小春は平手打ちを受け、さらに激しくもがいた。「畜生!この、クズともが!!」マネージャーは小春を見て怯え、成輝の顔色を窺いながら眉間に深い皺を刻む。「久米川社長、もっと素直なのと替えましょうか?」そう言って蒼空の手を掴み、成輝の胸元へ押しやった。「この子も高校生ですが、こっちの方がずっと可愛くて、スタイルもいいですよ」成輝は片手で小春を押さえつけ、もう一方の手で蒼空の腰を抱き寄せ、顔をじっと見つめてから笑った。「確かに悪くない。だが......」成輝は蒼空をぐいと引き寄せ、膝の上に座らせた。「一人だけ選ばなきゃならないルールなんてないだろ?二人とも俺のものだ」蒼空は鼻をつく香水の匂いに、今にも吐きそうになる。成輝はそんな彼女に余裕の笑みを浮かべ、からかうように問いかけた。「娘、名前は?僕は、君みたいな年頃の女の子が好きなんだ。青くて、純粋で」蒼空が顔を上げると、ちょうど小春の真っ赤な瞳とぶつかった。小春は彼女を見た瞬間、目を大きく見開いた。蒼空は小さく答える。「私は」その瞬間、テーブルの酒瓶に視線を落とし、瓶の首を掴んで持ち上げた。バン!しかし轟音が響いたのは、彼女の手元ではなく、個室の入口からだった。扉が外から勢いよく蹴破られたのだ。「そこまでだ」聞き覚えのある声が響く。誰も予期しなかった人物が、個室の入口に現れた。瑛司。仕立ての良い高級な黒スーツを纏い、片手をポケットに入れたまま立つ彼。冷たく鋭い輪郭、暗い瞳は昏い室内で夜の星のように光っていた。蒼空は顔をこわばらせ、ゆっくりと酒瓶をテーブルに戻した。瑛司が......なぜここに?成輝は蒼空と小春を乱暴に突き放し、媚び笑いを浮かべて立ち上がった。「松木社長、お時間を作って来てくださるなんて。ちゃんとおもてなしできず、申し訳ありません」女と戯れていた男たちも慌てて立ち上がり、低姿勢で瑛司を迎える。瑛司はゆっくりと成輝の前まで歩み寄り、視線は終始、ソファに座る蒼空に向けられていた。低く冷えた声が落ちる。「野良猫を捕まえに来ただけだ」成輝は訝しげに首を傾げる。「野良猫?ここにはいませんが......野良猫なんて品もありませんし、飼う価値もない。もし猫を飼いたいなら言ってくださ
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