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57. 隣撃≪FriendlyFire≫

Author: Mr.Z
last update publish date: 2025-10-20 23:53:08
 さっきのおっさんはなんだったんだ⋯⋯?

 あんなに無防備でここほっつき歩いてるし、なんか怪しい。

「ちょっとザイ、どこいくの?」

「あのおっさんを追う。俺以外の5人で上へ続く箇所を探してて欲しい、すぐに戻るから」

 俺は一人、こっそりと後を付けてみた。

 実はここに来る直前、SNS上でヤバい情報が流れて来た。

 この数日間で犯罪が激増しているそうで、その中でも梅田近辺で起きている事件についてだ。

 可愛い女の子を見つけては、都合良い事を並べて助けるふりをして、誘拐しているヤツがいるらしい。

 見た限りは一人では無く、集団で狙っているというウワサ。

 今は警察が機能していないのもあって、店内以外ではほぼ犯罪し放題な側面がある。つまり、協力してされると相当厄介な状態。

 もしかしたら、あのおっさんの親しみやすそうな格好と言い草からして、その集団の一人の可能性がある。そうだと仮定すると、キレさせてしまった経緯からして報復されかねない。

 この後、何かと邪魔されたら上へ行きどころじゃなくなる。だったら、その芽は先に摘んでおいて損は無い。

 幸い、駅ナカが薄暗いのもあっ
Mr.Z

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  • 異常のダイバーシティ   97. 敵討≪RetaliatioN≫

    「ねぇザイ、なんでリンカはこうなったの⋯⋯?」  正直に言うべきなんだろうか。  曖昧にしても仕方ないと思った俺は、"9Kの持つかいじゅうで撃たれた"と話した。 「あそこにある"人骨"って、そういうこと⋯⋯?」 「⋯⋯スアの思ってる通り、9Kも大井さんのを撃たれた結果があれだ」 「なんでアイツがここに入って来たの? アイツのせいでリンカは⋯⋯アイツさえ来なかったら⋯⋯まだ話し合いで解決できたかもしれないのに」  俺だって知りたい、9Kが急に来た理由を。  想像でしかないが、アイツも何かで知って狙いに来たのかもしれない、ここに置いてある"否定理由の一つ"を。  結局は、アイツも集めている一人だった、と思うしかない。  そもそもの話、9Kについてはまだ知らない事が多すぎる。  ウサネッコと契約成立時に教えて貰った内容だけでは、どうも説明付かない事ばかり。  まず、あの"マントを羽織った銃"には、以下の能力があった事になる。 ・謎の泡立つ液体を放出して殺させて"回避延長"  ・別で"赤と青の軌跡を放つ弾丸"を装填可能  ・スアとモアとエンナ先輩を"操れる能力?"  ・大井さんの身体を"毎秒凹ませるほどの継続スクラップ能力?" こんなに多種多様なのを持っていたって事なのか?  その前に、"9K"という名前にも違和感がある。  この"9K"という文字並びに意味があるとするなら、あの"マント羽織る銃"にちなんで付けた可能性だってあるかもしれない。  "K"が英単語の頭文字だとして、多いとか変化とか、その辺の意味から取ってそうでもある。  一つ思い浮かんだのは"kaleidoscope"だ。  "kaleidoscope"は万華鏡という意味もあるが、"常に変わるとか複雑なパターン"とかの意味も含んでいる。  もしそうだとするなら、"9 Kaleidoscope"と仮定すると、本当は"能力が9個あった"という事実に繋がる。  だからなのか、アイツがあれほど行動的でありつつ、容易に自身で作った宗教団体を見捨てたのは⋯⋯。  実は、"9個の隠し能力があるかいじゅう"だったからこそ、他に無い自信を持てたと言う訳だろう。  まだ確信を得るには早いが、納得できるレベルにはなっていると思われる。  思考の世界から一瞬で戻り、今一度スアの話へ

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  • 異常のダイバーシティ   93. 構想≪IrisMother≫

