綾はベッドに座り、膝の上に雑誌を置いてあった。誠也がバスルームから出てくるのを見ると、綾は言った。「髪を乾かしてから上に上がって、風邪を引くといけないから」誠也は答えた。「うん」しかし、髪を乾かした後で、彼はベッドの傍に腰掛け、綾を抱き上げて自分の膝の上に座らせた。綾は驚いて声を上げ、雑誌を床に落としてしまった。「誠也!」彼女は怒りながら言った。「あなたの手、まだ治ってないでしょ?」誠也は彼女の滑らかな頬にキスをして、「綾、一緒に寝てもいいか?」と尋ねた。綾は眉をひそめ、彼の顔を手で押しのけた。「だめ」「ただ一緒に寝るだけで、何もしないから、約束する」綾は、ベッドの上での彼のこれまでの行動を考えると、この言葉は全く信用できないと思った。彼女が彼との親密さを拒否しているわけではなかった。ただ、彼の怪我を心配していたのだ。「誠也、自分の部屋に戻って」「嫌だ」誠也は頭を下げ、彼女の白く柔らかな首筋に顔をうずめると、鼻いっぱいに彼女の匂いが広がった。彼は喉仏を上下させ、低い声で言った。「俺たちは5年間も一緒に寝ていないんだ」綾は一歩も引かなかった。「あと数日くらい、我慢して」「お前の部屋には準備がないだろ。お前にリスクを負わせるようなことはしないから」その言葉を聞いて、綾は言葉を失った。確かに、独身女性の寝室に、そんなものが用意されているはずがない。それに、彼女は病み上がりだし、誠也も衝動的な行動に出るはずがない。どんなにそうしたいと思っても、彼は我慢するだろう。しかし、柔らかな感触が腕の中にある。結局、彼も男なのだ。最後まで我慢できる保証はないのだ。灯りを消した寝室で、男は愛しい女性を腕に抱き、何度も何度もキスをした。彼は綾を優しくいたわり、彼女に久しぶりの喜びを与えた。そして、彼自身はギリギリまで衝動を抑えていた。苦しいながらも、その満足感に満たされていた。かつて、彼はこの女性を永遠に失ってしまうのではないかと思っていた。あの頃の彼には、彼女が再び自分の腕の中で唇を噛み締め、声を殺して喘ぐ日が来るなんて、想像もできなかっただろう......暗闇の中、女は喘ぎ声をあげ、彼の名を呼んでいた。「誠也......誠也......」彼もまた「誠也」という名の
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