Semua Bab 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Bab 41 - Bab 50

107 Bab

41話

滝川さんからの有難い提案に、私は即座に頷いた。 いつまでも気持ち悪さを感じていたくなんてないし、早く何でもないと判断つけたかった。 「よし。それじゃあ今日は一緒に会社へ。退屈させてしまうかもしれないが、仕事が終わるまで待っていてもらってもいいか?帰りは一緒に帰ろう」 「分かりました。ご迷惑をおかけして、すみません」 「いいや。気にしないで。それに……加納さんに相談したい事もあったんだ。ちょうど良かった」 にこり、と笑みを浮かべる滝川さんに、私は「私で力になれるなら」と答えた。 朝食を終えた私たちは、間宮さんが運転する車に乗り込み、滝川さんの会社に向かう。 会社に到着した私たちは、滝川さん自ら私の車椅子を押してくれて社内を進む。 秘書の持田さんと間宮さんも私たちの後から続き、歩いているのだが──。 「め、目立っているような……気がします」 「そう?」 けろっと答える滝川さんに、私は苦笑いを浮かべる。 滝川さんは、この会社の社長である以前にとても目立つ容姿をしている。 実際、滝川さんが会社のエントランスに姿を見せると、受付の女性が色めき立ち、社員も滝川さんに注目している。 そして、滝川さんがわざわざ車椅子を押している人物──私を、奇異の目で見つめる人が多い。 普段、こんなに注目を集める生活をしてこなかった私は、緊張でガチガチに体を強ばらせてしまう。 「間宮……」 「かしこまりました」 滝川さんが低い声で間宮さんの名前を呼ぶ。 すると、間宮さんはすっと頭を下げてエントランスに集まっている社員達の方へ歩いて行くのが見えた。 どうしたのだろうか。 私が間宮さんを振り返ろうとしたところで、滝川さんから話しかけられる。 「加納さん。そう言えば雑誌はどれくらい読んだ?」 「わんちゃんのですよね!?滝川さんから頂いた雑誌は全部読み終わって、今はより専門的な本を取り寄せて内容を確認しています!」 私が活き活きと語たるのを見て、滝川さんは優しく目を細めた。 「そうか……。そんなに勉強してくれてありがとう。助かるよ」 「いえ、とんでもないです!昔から調べ物をしたり、学ぶ事が好きだったので楽しいです」 「加納さんは、学校でも優秀だったと聞いた事があるよ」 「え、そうなんですか?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-22
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42話

社長室にやってきた私たちは、滝川さんにソファに促されてそのまま腰を下ろす。 少し時間が経った頃。 滝川さんに呼ばれ、2人の男性社員が社長室にやってきた。 「お呼びでしょうか、社長」 「ああ。朝早くから呼び立ててすまなかったな。少し確認してもらいたい事がある」 滝川さんは入ってきた社員にそう言うと、ソファに座る私の方へやってきて、私に話しかける。 「加納さん。スマホを借りてもいい?ウイルスが送られてきていないか、確認しよう。彼らはうちの会社のシステム開発の人間だから、知識がある」 「ほ、本当にいいんでしょうか?」 「ああ、勿論。その代わり、加納さんに相談に乗ってもらうから。いい?」 「もちろんです!私でお役に立てれば!」 私は、鞄からスマホを取り出して滝川さんに渡す。 スマホを受け取った滝川さんは、私に笑顔で頷いてから社員2人に向かってスマホを差し出した。 「彼女のSNSアカウント宛に、複数のアカウントからDMが届いている。それも、毎日だ」 「複数のアカウントから、ですか……?」 「彼女のアカウントは、フォロワーは多いですか?」 滝川さんと社員の方は、話をしながら私のアカウントを確認している。 そして、パソコンと私のスマホを繋ぎ何か作業を始めた。 「──日常的な投稿しかしていないですし、フォロワーも彼女を知っている人や、純粋に投稿を好んでいる人しかいないようですね」 「DMは、彼女のフォロワーではない……」 「こんなに、毎日大量に送られてくるのはやはり少し変ですね」 「ウイルスチェックは終わりました。特に何も出てきません。開いて大丈夫ですね」 「そうか……」 滝川さんと2人の社
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-23
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43話

