All Chapters of 生神様になったらめっちゃ思い通りになるんですけど: Chapter 71 - Chapter 80

107 Chapters

第71話・続々創造

「これは?」「本当に鳴るラッパスイセン」 黄色と白の綺麗な華は、俺が地球で好きだった花だ。ちょっと地球産のとは違うけど。 軽く足先で触れると、「パパ―!」と鋭い警告音を鳴らした。「なるほど、ラッパスイセンね」「それを乗り越えてこようとする者を、捕縛する、と言うわけか」「そう。正規のルートの他にも、堀にも仕込んでおいた方がいいな。槍はいずれ錆びる。植物は太陽と水さえあれば生きていける。穀倉地帯ってことは、水にも困らないって言うことだろう?」「は、はい」「普段は地面に張り付いて大人しくしてる……侵入者に絡みついて動きを封じる。暴れれば暴れるほど束縛はきつくなる。最終的には絞め殺す」「人が引っかかった場合は?」「大人しくしてれば引っ込む」「なるほど、村人は引っかかっても大人しくしていれば無害なのですね」「ちょっと作ってみるか、な。はいちょっと下がってね」 M端末を抱え、【創造】する。 カッと光が放たれ、青々とした蔦を持った植物が現れた。 軽く石を投げこんでやると、その衝撃に蔦は即座に石に絡みつき……。 しばらくして動かないと分かってへなり、と地面に張り付いた。「さて、何て名前を付けるか……」「シンゴはつけない方がいい、と思う」「何で、レーヴェ」「この花にラッパスイセン、灰色虎にコトラとつけるセンスはちょっと」 レーヴェは言ってチラリ、ヤガリくんを見た。「アシヌスはドワーフが考えたとは思えない程優雅な名前だった」 ……俺のネーミングセンスは壊滅的、って言いたいわけね。そりゃそうだ、魔法の名前をつけなきゃいけないから新しい魔法を作らないでいるんだもの。 でもラッパスイセンは元々こういう名前なんだよ。信じて。「ふーむ……束縛蔦でどうだろう」 ……ヤガリくんネーミングセンス少し分けて。
last updateLast Updated : 2026-01-01
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第72話・選択

 その時、M端末がぴこんっと光った。「ん?」 端末を取り出す。【神威【転移】できる場所が増えたため、新しい神威が使えるようになりました】 新しい神威? 端末をタップする。【神威:帰還/モーメントのどんな場所からでも、原初の神殿に転移できる。この神威は、生神と生神が同時転移するのに同意した生き物しか使えない】「何処からでも、ここに戻って来れるてことか?」「何か?」「ああ、新しい神威ゲットした。何処からでも好きな生き物連れてこの神殿に戻って来れるみたいだ」「へえ。今まで聖域がなければ転移できなかったのに」「元居た場所には戻れなくなるみたいだけど」「それでも、見つけた人たちを連れてここへ戻って来れる」 うん、と頷いた。「よし。じゃあ一回ビガスに戻るか」「生神様?」「村の再生計画は大体できた。あとは住民の皆さんに意見を聞きながら細かいところを調整していくってことで」「村を、再生していただけるので?!」「それが生神の仕事だから」「ありがたい……ありがたい」 村長さんに拝まれても困る。いや、神様だから拝まれるもんなのか? とにかく拝まれた経験なんて皆無だから、どうしたらいいか分からない。「みんなはどうする?」 みんな、とは、ビガスから逃げてきた人たちである。 いくら村を元通りにすると言っても、キガネズミに家族をやられた人だっているだろう。俺の力は人間と呼ばれる存在の【再生】は叶わない。「村に嫌な思い出、悲しい思い出がある人もいるだろ。戻りたくないって人がいてもおかしくないと思う。この原初の神殿は多分聖域の中でも一番力の強い場所だと思うから、可能な限り安全に暮らしたいって言う人を止めることはできないし」「それは……」 村人たちは顔を見合わせた。 ここに辿り着くのも命懸けだったろうし、村で神具を守るのもいつ来るか分からない俺を待つのも大変だったろう。 やっと安全な場所まで来れたのに、村を直すから戻れと言われても、怖いと言うのが本心だろう。無理に帰れとは言えない。 ただ……穀倉地帯と呼ばれるビガスの復興は、世界再生にも影響してくる。人が増えてくると、俺がいちいち食糧を【再生】して回るわけにもいかないし、森エルフの畑だけでは増えていく人口を養えない。ビガスが再建してくれないと正直困ることになる。「私は帰ります」 村長が一
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第73話・安全な場所

