颯斗はあたりを見回した。「そういえば、アルベインはどこにいるんですか?まさか、彼もどこかへ行ってしまったとか?」睦弥は静かに首を横に振る。「いいえ。アルベインはずっとこの街に留まり、療養しています」アルベインの名が出た途端、睦弥の瞳はみるみる曇っていった。睦弥の話によれば、練と颯斗が去ってからのこの一年、彼はアルベインを治療するため、リド大陸中を渡り歩き、名医や秘薬を求めて奔走してきたという。だが、どういうわけかアルベインの傷は癒えるどころか、日に日に悪化する一方だった。「アルベインの病状は悪くなるばかりで……薬代だけでも、相当な金額が必要なんです」睦弥は目尻を赤くしながら語った。「つまり、今夜のオークションはアルベインのため、ということですね」練が問いかける。睦弥は小さく頷き、縋るような眼差しを練に向けた。「牧師様……無理なお願いだとは分かっています。でも、どうか……どうかアルベインを助けていただけませんか」「牧師として、病める者を救うのは聖なる義務ですから。ただ……僕は神ではありません。確かな保証はできませんが、最善は尽くしましょう」その言葉を聞いた瞬間、睦弥の瞳にほのかな希望の光が宿った。「ありがとうございます!アルベインは僕の恩人なんです。たとえわずかな望みでも、諦めたくありません」「そうと決まれば、何をもたもたしてるんですか!」二人の話がまとまったのを見て、颯斗も勢いよく後に続こうとした。しかし次の瞬間、練にガシッと狼の尻尾を掴まれ、脇へ引き戻される。「お前は残れ。ここで留守番だ」練が耳元で囁いた。「留守番?どうして?」颯斗は不思議そうに目を見開く。「別動隊だ。オークションは今夜のメインイベント。お前がここに控えていれば、万が一何か起きた時でも対処できる」颯斗は心配そうに練を見つめた。「でも、一人で大丈夫なの?危険じゃないのか?」「常に意識共有でお前とリンクしておく」練は自分の眼鏡を指差した。「危険だと判断したら、何らかの方法で脱出するよ」そう言い終えると、練は颯斗の頭をぽんと軽く叩き、睦弥と共にその場を後にした。夜の闇に溶け込んでいく二人の背中を見送りながら、颯斗の胸にはなおも不安が渦巻いていた。だが考えてみれば、自分と相棒になる前、練はずっと一人で心界を渡り歩いてきたのだ。つまり、練は決して戦えないわけではな
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