DMを開封した途端、大量の画像が視界に飛び込んできた。 肌色が画面を覆い尽くし、直視するのがとても気まずい程。 「──ひッ」 「何だこれ!?」 直ぐに目を逸らしてしまったけど、それは男女がベッドで仲睦まじくしている姿。 そして、一瞬だけその両者の顔が見えたけど、それは間違いなく瞬と麗奈の姿。 この画像の送り主は、間違いなく麗奈だろう。 「これは……清水瞬と、柳麗奈か?」 私はスマホの画面から目を逸らしてしまったけど、滝川さんは画像を確認していたのだろう。 横から私のスマホを覗き込み、眉を顰めながら画像に映る人物を確認していた。 私は、画面から目を逸らしつつ、頷く。 「そう、みたいです……。多分、送り主は麗奈だと思います……」 「どうしてこんな画像を君にわざわざ……気色悪いな……」 「私にも、どうしてこんな事をしたのか分かりません……。もう瞬との関係は終わったのに……」 今更、どうして?そんな疑問が湧き上がる。 見たくないけど、何をそんなに私に知らしめたいのだろう。 そう思った私は、逸らしていた顔を再び画面に戻す。 瞬と麗奈でなくとも、男女がベッドでじゃれついている姿なんて見たくないけど、何か意図があって麗奈はこの画像を送ってきたのだろう。 しかも、複数のアカウントから画像を送り付けてくるなんて、執念深さを感じる。 何を見せたかったのか──。 そう考え、画面を改めて確認した私は、ふと気づいた。 「──あ」 「どうした?何か気づいた事でも?」 私の呟きに、滝川さんが反応して聞いてくれる。 滝川さんの問いかけに、私は小さく頷いた。 「もしかしたら、これって……」 そう呟いたあと、私は沢山送られてきている画像をスクロールして確認していく。 ベッドでじゃれている写真。 レストランでディナーを食べている写真。 イルミネーションの写真。 それらを見た私は、呟く。 「やっぱり……」 「気づいた事でも?」 滝川さんの言葉に、私は確信を持って頷いた。 「はい。この画像に映っている場所……。全部じゃないですが、昔に瞬と──清水さんと一緒に行った事がある場所です。一緒に行った事がない場所は……私が昔、まだ清水さんと関係が拗れてなかった頃に、いつか一緒に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-23
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44話

「それなら、いいんだが……」 私の返答に、滝川さんは納得がいっていないような顔をしつつ、それでも私の言葉に頷いてくれた。 「このDMの送り主は、柳麗奈だったと言う事か……この他に、不審なメールは来ていなさそう?」 「そう……ですね……。他のアカウントからのDMも、似たような画像が送られているだけのようです」 「そうか……それなら、良かった。……だが、万が一の事を考えて、加納さんは1人で行動しないようにな?必ず持田さんか間宮をつけて行動してくれ」 「分かりました。気をつけますね」 滝川さんが「そうしてくれ」と笑顔で頷く。 私たちの会話が一段落ついた所で、滝川さんに呼ばれていた男性社員2人は、恐る恐る口を開いた。 「社長、我々は……」 「ああ。朝からすまなかった。仕事に戻ってくれ」 「あっ、スマホを確認して下さり、ありがとうございました!」 「と、とんでもないです!それでは、我々はここで……失礼します」 社員2人は、礼儀正しく頭を下げて社長室から退室していった。 室内には私と滝川さん、持田さんの3人になる。 滝川さんは、私の隣に座りながら持田さんに声をかけた。 「持田さん、資料を持ってきてもらえるか?」 「かしこまりました」 ぺこりと一礼し、持田さんが隣の部屋に消える。 私が「資料?」と不思議がっていると、滝川さんが私に顔を向けた。 「加納さん、1つ相談したい事があるんだが……」 「あ!仰っていた事ですね。私でお力になれる事でしたらいくらでも!」 ぐっと両拳を握り、滝川さんに答える。 滝川さんは優しく微笑みながら、私に分かりやすいよう説明をしてくれる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-24
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45話

