由莉奈は彼を一瞥した。「あなたは……?」「ご連絡させていただきました、藤堂駿介と申します」「どうも、石川由莉奈です」「石川さん、こちらへどうぞ」駿介は体を横にずらし、彼女を中へ案内した。由莉奈は後ろを歩きながら、きょろきょろと辺りを見回す。このような高級レストランは初めてだった。オークション会社のスタッフは、みんな祐一みたいなお金持ちなのではないかと思う。エレベーターの中で、彼女は思わず口を開いた。「ちょっと聞いていいですか?あの銅銭、いくらくらいするんです?」駿介は微笑む。「金額では測れない価値があります」由莉奈は眉をひそめた。――どういう意味?高いの?それとも高くないの?個室の前まで来て扉を開けると、パーテーションの向こうに人影が見えた。駿介が回り込むように進み、由莉奈も後を追う。男の顔がはっきり見えた瞬間、思わず目を見開いた。――祐一に負けないくらいのイケメン。最近、運が良すぎるんじゃない?「坊ちゃん、こちらが石川さんです」駿介が男のそばに立ち、声をかける。男――智宏はコーヒーカップをテーブルに置き、ゆっくりと顔を上げた。鋭い視線がそのまま由莉奈に向けられる。「その銅銭は、あなたのものですか?」由莉奈は一瞬戸惑ったが、うなずいた。「はい」「子どもの頃から持っていましたか?」「え?あなたたち、オークション会社の人じゃないんですか?どうしてそんなことまで……?」駿介が一歩前に出て説明する。「石川さん。私たちはオークション会社の者ではなく、中道家の者です。あなたがお持ちの銅銭は、中道家の家宝なんです」由莉奈は言葉を失った。「か、家宝……?」「はい。私たちはずっと行方不明だった中道家の娘を探しています。その銅銭をどのように手に入れたのか、何か思い出せることはありませんか?」――中道家の娘。その言葉を聞いた瞬間、由莉奈の脳裏に、あの日庭で偶然耳にした会話がよみがえる。あの古びた銅銭が家宝……?どうして父が持っていたの?胸が高鳴った。まさか――自分は石川家の娘だったのか?そう考えた途端、すべてがつながった気がした。――やっぱり。こんなに可愛くて優秀な自分が、あんな田舎の家の娘であるはずがない。由莉奈は表情を抑え、少し迷っているふりをする。「はっきり覚えていません。銅銭は
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