の餌だ。「料理が届くまで時間があるだろうし、お風呂に入ってきていい? 肌荒れはしないけど、粉だから落ちやすいんだ。まだまだ改良の余地ありだね」 確かによく見ると、スーツに赤い粉が付着している。「もちろん構わないわ」「それじゃ、お借りするよ」 しばらくすると、浴室からシャワーの音が聞こえてきた。その音を聞いて、ヒカリはとんでもないことに気づいてしまった。「お風呂、私が入ったままだ……」 相手が女友達なら気にしないが、相手は恋人になって日が浅い壮介だ。自分が入った湯船に入られるのは気恥ずかしいし、申し訳ない。かといって、わざわざそれを言いに行くのも気まずい。(気付かないふりしておこう) そこまで考えて、気持ちに少し余裕が出来てきたことに気づく。少し前まではパニックで泣いていたというのに。「きっと壮介さんのおかげね」 あたたかな気持ちで脱衣所のドアを見る。状況は何一つ変わっていないが、気持ちは落ち着いている。きっと壮介が来てくれなかったら、今も絶望の中にいただろう。 ノックが聞こえて驚く。「どちら様?」「ヒカリさん、金田です。お食事をお持ちしました」 ドアを開けると、金田がトレーに料理をのせて立っていた。「ありがとう。助かる……」「もうひとつあるので、また来ますね」 ヒカリがトレーを受け取ると、金田は部屋に戻っていく。テーブルに受け取った料理を置き、

  • 魔法のルージュ〜婚約者を奪われて始まる真実の愛〜   27話

     湯船にひとりで浸かっていると、涙がボロボロ零れてくる。 今まで色んな理不尽に耐えてきた。だからある程度耐性があると思っていたが、ヒカリがストーカーをしているという記事を見てから、ほとんどずっとパニック状態だった。女優の意地で涙は堪えていたが、もう我慢出来ない。「どうして、なんで私ばかりこんな目に……。私が何したっていうの?」 ヒカリはただ、子供の頃から役者として必死にやってきただけだ。母が亡くなってから、不幸がゲリラ豪雨のように降り注ぐ。ようやく陽の光が見えたと思っても、希望を持ったヒカリを嘲笑うかのように、分厚い雨雲が太陽を隠し、冷たい雨を降らせる。 母が亡くなってからは、小さな幸せすら手にしたことがない。 ひとしきり泣くと、風呂から出る。バスローブを着て脱衣所で鏡を見ると、目のまわりが腫れていた。「ひどい顔……」 フェイスタオルで髪をまとめ、もう1枚のフェイスタオルを冷水で濡らし、目を覆う。何度か冷やして腫れが落ち着くと、髪を乾かして着替えた。 脱衣所から出ると、赤い髪の青年がヒカリに背を向ける形でソファに座っていた。室内を見回すが、金田はいない。「だ、誰なの?」 ヒカリが思わず声を出すと、青年は振り返った。「あ、ヒカリさん……!」「壮介さん……」 壮介の顔を見た途端、浴室で落ち着いたはずの感情が荒ぶり、再び涙が溢れてしまう。「ヒカリさん、もう大丈夫だよ。僕は絶対に、あなたから離れたりしないから」 壮介はヒカリを抱きしめ、背中をさする。「私、私、どうしたらいいのか、分かんなくて……! 幸せ全部壊されて、あんな嘘広められて、悔しい……!」「うん、僕も悔しいよ。ヒカリさんは、そんな人じゃないのにね」 ヒカリはずっと、壮介の腕の中で泣き続けた。壮介はそんなヒカリの背中を優しくさすり、泣き止むのを待ってくれた。