「何で……私が、デザインを学んでいるって……」 「以前、話してくれた事があるだろう?」 私は、信じられない気持ちで滝川さんを見つめる。 確かに、滝川さんに話した記憶はある。 けど、あれは……。 「話した時って……私が誘拐された時に……滝川さんが助けて下さった時、ですよね?警察署に向かう車の中での事ですよね?」 あんな、少ない時間での事。 車で向かう道中は、十数分程度だった。 そんな短い間に、話した事を今まで覚えてくれていたのか、と私は滝川さんを唖然と見つめる。 「勿論。さすが、加納家のお嬢さんだ、と思ったんだ。まだ高校に上がる前だったのに、しっかり家の事業を理解して、力になりたいと俺に教えてくれた。高校は、デザインを学ぶ学校に行ったんだろう?」 「──そう、です……。本当に、よく覚えてくださって……」 「恥ずかしい話……。俺は当時、家の事が嫌だったんだ。だけど、加納さんは俺より年下だったにも関わらず、しっかり自分の将来を見つめて、受け入れていただろう?凄く印象に残っていたんだ」 「な、何だか恥ずかしいです……。あの時は今より全然幼くて、子供で……。世間を知らなかったですから」 「それでも。加納さんのデザインの腕は確かだろう?いくつも賞を取っていると聞いた事がある」 まさか、滝川さんが知っていてくれたなんて。 私は、溢れ出そうになる感情をぐっと拳を握り締めて耐える。 それに、まだ学生だった頃の私の話を、滝川さんが真剣に、真摯に受け止めていてくれていたなんて、と私は視界が滲んでいくのを感じた。 きっと、瞬も覚えていない。 私がかつて、何が好きでどんな趣味を持っていたか、なんて。 長年側にいた瞬ですら忘れてしまっている私の特技を、デザイナーになりたかった、という夢も忘れている。 滝川さんは、ぎゅっと拳を握る私を優しい目で見つめながら、持田さんから受け取った資料を指差して、1つ1つ説明してくれる。 「この資料は、外注してデザインしてもらった物だ。……加納さんの、率直な意見を聞きたい」 「私の、率直な意見ですか……?」 「ああ。変な忖度はしないでくれよ?ありのままを言葉にして欲しい」 滝川さんの真剣な表情と、声に促された私は、広げられた複数のデザイン画に視線を落とす。 滝川
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-24
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46話

◇ 時間は、少し遡り──。 心が滝川と一緒にエレベーターに乗り込んだ時間帯。 瞬は、人垣を掻き分け、エントランスの中心部に出る。 周囲はこの会社の社員ばかりしかおらず、他社の社長である瞬がこの場にいるにも関わらず、社員の視線と興味は心と滝川の2人に向いていた。 「滝川社長、凄い美人を連れていたな?」 「もしかして、お付き合いしてる方か?婚約者!?」 「滝川社長は仕事が恋人かと思っていたが…あんなに綺麗な彼女…いや、今後は奥様か?あんなに綺麗な方がいらっしゃったとは…」 「美男美女でお似合いだよなぁ」 ざわざわ、と社員達は浮き足立ち、心と滝川の噂話をしている。 「…何が、奥様だ。ふざけた事を……」 瞬は無意識に握り締めていた拳からそっと力を抜く。 「ふざけるな。心は俺の婚約者だぞ…?それを、滝川涼真の婚約者?妻?ここの社員は揃いも揃って頭がおかしいのか」 苛立ちを表すように、瞬の踵がガツガツと音を立てる。 周囲の社員達は噂話に夢中で、誰も瞬の発言など耳に届いていない。 心と瞬は、婚約破棄が済んでいる。 そもそも、瞬が先日ショッピングモールで心に言い放ったと言うのに、瞬はつい先日に自分で告げた言葉をすっかり忘れていたのだ。 それ程、頭に怒りが登っている。 「心は、俺のものだ──」 例え、離れたとしても。 「俺が心を愛さなくなっても、心は俺の事をずっと愛してる…。滝川涼真なんかが心を妻にできるはずがないだろう」 瞬は、エレベーターに乗り込み、上昇に伴い変化する文字をじっと睨みつける。 (そうだ…。今日は、滝川涼真に話をするついでに心を連れて帰ればいい。俺がわざわざ心に声をかけてやれば、心だって喜ぶ) 瞬は自分の口角が上がっていくのを感じる。 (家には…麗奈がまだいるが、麗奈をホテルに移動させて…家にはもう麗奈はいないと知れば、心だって戻ってくる気になるかもしれない。心は結局俺から離れる事なんてできやしない) チン、と軽快な音が鳴り、エレベーターの扉が開く。 瞬は軽くなった足取りで、社長室があるフロアに降り立ち、受付で用件を告げた。 すると、受付の女性は申し訳なさそうに表情を曇らせて瞬に答える。 「大変
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-25
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47話