「子供だけはどこか安全な場所に残してあげられないでしょうか」 母親が言った。「ビガスが狙われる可能性があって、生神様の守りがあっても、生神様が直々におられることがなければ完璧とは言えないでしょう。子供だけでも安全な場所に置いていただけないでしょうか……」 母親の手を繋いだ子供が不安そうに見上げる。「ビガスを滅ぼしかけたワー・ラットのような魔物や魔獣が再び現れるとなると思うのなら、生神様の御傍に置いていただければ私達も……」「シンゴの傍も、安全な訳じゃない」 ヤガリくんが唸る。「森エルフの泉、ドワーフの無窮山脈。いずれも敵対勢力が戦力を送り込んでいる。森エルフには武器を、無窮山脈がアシヌスを真悟が与えてくれたが、それでも完璧とは言えない。そしてシンゴの傍は一番危険だ。なんせ世界中を再生しなければいけないんだ、敵対勢力と直接戦闘になったりする。おれたち神子が守ってても、三人程度なら守れても子供を見つける度に預かっていては守り切れない」「この神殿はどうでしょう」 シャーナが言った。「邪悪な者はここに気付くことすら出来ません。お子さんを預かるには安全だと思います」「子供が三人だけでいたら、逆に危ないんじゃ……」「……わたくしが、残りましょう」「シャーナ?」 シャーナは胸に手を当てて、一歩前に出た。「ここは生神様が帰っていらっしゃる場所。そしてわたくしは神官長。生神様と生神様が御助けした方を匿う義務があります」「構わんのか」 リーヴェが言った。「生神の神子で傍にいなければならないとあれほど言い張っていたお前が、今更ここに残るのか?」 ……珍しい。 レーヴェはヤガリくんと同レベルに第一の神子であるシャーナと相性が悪かったのに。「今更……ではありません。森エルフの泉を出たあたりから考えていたことなのです」 シャーナは目を伏せる。「わたくしには、敵対勢力と戦うシンゴ様をお助けできるような戦闘力がありません。魔法も回復《ヒール》程度ならば使えますが、恐らくは生神様が使うものには敵わないでしょう。敵対勢力が出てきた時に、わたくしにできることは身を隠すか雲の上で縮こまっていることだけ」「シャーナ」「お傍にお仕えし、戦える神子がこれだけいるのであれば、わたくしはお邪魔でしょう。神官であればこの神殿を守り、神殿にいらした方々をお助けし、シン
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第74話・小さいの