    「⋯⋯間違えたら1分ロックするってなんだよ⋯⋯分かる訳ねぇだろこんなの⋯⋯ッ!!」  悩んでいる間にもタイムリミットが迫り、全身に冷や汗と緊張感が走る。  コウキのメッセージには、変わらず"IrisMother21"としかない。  どれだけ血眼に探そうが、ヒントになりそうなものは何処にも見当たらない。  伝った緊張で息遣いもより荒くなり、心臓の鼓動も耳に入る僅かな音も聞こえなくなっていく。 「⋯⋯どうしたら⋯⋯スア、モア、エンナ先輩⋯⋯ッ!! 俺⋯⋯俺はどうしたら⋯⋯分かんねぇよこんなのッ⋯⋯!!」  【02:30】、【02:29】、【02:28】。  自暴自棄になりそうな自分さえも神は見てくれない。  決まった制限時間は、無慈悲に俺と彼女たちを蝕んでいく。  これが0になった瞬間、あの女子3人は"ヤツらと行為"に及んでしまう。  即ち、"ヤツらとの赤ちゃん"を産む事になって―― 「⋯⋯あぁぁぁぁぁぁぁァァァァァッ!!!!」  それを想像するだけで、強烈な頭痛と腹痛に苛まれ、声にもならない声が漏れる。  俺はふらつきながら、金髪ビリケンの傍の壁へともたれ座った。 「⋯⋯何もかも終わりだわ⋯⋯なぁ、俺よくやったよなぁ⋯⋯?」  正面の黒い鉄のような柱に映った俺に話しかける。  その顔に正気は無く、酷くやつれているように見えた。  勝機の無いモノに端へ追い詰められ、全てを諦めたやつの顔だ。 「三船コーチ⋯⋯師斎社長⋯⋯ちょっとだけ褒めてくださいよ⋯⋯。お前はよく頑張った、お前だからここまで来たんだって⋯⋯ねぇッ!!!」  こんな事言ったって何になるかなんて、そんなの知らねぇよ。  もうどうだっていい、だって俺はよくやったんだから。  何が"IrisMother21"だ⋯⋯お前らでやってろ勝手に。  "イーリス・マザー構想"くらいは俺だって分かんだよ。コウキが言っていたように、変異体受精卵の禁忌生成、世界初の虹成分注入、調査が入った時には施設に失敗の跡だけ、そんなの誰でも知ってんだよ。  だって、最近は中学に入ったら誰でも習う授業内容の一つなんだ。  先生はよく言っていた、こんな前代未聞のヤバい事があって、この構想は多くの人に影響を与えたんだって。  だからなんだって話。  2009年頃にあったらしいけど、特に興味も⋯⋯

  • 異常のダイバーシティ   92. 新知≪New-Hy-SmartGlass≫

     刹那、"白と黒の小波を纏った弾丸"が俺の額に目掛けて放たれた。  それと同時に、周りの動きが一気に遅く感じた。  遅延世界の中、こめかみの真横を白黒の小波が通り過ぎて行く。 「なにッ!? ⋯⋯いや、こんなのはありえないッ!!」  コウキが叫ぶと、後ろへ飛んで行ったはずの弾丸は、白と黒の小波羽を携え、もう一度こっちへと向かってきた。 「雑魚が何度避けようが意味は無いッ!! この銃の名の通り、"運命≒再運命"として登録され続けるッ!!」  避ける度に常に同速でホーミングしてくるという、異常に狂ったコウキの弾丸。  しかも1発じゃない。あいつがトリガーを引いた分、追加されて襲ってくる。 「ッ!! ⋯⋯卑怯な野郎がッ!」 「好きに言え、避けるという運命はここには無い。さっさと諦めて貫かろ、喜志可ザイッ!! そして成績優秀者として選ばれるのは、僕と大井リンカ、この二人だけになるッ!!」 「⋯⋯ちッ!」  ヤツの飛び回る白黒の小波弾を狙って撃ち落とそうにも、俺の海銃で最低3発以上を消費する。  つまり、これを繰り返されるだけで、残弾数でも圧倒的に負けてどうしようもなくなる。  ここだと"アマの階銃の効果"を受ける事も出来ない。あれはアマの近くにいて、かつ撃たれた者にしか得られない。  それに身体だっていつまで持つか分からない。  ここまで全力で走って来た分、思った以上に足へ響いてる。  たぶんコウキはそれも分かった上で、俺に挑んできたんだ。  ⋯⋯何もかも読まれていたんだ⋯⋯ごめんスア⋯⋯俺には⋯⋯  激しく息切れしながら汗を噴き出す俺に、複数の白黒の小波弾が迫った時だった。 ―― 1枚の羽がポケットから飛び出した ⋯⋯これって、大阪駅3階手前で拾ったあの機械巨竜の⋯⋯?  それは"白黒赤青の4色のハイスマートグラス"へと変形し、左手の上に落ちる。  さらに、隣から"あの人の声"が聞こえた。 (⋯⋯連れて行ってくれ喜志可くん⋯⋯わたしの愛した車も⋯⋯再びその運命に乗せて) "亡くなったあの人"らしき霧姿が消えていく。  咄嗟に新たなハイスマートグラスを銃のように構えると、左半身が白、右半身が黒だけではない、下左半身がメタリックワインレッド、下右半身がメタリックブルーの小波が覆いかぶさり、虎の顔を模した小波羽が各々から舞い上がる