「誰だ…?一般社員か…?」 社員2名の方に顔を向けつつ、瞬が呟く。 緊急の案件の対応をしている、と聞いていた。受付の人間が言っていた事は本当で、それが終わったのか、と瞬が考えていると。 「社長…あの方にベタ惚れじゃないか…?あんなに優しいお顔をしているの、見た事ないぞ?」 「ああ、確かにな。それも、俺たちを呼んだ理由がウイルスのチェックだもんな…。しかも、あの女性の私用スマホだぞ?社員のパソコンがウイルスに感染した時も冷静だったのに、あんなに焦って、心配している社長は見た事がない」 「あの女性、誰なんだろうな?」 「社長の婚約者か、…奥さん?あれ、でもまだ社員はご結婚されてないか。なら、未来の奥様じゃないか?」 などと、談笑しながら瞬がいる待合室を通り過ぎていく。 彼らが興奮気味で話していたせいか、その話し声はしっかり瞬の耳に届いてしまっていて──。 「心が、社長室に…!?」 瞬は思わずその場に立ち上がり、社長室の扉を睨みつける。 社員2人が出て行ったにも関わらず、瞬が呼ばれる気配はない。 瞬はイライラとしながらソファから立ち上がったり、座ったりとしつつ扉から視線を外せない。 「女を社長室に連れ込み、密室で何をしてるんだ…」 自分の権力を振りかざし、無理矢理心を連れ込んでいるのかもしれない。 瞬の思考は、あらぬ方向にどんどん飛躍していく。 「心も心だ。俺が好きなくせに、他の男と2人きりになるなんて──」 瞬が社長室に視線を向けた所で、1人の男が社長室に向かって歩いて行くのが瞬の目に入った。 瞬は、慌てて待合室から出るとその男に声をかける。 「すみません…!滝川社長をお待ちしているのですが」 瞬が声をかけたのは、滝川の秘書、間宮だ。 間宮はすっと表情を引き締め、瞬に向き直る。 そして、キッパリと言い切った。 「申し訳ございません。滝川は本日、急な案件と来客対応につき、時間の空きがございません。また後日、改めてご来社ください」 「──そうは言われましても。私も足を運んだ以上、手ぶらで帰る訳にはいきません。少しだけでも滝川社長とお話する機会をいただけないか、社長ご本人にお伝えいただけませんか?」 「……伝えてまいりますが、恐らく結果は変わりません。それでもよろしいでしょ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-25
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48話

あの秘書だろうか。 瞬がそう考えつつ、顔を上げて視線を扉に向けると。 そこには、秘書ではなく滝川本人が姿を見せている。 周囲を見回し、瞬の姿を見つけると、滝川が表情1つ変えずに瞬に向かって歩いて来る。 「清水さん…約束もないまま、こうして突然お越しになられても困ります」 「滝川涼真……」 「何か用ですか?大事な客人を待たせているので、手短にして欲しいのですが」 滝川がちらりと背後の社長室に視線を向ける。 そんな様子を見た瞬は、こめかみに青筋を立てて滝川に詰め寄った。 「客人?部屋に連れ込んでいるのは、心だろう!?社長室なんかに連れ込んで何を考えている!?心は俺の──」 「元婚約者でしょう?加納さんは既にあなたとは無関係な人です。加納さんが誰と会っていようが、他人のあなたにとやかく言う筋合いはないでしょう?」 「…っ、何を偉そうに…!」 「話がないのでしたら、これで」 瞬の言葉に、滝川は一瞥を向けただけで呆れたように溜息をついたあと、あっさりと社長室に戻って行く。 瞬は、当初ここに来た理由などすっかり忘れ、怒りで頭をいっぱいにしつつ、足音荒く廊下を歩いていく。 乱暴な所作でエレベーターを呼び、エレベーターがやってくるとそのまま乗り込んで帰って行った。 滝川はやれやれ、と小さく呟きつつ社長室に戻る。 すると、滝川から渡された資料を熱心に読み込んでいたはずの心は、ペンを持ち真剣に何かを紙に書き込んでいた。 ◇ 「加納さん」 「──っ!滝川さん、す、すみません熱中してしまって…!」 すぐ側から滝川さんの声が聞こえ、私ははっとして資料から顔を上げて滝川さんを見る。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-26
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49話