「じゃあ、大人だけでビガスに行くぞ」 夫婦と母親、そしてアンガスさんと、村長さん含めた村に残った六人、計九人がとりあえずビガスに戻ることになった。「お母さん」「ビガスが安全になるまでの間よ」 二人の子供を連れてきた母親が子供たちの肩を抱く。「あんたたちはここで、いい子にして待ってるのよ」「お父さん……」「大丈夫だ。生神様がいらして下されば、いつでも会いに来れる。永遠の別れじゃない。時々様子を見に来るからな」「お子様については安心してください。この神殿には敵対勢力も入っては来られません。わたくしが責任をもってお預かりしますわ」 ふむ。 ここは聖域だけど獣もいるし、安全の上に安全を重ねたいな。 俺は【創造】に神威を重ねて三つのペンダントを作った。 細い銀の鎖に、小さな光る石。「みんなはこれかけててな」「何? これ」「神威【帰還】を一度だけ使えるようにしたもの」 子供の首に下げてやる。「これ?」「困った時、危ない時、神殿にあっと言う間に帰ることができる」 迷子とか、獣とか。とにかく子供は意外な理由で姿を消すことがあるので、危ない時があればすぐに神殿に強制送還させるようにしたわけだけど、神威のこもったアイテムは大体一回きり使い捨てみたいなもんでなあ……。いちいち作らなきゃならないのが面倒だし【帰還】がこもっているから神殿にしか戻れない。【転移】だと何処の聖域に行ってしまうか分からないし。「シャーナは何か要ると思うもんある?」「子供の遊び相手になる物があればよろしいかと思うのですが……」「ふしゅう」 唐突に自己主張したのはブランだった。「動物? つまり、お前らみたいなのがここにいれば安全ってわけか?」「しゅう」「ぅなーお」 コトラも主張を始める。「確かになー……ブランとかコトラみたいな遊び相手になって守ってくれるヤツがいれば、シャーナも相手するの楽になるだろうし」「でも、灰色虎はともかく神驢はシンゴ様がドワーフにお与えになった聖獣。ドワーフの皆様が同意なさるでしょうか?」「構わないと思うぞ」 ヤガリくんが頷いた。「子供の護衛兼遊び相手だろう。アシヌスをそのまま与えるのでなければ誰も文句は言わないと思う」「そうだな。小型のアシヌス……元々小さいけど、ヒューマンの子供の相手できるような大きさで、土を
last updateLast Updated : 2026-01-03
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第76話・元の村

「ひゅう」「なーぅ」 子供の遊び相手になりそうな足太猫と超小型ロバが生まれた。「え?」 子供たちの目が輝く。「おともだちだよ」 俺が言うと、子供たちは恐る恐る小型アシヌスや灰色猫に手を伸ばす。「なーぅ」「ひゅうう」「うわあああ……」 これまで滅びかけた世界で友達なんて考える余裕もなかったろう子供たちは、お腹もいっぱいでおともだちも出来て、すごく嬉しそうに動物たちを撫でたりまたがったりしていた。「後は、再生してくださった神殿の中に図書室とかいうものもありましたの。子供用の絵本もありましたから、きっと楽しく過ごしていただけると思います」「頼むよ、シャーナ」 そして、俺は小声で言った。「友達がいて、飯があっても、やっぱりさみしくなる夜はあると思う。その時は一緒にやってくれ。一人じゃないって、励ましてやってくれ」「一人の寂しさは、わたくしが一番よく知っておりますわ、真悟様」 シャーナは少し陰った笑みを浮かべた。 ……そうだった。シャーナは家族も死んでいく中、生神の降臨を待ち望んでこの神殿で一人孤独と戦っていたんだ。「わたくしは、この子たちを一人にしないと、そう誓いますわ」「……頼んだ」 そして大人たちを振り返る。「じゃあ、子供の安全が確保されたところで、こっちはビガスの再建に行くか!」 シャーナと子供たちに一時の別れをして、俺たちは祭壇からビガスへ【転移】した。 黄色い毛皮と大量の種で覆われた村は、なかなか悲惨な状況だった。 でも、それを何とかするために俺はここに来たんだ。 M端末を取り出して、村に向ける。「まずは……【浄化】」 キガネズミの毛皮や骨がきれいさっぱり消えてなくなる。 何と言うか……更地だなあ。植物系は全部食われたんだろうし、違っても柔らかい材質だったら食われたんだろうし。石の建物が残っているくらい。「じゃあ、こっから【再生】だ」「お願いします!」 村人の目の前で、M端末をセットする。「【再生】……Y!」  ぱぱぱぱぱぁっ! 一瞬光が走り、軌跡が村中を駆け抜け、その後に木造の建物や道や花壇などが残った。「う……おおおおお!」 九人のどよめきが村を走る。「村だ……私も父から聞いただけの、最盛期の村の様子だ……!」「すごい……村はこんなだったのね……」「くそう、ファミナに見せてやりたか
last updateLast Updated : 2026-01-03
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第77話・人手が足りない

