All Chapters of 捨てられ妻となったので『偽装結婚』始めましたが、なぜか契約夫に溺愛されています!: Chapter 51 - Chapter 53

53 Chapters

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 「あ、歩けますから…下ろしてください」「なに言っているんだ。危ないだろう。手も怪我しているのに」「もう大丈夫です」 だ、だって…今、蓮司に抱き上げられている状態で、バスタオル一枚隔てた状態とはいえ、私、裸なのよ!?「いいから。捕まってろ」「は…はい…」 そうだよね。私ごときの女性の裸なんか、蓮司は興味ないよね。  彼みたいなハイスペックでイケメン、お金持ちだったら、女性は選びたい放題だもの。  なにも、好き好んで私みたいな庶民のバツイチ女、選ぶわけがない。 自分で自分のことを否定しまくって悲しくなった。「あ…あの、助けてくれてありがとうございます」「このくらい大したことない。夫の務めだろう」 夫の務めで、お風呂場まで心配して来てくれる旦那様なんかそういない。 リビングに出た時だった。2回ほど電気がチカチカしたと思ったら、パッと灯りが点いた。(きゃあぁぁぁ—―――!!!!) どうしようどうしようどうしよう! 暗いから平気だと思っていたのに、電気が点くなんて聞いてない!!「ああああのっ。無事復旧したみたいなので、もう大丈夫です!」 なんとか降りようとして暴れた。「わ、こら、暴れたら――」「きゃああっ」 蓮司がバランスを崩し、私を抱き留めながら床に―― 蓮司が私の下敷きになって、私は、バスタオルがはだけた状態。「あっ、見ちゃダメですっ」 とっさに裸を隠そうとしたら、蓮司にそのまま抱きしめられた。「これで見えない」 確かにぎゅっと抱きしめられたら見えないけれど、それ以上に蓮司が密着していて、どうしていいのかわからない。「これじゃあ動けないな」「め、目をつぶっていてください」「確かに。それなら、ひかりが動けるな」「はい。庇ってくださってありがとうございました」 業務的に淡々と告げ、私はそっとその場を離れた。  何事もなかったように部屋に戻る。  ノロノロと着替えて、お風呂お先でした、とリビングに向かって声をかけた。 パタン、と部屋にひき戻って、ずるずると扉の前にへたりこんだ。 お風呂に入っていたら停電になって、蓮司が助けにきてくれて、なんか裸を見られてしまった感があるけれど、それって…それって――(あれは不可抗力ッッ!! わざとやったわけじゃないもん!) はあ。なにやってんだろ…。  私の裸なんか見
last updateLast Updated : 2025-09-21
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