あらかた片付けを終えると、蓮司はベッドの端に腰掛けてぼんやりと物思いに耽り、ふと高校時代のことを思い出していた。確かに、美月には感謝しなければならない。あの頃、彼女がいなければ、母を亡くした悲しみの淵からあれほど早く立ち直ることはできなかっただろう。それゆえに、蓮司は彼女を愛しているのだ、好きなのだと信じ込み、自分にそう言い聞かせてきたのだ。しかし、いざ付き合ってみると、蓮司はそれは愛情ではないと確信できた。それを完全に理解するのに数年かかり、そのせいで透子をないがしろにし、申し訳ないことをした。美月の言動に疑問を抱いた時のことを思い出し、彼はそっと唇を引き結んだ。実を言うと、最初は順調だった。だが、いつからか、彼女が変わってしまったように感じていた。当時、先に友達申請をしてきたのは美月の方だった。認証メッセージは、自分が解けずにいた数学の難問だった。だからこそ彼は承認し、二人で議論を交わした。その後、二人は天文学から地理、理想から世界一周旅行まで、何でも語り合った。まさにソウルメイトと呼べるほどだった。だからこそ蓮司は彼女に好意を抱き、心惹かれたのだ。なぜ変わってしまったのだろうか。もしかしたら、彼女本人に会ってからかもしれない。二人はもう、趣味や哲学について語り合うことはなくなった。美月が気にするのは、いつも美容や芸能ゴシップばかりだった。大学で一緒に図書館へ行っても、自分が本を読んでいる横で、彼女はイヤホンをつけてゲームをするだけだった。なぜ人は、これほど早く変わってしまうのだろうか。高校の受験勉強が終わったから?それで、完全に羽を伸ばしてしまったのか?昔のような気持ちはなかったが、彼は別れを切り出すこともなく、ただ受け身で流されるままだった。今思えば、あの三年間をどう過ごしてきたのか、自分でもよく分からない。深い記憶さえ、何一つないのだ。だが今は、透子に対する気持ちと美月に対する気持ちの違いがはっきりと分かる。それは全くの別物だと、自分が何を求めているのかも、もう分かっている。蓮司の目が鋭く光り、唇をきつく結んだ。透子、彼女だけは絶対に手放さない。……それから二日間、大輔が業界トップクラスの離婚専門弁護士との連絡を取っている一方で、旭日テクノロジー社では、透子がトラブルに巻き込まれていた
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