 それを一言でいえば、「壮観な光景」だった。 荒れ果て踏み固められた大地が蘇り口を開けそこから芽が出て。 まだ収穫時期じゃないから実までは実らなかったけど、もう豊作確実みたいな? すげえ。 さすが穀倉地帯と言われ、聖域を守って来た地域。畑半端じゃない。これだけあればかなりの人を養えるだろう。……九人でどうやって収穫するのと思いもしたけど。 落ちていた骨の欠片などからは、牛や馬、犬と言った家畜も【再生】して、きょときょとと辺りを見回していた。 堀の辺りが限界になるよう【再生】したんで、堀の向こうの物悲しい荒地と緑豊かな畑の格差は滅茶苦茶激しい。「すごい……生神様、ありがとうございます……!」「いや、まだお礼を言われる段階じゃない」 レーヴェも同じことを考えていたんだろう、難しい顔をしていた。「これだけの耕作地帯で、家畜がいてもヒューマン九人で畑を回せるのか?」「難しいだろうなあ……」 俺が農家の子だったら……例えば耕運機とか、そういう物をガソリンとかじゃなくて神の力で動くような道具とか乗り物とかを作れたんだけど……。 【創造】は駄洒落じゃないけど想像力がなければ創れない。例えば無限の種は、「魔獣の胃袋の中で無限に増えていく種」「魔獣の気を引く臭い」で創れたけど、耕運機は「何処にどう乗る」「どうやって畑を耕す」か全く想像がつかないために創り様がないのだ。「えーと……」 俺は少し考えてから口を開いた。「少ない人数で畑を管理する方法って、何か考えてないか?」「確かに九人全員で働いても、今再生していただいた畑だけでも手入れはできませんな……」 民長も悩む。「とりあえず助けた人を全員ここに連れてきたとしても、畑全部をフル稼働させるためには数十人は連れてこないと……」 悩んでふと端末を見ると、また表示が出ていた。【神威を込めた神具を作ったため、新しい神威を手に入れました】 ああ、子供たち用に創ってみたあのペンダント。それで何のスキル?【神威:神具創造1】 神具創造?【観察結果:神具創造/神の力を宿した神具を生み出す神威。レベルが低い間は一つだけ力を込めた使い捨て神具を創れる。レベルが上がれば複数の神威を繰り返し使える神具を創れる。神具を使えば神ではなくても【神威】を使えるようになるが、誰にでも使えるようにすると敵対勢力や邪な考え
last updateLast Updated : 2026-01-04
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第78話・ゴブリン襲来

「カマキリぃ?」「うん、いや、カマキリじゃなくてもいいんだけど、人間の言うことを聞いて畑仕事とかができる生き物、とか?」「農作業用の生物か」「うん。それならアリかと」「その前に」 ヤガリくんが西の方の荒地に目をやった。 ……土埃?「敵が来たようだ」 ヤガリくんは戦斧を持ち、レーヴェも剣を握る。コトラもブランも鼻から息を吐きだして戦闘態勢満々。「ちょっと時間稼いでくれよ」 俺は端末を持ち直す。「無限の種と束縛蔦を堀とその外側に植える。皆さんは畑の所で身を守ってくれ」「生神様……!」「大丈夫、みんな強いから」 俺は笑うと、【再生】した跳ね橋から、西の方を見た。 土埃は確実に迫っている。敵の軍勢? もうちょっと確実に見えないものか。 俺が目を凝らすと、端末がまた音を立てた。 こんな時になんだよ。【固有スキル:遠視を手に入れました】 何故に今。【遠くのものが見やすくなるスキルです。神威【観察】と組み合わせることで、より遠くのものを安全な場所から確認することができます】 お。便利なスキルじゃん。元々俺目は悪くないけど、それが更によくなった? じっと土埃の発生源辺りを見る。 四十体くらいの……鬼? イメージ的には日本の鬼に似ている。ただヤガリくんより小さいみたいだし全員茶色だし虎柄のパンツじゃなくてボロボロの革鎧に木の棍棒。【ゴブリン・スレイブ:レベル20/敵対勢力に創り出された亜人種、ゴブリン族の奴隷階級。支配者階級の命令を実直に実行するだけの知性がある。緑を憎み、踏み荒らすことを生き甲斐をしている】【ゴブリン・リーダー:レベル50/敵対勢力に創り出された亜人種、ゴブリン族の奴隷を操る支配者階級。スレイブを操って緑を踏み荒らすことを至上の命としている】 スレイブもそこそこ強いけど、リーダーはもっと強いな。でも最低レベルのレーヴェですらレベル55。コトラなんか200だ。 問題は、跳ね橋を越えられることだな。そうすればせっかく【再生】した畑や建物が荒らされる。 やっぱここでとりあえず無限の種と束縛蔦を植えて、万が一防衛線が抜かれても防衛できるようにする。「ゴブリン・リーダーに率いられたスレイブの群れだ。多分ここを踏み荒らしに来たんだろう。みんなはそこで守ってくれ」「ああ。お前はどうする?」「この跳ね橋を守る」 
last updateLast Updated : 2026-01-04
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第79話・蔦の活躍

