最初の頃に見せていた冷たく凍りつくような目は、もしかすると賢吾と対峙するために身につけた、この男なりの武器なのかもしれない。少なくとも今のような目のほうが、鷹津には相応しい気がする。 和彦は敵意と嫌悪感を隠そうともせず、鷹津を睨みつける。一方の鷹津は、オールバックにした髪を撫でてから、澄ました顔で切り出した。「この間、俺が言ったことだ。さっさと返事を聞こうと思って電話したときは、お取り込み中みたいだったからな。だからわざわざ、こうして足を運んでやった」「刑事って職業は、暇みたいだな」「ヤクザのオンナのほうは、尻を休ませる暇もないみたいだな」 和彦は、感情を覆い隠した鷹津の顔を見つめた後、冷めた声で吐き捨てた。「そんなことを言うために来たんなら、満足しただろ。さっさと帰れ」「おい、冗談だ。まさか、本当のことを言われて怒ったのか?」 この男が嫌いでたまらなかった。だが、自分一人で追い返せる自信はなく、だからといって護衛の組員をここに呼びたくはない。 待合室を行き来する作業員をちらりと見た和彦は、指先をわずかに動かして鷹津を奥の部屋へと誘導する。 一応、仮眠室となるこの部屋には、すでに最低限の家具が運び込まれている。簡易ベッドに小さなテーブルとイスといったもので、和彦一人が仮眠をとるには十分だ。だが、家具を運び入れた状態で大柄な鷹津と一緒だと、圧迫感を感じる。「――長嶺は、かなりお前に入れ込んでいるようだな。女に店を持たせる……という話はよくあるが、まさか、クリニックを開業させるなんてな。さすが、長嶺組長は豪気だ」 台詞とは裏腹に、鷹津の口調は芝居がかったように皮肉に満ちていた。クリニックの開業については、和彦自身、危ない橋を渡っている最中のため、迂闊なことは言えない。 露骨に聞こえなかったふりをして、イスに腰掛ける。鷹津も深く追及はせず、軽く鼻を鳴らしてから、ベッドに腰掛けた。「長嶺から逃げ出す気はないのか?」 まるで世間話でもするかのように、さらりと鷹津が切り出す。このとき煙草を取り出したので、和彦は睨みつけていた。改装を終えたばかりのこの部屋に、最初に煙
Last Updated : 2025-12-14 Read more