これはこれで悪くないかもしれない。真奈美はずっと策略をめぐらし、争ってきた。哲也がいなければ、きっと彼女も持ちこたえられなかっただろう。「気分転換になるといいですね」綾は言った。「でも、その時はこまめに連絡をくださいね。それと、危ない場所にも行かないでください」真奈美は笑った。「分かっています。だから、私のために、碓氷さんを説得してくれる?彼が栄光グループの管理を引き受けてくれるなら、私も心置きなく遊びにいけるんじゃない!」綾が返事をする前に、誠也が口を開いた。「新井さん、あなたが意識不明だった時、哲也くんには頼れる人がいなかったから、私と綾でお願いを引き受けたんです。しかし、哲也くんの父親は石川さんなんですから、あなたが疲れたとか、管理したくないなら、石川さんに頼めばいいじゃないか。私にも妻と子供がいるんですから、もうそういう立場じゃないんです」真奈美は黙り込んだ。「新井社長、私も誠也の言うことはもっともだと思います」綾は言った。「石川さんが哲也くんの実の父親なら、彼に栄光グループを引き継いでもらう方が、誠也よりずっと筋が通ってます」「彼は引き受けてくれないですよ」真奈美の声は固かった。「哲也は彼の息子ですから、彼は父親として面倒見ないといけないんですが、でも、私には栄光グループを彼に頼めるほどの立場はないんです」誠也は言った。「でも栄光グループはいずれ哲也くんが引き継ぐんでしょう?だったら父親として、彼が成人するまで管理するのは当然のことじゃないですか?」だが、真奈美は少し戸惑ってからさらに頼み込んできた。「......碓氷さん、哲也が会社を継ぐまで、少しの間だけお願いできませんか?それに、もしかしたら、将来、彼があなたの娘さんと結婚するかもしれないじゃないですか!義理の息子が継ぐ会社を、義理の父親であるあなたが守ってくれるなら、それに越したことはないですよ」誠也は眉をひそめた。「娘をあなたに家になんて嫁がせません」「へえ、やきもちですか」真奈美はさらに挑発してきた。「うちの哲也はイケメンだし、頭もいいです。将来どんな女の子だって放っておかないはずですよ。それに、今思ったんだけど、彼たちを婚約させちゃうのはどうでしょう!そうすれば、あなたにも栄光グループを管理する大義名分ができるじゃないですか!」誠也は歯を食いしば
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