 土埃がだいぶ近付いてきた。 俺は主にゴブリンズの進行方向に向けて束縛蔦を植え、無限の種を発芽させる。入って来れるのは跳ね橋だけだし、ここに俺が陣取っていればゴブリンズは畑に入れない。 雄叫びを上げながら接近してくるゴブリンズを相手に、コトラやブランはやる気満々。コトラはともかくブランは神子ではないんだが、アシヌスはドワーフを守るために生み出した聖獣。主であるヤガリくんが戦うと決めた以上、ヤガリくんと共に戦うつもりなんだ。……自分で創っといてなんだけど健気な生き物だなあ……。 レーヴェが剣を構え、ヤガリくんは戦斧を肩に担ぎ上げる。「ぎゃしゃあ!」「ぎゅ、ぎゅいっ!」 一番後ろにいる一回り体の大きいゴブリン……ゴブリン・リーダーが指令を出したらしい。スレイブが一斉に襲い掛かってきた。 こっちから真っ先に飛び出たのがコトラだった。「しゃああああああっ!」 俺たちの前では絶対に出さない声でコトラが突っ込んで行く。 スレイブたちは躊躇うことなくコトラに襲い掛かる。 しかし。 コトラは一瞬身を低くした。「しゅううつ」 後ろからブランがコトラの上を飛び越え、目の前のスレイブを前脚で踏みつぶした。 そこへヤガリくんとレーヴェがやってくる。「ゴブリンごときが……」 レーヴェが勢いよく剣を振るった。スレイブの棍棒を持つ右手が宙に舞う。「神子に敵うと思ったか!」 ヤガリくんは戦斧を振り上げ、スレイブを真っ二つ。 やっぱ強いな。俺よりレベル高いしな。俺戦闘レベル30だけど仲間の中で一番戦闘レベル低いブランでも50あるしな。 その合間にコトラは次の獲物の足の腱を切ったり喉笛を切り裂いたり、ブランが踏みつけ蹴り上げして蹴散らしているし、ヤガリくんが斧を振り回して血の雨降らしたり、レーヴェを取り囲もうとするスレイブをレーヴェがあっさり切り裂いたりとか。 うん、オレの出番ないな。 と思ったら、なんせ包囲網が四人だけなので、そこを突破したスレイブズ三体が跳ね橋めがけて突っ込んできた。 だけど。 緑を踏み荒らすのが好きなだけあって、スレイブズはわざわざ緑色の部分を踏みにじりながら走ってくる。 馬鹿だねー。 緑……束縛蔦が一斉に蔓を伸ばした。 ぐにんぐにんと触手のようにスレイブズが縛り上げられる。 スレイブズが暴れるのだから、蔦も本気で捕まえ
last updateLast Updated : 2026-01-05
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第80話・ゴブリンとの戦い

