たとえどれほど血気にはやっていたとしても、勇にはわかっていた。この翡翠のブレスレットは、すでに相場を大きく超えていると。競売人の顔からは笑みが溢れていた。必死に抑え込んでいるのが見て取れるが、内心では嬉しくて仕方がないのだろう。彼らの給料は、競売品の落札額に応じた歩合制だ。品物の価値はもとより安くはないが、もし底値の範囲内で収まってしまえば、得られる手数料は限られる。だが値が釣り上がれば釣り上がるほど、彼らの取り分も増える。つまりカモが多ければ多いほど、彼らは笑いが止まらないのだ。星は勇がこれ以上値を上げないのを見て、口を開いた。「山田さん、もう上げないの?それならこのブレスレットは......私のものになっちゃうわよ?」競売人もすかさず声を張る。「十六億。他に入札はございませんか?十六億、いかがですか?十六億、一度」星が黙っていればいいものを、その一言が勇の目を真っ赤にさせた。彼は即座に札を掲げる。「十八億!」星はふっと微笑み、それ以上は上げなかった。競売人が数度確認したあと、満面の笑みで告げる。「十八億で落札です!」勇の表情は固まった。彼女はなぜ値を上げなかったのか?視線がぶつかると、星は困ったように微笑んだ。「さすが山田さん、お金持ちですね。私なんて到底かなわないわ。最高でもここまでが精一杯よ」勇の胸に奇妙な違和感がよぎった。だが口では嘲りを隠さない。「その程度の甲斐性なら、こんな場に来るな。ここはお前みたいな貧乏人の来る場所じゃないんだよ」星はまるで気にするふうもなく、ただ静かに笑っただけで何も言わなかった。清子の目がわずかに揺れ、すぐに事情を察した。雅臣の声が低く響く。「勇、それ以上星に張り合うな。彼女はわざとお前を挑発している」勇は衝動的な性格ではあるが、決して頭が回らないわけではない。薄々その違和感には気づいていた。ただ、口先だけは負けを認めようとしないのだ。「わざと挑発だと?なら俺だって、わざと挑発してやればいい。雅臣、清子、見てろよ――値を吊り上げておいて、最後に手を引いてやる。あいつの顔、見ものだぜ」雅臣が何か言おうとしたが、新しい競売が始まった。今回の品は、一幅の古代壁画
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