  • 異常のダイバーシティ   2. 蒼紅≪Unknown≫

    「ここね、こうやってどこからでも入れるんだよ!」 「「おぉ~!」」  まさかの壁だった場所が自動ドアのように開いた。大学関係者なら、L.S.を提示するだけで、どこでも開くそうだ。 「私も初めてこっちに来たけど、中はこんな風になってるんだねぇ」  視界に真新しい世界が広がった。まさに近未来とでもいうのか、各々の研究内容が壁に沿うように、プロジェクションマッピングで流れている。こうして興味を持って貰えるよう、工夫しているのだろうか。  静かな廊下で三人の足音だけが響く。周りを見ながら歩いていた時、ふと一瞬、左奥の通路に数人が過ぎ去るのが目に留まった。 「⋯⋯あれって」 「ん? ザイ?

  • 異常のダイバーシティ   1. 視察≪Visit≫

     これが新大阪大学か!  昨日も気になってずっと調べていたが、結局何も分からないままに今日が来た。  一緒に来たスアも興奮してる様子。  この大学だけは他と違う。  なぜか成績上位者のみにオープンキャンパスが行われるという、何とも変則的な場所で、男女2名ずつが選ばれる。  2日目に選ばれたのが俺とスア。ここは外からも内部が見えないようになっており、全てが謎に包まれている。閉塞大学や新大阪駅大学なんて言われていたりもする。  様々な大学の優秀者がここへ編入を希望しているらしく、これからの新たなAI社会に興味を持っている学生が、それだけいるという事だ。  それもそうで、2か月前に突然

  • 異常のダイバーシティ   4. 入場≪Admission≫

    『お待ちのお客様、12の席が動きます。座ったままお待ち下さい』 夢洲駅のとある回転寿司。 アナウンスが流れると同時に、俺とスアのL.S.へと、ホログラムメッセージが伝う。案外早く席が空いたようだ。「うわ、ほんとに動いた!」 驚く彼女の顔は期待感に溢れている。この回転寿司店、さっそく面白いのが、【12】と書かれた待機スペースに座っていると、席がそのまま自動で動いて連れて行ってくれる。会計した場合はというと、また席が動き、反対側から出口へと向かってくれる。つまり、店舗内で歩く必要が無く、他の人と会う事も無い。さっきまで【12】にいた人はもういないだろう。 席へ到着するやいなや、お寿司マ

  • 異常のダイバーシティ   3. 謎卵≪Ovoid≫

     今日は招待された≪急催R.E.D.//SUMMIT≫に出演する日。 俺以外にも数人の"AR e-Sportsプロ"がやってくる。今回はそういった現実感に特化したゲームのイベントが一部あり、土日の二日間で競って総得点で優勝者を決める。 このイベント、今年から始まる世界大会の"World AR E-Sports Championship"、通称"WAREC(ワレク)"への参加権を賭けたポイントも入るため、他も勝ちに来ると思われる。 だからこそ、"昨日のあの事"ばかり気にしてはいられない。昨日は昨日、今日は今日で切り替えないと⋯⋯ 少し考えていると、上からスアが降りて来た。「よぉ。体調

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