  • 魔法のルージュ〜婚約者を奪われて始まる真実の愛〜   26話

    『もしもし、ヒカリさん?』 罵倒されることを覚悟していたが、壮介の声は不安げだった。「壮介さん……」『よかった、やっと出てくれた! 大変なことになってるから、違う人が出るかもってヒヤヒヤしたよ』 彼の名を呼ぶと安心しきった声が返ってきて力が抜け、泣きそうになる。「そ、壮介さん……。私……!」『大丈夫、僕はヒカリさんを信じてるから。今、どこにいる? 会えないかな?』「私、今はマネージャーとホテルにいるの……」『どこのホテル? 変装して行くよ』 ヒカリはホテルの名前を告げる。不安でたまらなくて、壮介の顔を見たかった。壮介に売られるかもしれないという考えが過ぎらなかったわけではないが、会いたい気持ちが強かった。『分かった、今行くから待ってて。金田さんには、僕からメールしておくから』「ホテルの周りには、今のところマスコミはいないけど、気を付けて」 電話を切ると、息を吐く。事態は変わっていないが、壮介が来てくれるだけで、ホッとする。「今の、海原社長ですか?」「こっちに来てくれるって……」「大丈夫ですかね? 海原社長って、目立つ人じゃないですか」 金田の言う通り、壮介の容姿は人目を引く。変装してくると言っていたが、どんな変装で来るかも分からない。壮介を心配していると、金田のスマホが鳴った。「あ、海原社長からメールが来ました」「なんて?」「えっと……。今私達がいる部屋に行くから、私には、社長が取った部屋に行ってほしいって」「そう……」「ヒカリさん? せっかく海原社長が来てくれるのに、元気ないですね」「ちょっと、疲れちゃって」「そうですよね、疲れちゃいましたよね。私が対応しておくので、お風呂に入ってきたらどうですか?」「そうしようかな……」「待っててください、沸かしてきます」 金田は風呂を沸かしに行き、ヒカリはソファに身を沈め、頭を抱えた。壮介が来てくれるのは嬉しいが、絶望しかない。これからどうしていいのか、見当がつかないのだ。(どうしよう、頭の中がぐちゃぐちゃ……) 不安で胸が張り裂けそうだ。叫びたくなるのをこらえていると、水を差し出された。「ヒカリさん、とりあえず水でも飲んで、落ち着いてください」「ありがとう……」 水を飲んでると、金田は小さなテーブルの上にお菓子を並べ始める。何種類ものポテチやチョコ。クッキーや豆

  • 魔法のルージュ〜婚約者を奪われて始まる真実の愛〜   25話

     最後にウィッグと帽子をかぶれば、少し小柄なチャラ男の完成だ。「もうちょっとまともなウィッグと服はなかったの?」 ヒカリは鏡を見てため息をつく。ウィッグは派手な金髪で、服もヴィジュアル系バンドが好んで着てそうなものだ。「私、こういう彼氏ほしいんですよね」「あなたの趣味なのね……」 非常事態に自分の趣味をねじ込む金田に呆れ返るが、今は彼女に説教をしている場合ではない。ヒカリは着替えや化粧品などをキャリーバッグに押し込んで、厚底ブーツを履いて外に出る。「待って、ダーリン♡」 金田はヒカリの腕にしがみつく。法律がなかったら平手打ちでもしていただろう。施錠してから外に出ると、マスコミに囲まれた。「このマンションの住人の方ですか? よければお話聞かせてください!」「もー、私達旅行行くんで! 自分達が独身非モテだからって、邪魔しないでくれます? ねぇダーリン♡」 金田の言葉に笑いそうになるのをぐっとこらえ、前に進もうとするが、マスコミの壁は厚く、なかなか前に進めない。「もう、邪魔! 晒されたいの!?」 金田はスマホで動画を撮りながら、ヒカリの腕をぐいぐい引っ張って行く。自分達は散々他人を晒しているくせに、晒されるのが怖いのか、道を開ける。その光景はまるでモーゼのよう。 金田にイラつくことも多々あるが、こういう時は頼もしい。 ホテルに着くと、ヒカリの代わりに金田が受付をしてくれる。一緒に部屋に入ると、ヒカリは真っ先にウィッグと帽子を取った。ただでさえ梅雨で蒸し暑いのに、ふたつも被り物をしていたせいで、頭皮がむず痒い。「はぁ、暑かった……。それにしても、すごい数のマスコミだったわね……」 思い出しただけでゾッとする。きっとヒカリひとりでは、外に出ることさえ出来なかっただろう。「ヒカリさんの部屋に向かいながら、警察に通報したんですけどね。まったく、仕事が遅いんだから」「金田ちゃんって、変なところタフよね。心強いわ」「ふふん、歴は浅くてもマネージャーですから」 胸を張る金田に吹き出す。金田にイラつくことは数え切れないほどあったが、こういうところが憎めない。「そうだ、壮介さんと連絡取らないと」 ヒカリはスマホの電源を入れる。「あ、今はあんまり見ないほうが……」「そんなことも言ってられないでしょ」 電源が入ると、通知の嵐だった。通知欄で文

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