燦めくシャンデリアの下、視線が交わり、一秒後に逸れる。瑠璃はそのまま絵里香、そして輝の前を通り過ぎた。彼女が纏うのは、漆黒のYSLのイブニングドレス。深いVネック、黒髪をすっきりと後ろにまとめ、白い肌を際立たせるのは白ダイヤとブルーサファイアのジュエリーセット。雪のように白い肌が眩しく、息を呑むほどの美しさだった。足元は中ヒールだが、華奢なデザインが柔らかさを引き立て、より上品な気配を添えている。司会者は彼女の存在感を知っているのだろう、特別に軽い冗談を交えて紹介した。瑠璃は微笑み、裾をつまんで優雅に席へと進む。腰を下ろすと、ドレスの裾が偶然にも輝の膝をかすめた。シルクの生地と上質な毛織が触れ合い、羽根が撫でたような感触は、そのまま輝の心の奥をもかすった。思わず横目で元恋人を見やる。伏し目がちな横顔は白く際立ち、凛とした美しさがあった。だが周防家の御曹司は誇り高い。すぐに顔を背け、舞台に視線を移す。それでも香水の柔らかな香りが絶えず彼を惑わせ、胸をざわつかせる。朱音がそっと歩み寄り、瑠璃の肩に毛皮を掛けた。途端に、漂っていた香りの大半がふわりと遮られた。絵里香はその様子を横目で見て、輝の腕に絡みつき、囁いた。「今夜のあの白金のパール、素敵だったわ。英国の女王も愛用していたって聞いたの。あなた、私に贈って?」輝は女の腰を軽く叩き、親しげな仕草を見せた。朱音は小さく口を歪めて立ち去った。瑠璃はそんな見せつけるような親密さに動じなかった。二人の関係はもう終わった。たとえその場で熱い口づけを交わそうと、自分には無関係——彼女はそう割り切り、カタログに目を落とす。気に入ったのは、ただの置物程度の品々。……二時間の競売の間、最も目立ったのはやはり輝だった。英国女王の真珠飾りを含む五品を競り落とし、総額は数億円。贈られた絵里香は、その場で口づけを捧げ、うっとりと輝の肩に身を預けた。「ねえ、あの赤珊瑚のブレスレット……私も欲しいの。贈ってくれない?」そのブレスレットは、艶やかな紅色をまとい、名を【瑠璃幻想】といった。輝が一目で気に入り、大切にしようと決めたもの。どんなに絵里香が愛想よく振る舞い、機嫌を取ろうとしても、輝は手放そうとはしなかった。彼は曖昧に取
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