滝川さんからの有難い提案に、私は即座に頷いた。 いつまでも気持ち悪さを感じていたくなんてないし、早く何でもないと判断つけたかった。 「よし。それじゃあ今日は一緒に会社へ。退屈させてしまうかもしれないが、仕事が終わるまで待っていてもらってもいいか?帰りは一緒に帰ろう」 「分かりました。ご迷惑をおかけして、すみません」 「いいや。気にしないで。それに……加納さんに相談したい事もあったんだ。ちょうど良かった」 にこり、と笑みを浮かべる滝川さんに、私は「私で力になれるなら」と答えた。 朝食を終えた私たちは、間宮さんが運転する車に乗り込み、滝川さんの会社に向かう。 会社に到着した私たちは、滝川さん自ら私の車椅子を押してくれて社内を進む。 秘書の持田さんと間宮さんも私たちの後から続き、歩いているのだが──。 「め、目立っているような……気がします」 「そう?」 けろっと答える滝川さんに、私は苦笑いを浮かべる。 滝川さんは、この会社の社長である以前にとても目立つ容姿をしている。 実際、滝川さんが会社のエントランスに姿を見せると、受付の女性が色めき立ち、社員も滝川さんに注目している。 そして、滝川さんがわざわざ車椅子を押している人物──私を、奇異の目で見つめる人が多い。 普段、こんなに注目を集める生活をしてこなかった私は、緊張でガチガチに体を強ばらせてしまう。 「間宮……」 「かしこまりました」 滝川さんが低い声で間宮さんの名前を呼ぶ。 すると、間宮さんはすっと頭を下げてエントランスに集まっている社員達の方へ歩いて行くのが見えた。 どうしたのだろうか。 私が間宮さんを振り返ろうとしたところで、滝川さんから話しかけられる。 「加納さん。そう言えば雑誌はどれくらい読んだ?」 「わんちゃんのですよね!?滝川さんから頂いた雑誌は全部読み終わって、今はより専門的な本を取り寄せて内容を確認しています!」 私が活き活きと語たるのを見て、滝川さんは優しく目を細めた。 「そうか……。そんなに勉強してくれてありがとう。助かるよ」 「いえ、とんでもないです!昔から調べ物をしたり、学ぶ事が好きだったので楽しいです」 「加納さんは、学校でも優秀だったと聞いた事があるよ」 「え、そうなんですか?
Terakhir Diperbarui : 2025-10-22 Baca selengkapnya