「──しまった、話しすぎた。加納さん、お腹は空いてない?もう昼過ぎてる」 ふ、と腕時計に目をやった滝川さんが、慌てたように声をかけてくれる。 滝川さんに言われて、そこでようやく私もはっとして室内の時計に目をやった。 「ほ、本当ですね」 時刻は12時半を少し過ぎたところ。 時間を確認した事で、私のお腹は空腹を訴えるように小さく音を立てた。 静かだった室内に、私のお腹の音が響き、恥ずかしさで真っ赤になってしまう。 「す、すみません…!」 「はは。俺も腹が減ったし、どこか食べに行こうか?それとも出前か何かでも頼む?」 「えっと…良ければ、食べに行きたいです」 「分かった。そうしようか」 「すみません、滝川さんもお忙しいのに」 「大丈夫、気にしないでくれ。間宮、車を回しておいてくれ」 滝川さんの言葉に、間宮さんが「かしこまりました」と頭を下げ、社長室を出ていく。 滝川さんは立ち上がると、慣れたように私を抱き上げてくれて、車椅子に座らせてくれた。 そして、そのまま滝川さん自ら押してくれる。 「そうだな…この辺りだと、和食、中華、イタリアンがあるが、加納さんは何が食べたい?」 「そうですね…和食、ですかね。滝川さんは?」 「奇遇だね。俺も和食が良いと思ってた」 私たちは他愛ない話をしながらエレベーターに乗り込み、会社のエントランスに出る。 朝よりもエントランスに人は少なかったけれど、それでも昼食の時間だからか、人はそこそこ多い。 私と滝川さん、そして少し後ろに持田さんが続いている。 私たちが姿を現すと、ざわりと空気がざわめいた気がして、私は周囲を見回そうとした。 けど、私が顔を上げたところで、持田さんが私に話しかけてきた。 「そう言えば加納さん。あれからSNSにDMは送られてきていませんか?」 「──え、あ、まだ来ていますね」 私は持田さんの質問に、カバンに入れていたスマホを確認した。 すると、画面にはSNSの通知がいくつも届いていた。 私が内容を確認すると、持田さんが「私も一緒に確認してもよろしいですか?」と顔を寄せてきた。 「ええ、もちろんです」 「ありがとうございます」 私と持田さんがスマホを覗き込んでいる間に、滝川さんが周囲に鋭い視線を向ける。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-26
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50話

「しまった。また話し込んで時間を失念していた…。申し訳ない、加納さん。先に家に帰っていてくれ」 はっとした滝川さんが、申し訳なさそうに私に声をかける。 滝川さんの言葉に私も窓の外を見て、こんなに時間が過ぎていた事に驚いた。 「本当ですね、もうこんな暗く…。滝川さんはまだお仕事を?」 「ああ。まだ社に残ってやる事がある。帰りは持田さんの運転で先に帰っていてくれ」 「加納さん、私たちは一足先に帰宅いたしましょう」 「そうですね。お手数おかけしますが、よろしくお願いします持田さん」 私と持田さんはここで滝川さんと別れ、一足先に滝川さんのマンションに戻る事にした。 滝川さんに挨拶をして、社長室を出る。 エレベーターでエントランスに降り、地下の駐車場に出た。 「車を回してきますね。少しだけお待ちください」 「分かりました、よろしくお願いします」 持田さんが車を取りに行く間、私は邪魔にならない場所で待機していた。 すると、誰かが歩いてくる足音が聞こえる。 こんな時間に、会社に戻って来る人もいるんだ。 遅くまでお仕事をしていたんだ、と私が思っていると、その足音は私の目の前で止まった。 「──え」 「やだ、信じられない。瞬に聞いた通りだわ」 まさか、ここで聞く事になるとは思わなかった。 私は信じられない思いで、顔を上げて声をかけてきた人物を見る。 そこには、私が想像していた通りの人物──柳麗奈が、どこか不機嫌そうに腕を組み、立っていた。 「なん、で…麗奈がここに…」 「まったく…私のDMを全部無視するなんてね。…ああ、もしかしてショックで返信できなかったのかしら?それだったら分かる
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