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異常演算の真価

Author: 吟色
last update Last Updated: 2025-08-24 11:32:24

両者が荒い息を吐きながら睨み合う中、会場の空気が変わり始めていた。

クロとジンの周囲で、空間そのものが歪んでいる。

「……何だあれ」

「空気が震えてる……」

観客席から困惑の声が上がる。

特別席では、トウヤ先生が深刻な表情を浮かべていた。

「まずいな……」

「どういうことですか?」

アルヴェン生徒会長の問いに、トウヤが答える。

「あの二人、異常演算の領域に入り始めてる」

「異常演算……?」

「通常の魔術演算を超えた、規格外の力だ」

セラ副会長も顔を青くしている。

「このままでは、結界システムが……」

その時、警告音が学院全体に響き渡った。

『警告:演算異常値検出。結界システム負荷限界接近』

『全観客は速やかに避難準備を』

会場がざわめく中、フィールドではクロとジンが最後の力を振り絞ろうとしていた。

「……やっとだな」

ジンが呟く。

「やっと何が?」

「君が本当の異常演算に目覚める時だ」

ジンの周囲に、これまでとは次元の違う雷が渦巻き始めた。

それはもはや雷ではなく、純粋なエネルギーの塊だった。

「これが僕の異常演算――『完全制御型』」

空間が歪み、重力が変化する。

ジンの足元から半径10メートルの範囲が、完全に彼の支配下に置かれた。

「この領域内では、すべての物理法則が僕の意志に従う」

クロは身震いした。

これが、真の異常演算の力。

常識を超越した、神の領域。

《警告:相手の演算値、測定不能。これ以上は危険》

「危険って言われてもな……」

クロが苦笑いする。

「ここで引くわけにはいかないだろ」

観客席では、カイたちが心配そうに見守っていた。

「大丈夫かよ、クロ……」

「あの空間の歪み、ヤバすぎる……」

カイが拳を握りしめる。

「クロ!無理すんな!」

しかし、クロはカイの声援に応えるように構えを取った。

「みんな……見ててくれ」

クロの左手に、これまでで最も強い雷が集まり始める。

「俺の本当の力を」

その瞬間、クロの周囲でも空間が歪み始めた。

青白い雷と金色の雷が混じり合い、まるで生き物のように蠢いている。

「君も……異常演算に目覚めるか」

ジンが初めて、感嘆の表情を見せた。

「君の異常演算は『感情直結型』……感情の高まりと共に無限に出力が上がる」

クロの雷が、さらに強くなっていく。

しかし、ジンのそれとは質が違った。

ジンの異常演算が「支配」なら、クロのそれは「共
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