その言葉に、男たちは顔を見合わせてゲラゲラと下品な笑い声を上げた。「そりゃ傑作だな!狂ったところで、死ななきゃどうでもいいんだよ」水琴はハッとして息を飲んだ。相手は血も涙もない悪党なのだ。一般人のような良識や同情を期待した自分が甘かった。すぐに頭を切り替え、別の手を打つ。「よく聞いて。この子は高遠家のお嬢様、高遠灼也の実の妹よ。そして私は静沢家の人間。もし目的がお金なら、黒幕が提示した額の何倍でも払うわ。お金が目的じゃないとしても、私たちを解放した方が身のためよ。黒幕にできることなら、高遠灼也にも必ずできる。できないことだって、あの人ならやってのけるかもしれないわ」相手を寝返らせるための交渉だったが、男たちの顔色に変化はない。水琴は言葉を紡ぎながらも、逃げ道がないかと部屋の構造を素早く目で追っていた。「俺たちを、金積まれりゃホイホイ寝返るような三下と一緒にすんじゃねえ」リーダー格の男が鼻で嗤った。「裏の世界にも掟ってもんがあるんだよ。獲物に買収されたなんて噂が立てば、今後誰も俺たちに仕事を回さなくなるからな」利益での交渉の余地はない。水琴はふっと肩の力を抜いたように見せかけ、今度は声のトーンを限界まで低くした。「……利益で動かないなら、脅しはどう?あなたたち、本当に怖くないの?」鷹のように鋭い視線を射抜く水琴に、男たちが怪訝そうに眉をひそめた。「何が怖いって?」「この子の兄と私の従兄は、南鳥市で絶対に敵に回してはいけない人間よ。もし私たちに少しでも危害を加えれば、あの人たちは南鳥市をひっくり返してでも必ずあなたたちを探し出すわ。あなたたち自身は命を捨てる覚悟があるかもしれない。でも――あなたたちの家族はどうかしら?」予想通り、何人かの男たちの顔に躊躇いの色が浮かんだ。この年代の男なら、家庭を持っている者も少なくない。結婚し、子供ができれば、どれほど荒んだ人間でも心のどこかにブレーキがかかるものだ。水琴は畳み掛けるように言った。「無理な要求はしないわ。この子、紗音だけを解放して」リーダー格の男は一瞬虚を突かれたようだったが、すぐに嘲るような笑みを浮かべた。「俺らみたいな裏の人間が、自分や家族の逃げ道も用意せずに動くと思ってんのか?」水琴は一歩も引かずに彼を睨み返した。「逃げ道って何?海外に高飛び?それともド田舎にでも隠れ
اقرأ المزيد