 今までは蔦を植えての援護戦闘だったけど、ここからは俺が直接戦闘するしかないなあ。 端末を消して、代わりに水鏡の盾を左腕に装備する。 戦闘レベル差はリーダー相手だと20ある。でも装備がSSSランクの武器防具だから、そんな苦戦しないとは思うけど。「ぎぃゃああああ!」 うん、ワー・ラットとレベルは同じ。ただし俺はその時から見てレベルがアップしている。もうちょっと動けるかな。 リーダーは針金を巻き付けた棍棒で殴りかかってくる。 ワー・ラットとの戦闘に比べて、ゴブリンの動きはゆっくりに見える。 素早さが違うのか、それともレベルアップの恩恵か。 俺は冷静に盾でその一撃を受けた。  キィン! 水鏡の盾は綺麗に攻撃をリーダーに跳ね返し、リーダーは頭から血を流す。自分の血で興奮したのか、リーダーは血気盛んに攻撃を仕掛ける。 ……うん、盾を何とかして俺の肉体に当てるって考えはないみたいだ。 だったらこのまま防ぎ続けてリーダー自滅を待つって手もあるけど、それだとスキルの盾術だけがレベルアップするだろう。剣術のレベルも欲しいからな。盾に守られて勝ってもなんか情けないし。 ワー・ラットを殺った時のようなあの感覚に囚われるかも。 だけど、生神をするためには敵対勢力と戦える戦闘力が絶対必要だ。こっちを殺すつもりで来ているヤツは、こっちも殺す気でないと到底相手はできない。 まずは。 盾のない方から、と向かって右から攻撃を仕掛けてきたスレイブの棍棒を叩き斬り、その勢いでスレイブの右手まで切り裂く。「ぎゅぎぃおおお!」「はい、とどめ」 一歩踏み出して、右肩に剣を振り下ろす。 そのまま剣はするんと左わき腹まで切り裂いて、スレイブは血痕一つ残さず消えた。「ぎゃお、ぎぃぃっ」 返す刃でジャンプして襲い掛かってきたスレイブを斬り捨てる。 スレイブが消えた後には、怖い顔にプラスして憎々しさを付け加えたリーダーが、こっちを壮絶な視線で睨みつけていた。 こいつは逃げるか? リーダーと言うだけあれば、知性があればここで一体きりで戦えないと判断するかもしれない。だけどこいつを逃がすと後から後からゴブリンがやってくる羽目になるかも。 とどめ、さしといたほうが安パイかなあ。 俺が覚悟を決めたのを悟ったのか、リーダーは後ろに向かってジャンプした。間合いを図る為か。それとも
last updateLast Updated : 2026-01-05
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第81話・蔦の使い方

 俺は畑の方を振り向いた。「うっかりゴブリンがそっち行ったとか、そう言うことはないかー?」 畑にいた皆々様は、ぽかーんとした顔をしている。 ? 何かしたか、俺?「どうしたシンゴ」 きちんと蔦以外の場所を歩いてきたヤガリくんたちが、声をかけてきた。「いや、なんか皆さんが……」「ああ。リーダーはお前が倒したんだろ」「あ? うん」「だからだな」 レーヴェも当たり前のように言う。「リーダー、と呼ばれる魔物は、一般人にはどう頑張っても勝てないレベルだ。我々のような神の力を借りたり必死に訓練してレベルアップを続けた人間でなければ勝てない。それをシンゴ様はあっさりと倒した。だから呆然としているのさ。目の前のこの御方は、戦闘でも間違いなく生神だと思って」「……怯えられてる?」「どちらかと言うと、畏怖じゃないか?」 ヤガリくんも言った。「畏怖?」「生神の力を見て、竦んでしまったんだろう」 納得したようなしないような。 俺は地球……生前と変わったところが何かあるかと考えても、特に何もないと思う。やれることをやっているだけ。困っている人は助けてやれとおじさんが言ってくれた通りにしていただけ。 でも……ワー・ラット……意志疎通できる相手を殺してしまった、と言うのはあるかも知れない。あいつを殺さなければこの村に人が戻ってこれなかったとはいえ、殺しは殺しだ。俺が間違えて誰かを殺してしまったとしたら、それは取り返しのつかない過ちだ。人間は【再生】できないんだ。 人間をあっさり殺せる「神」。だから畏怖されるのかもしれない。歯向かえばあっさり殺されてしまうかもしれないって、そりゃあ竦むよなあ。 ……それだけは心に刻んでおかなければならない、そう思って、俺は堀の下の蔦を見下ろした。 堀の中は一面、束縛蔦だらけ。槍を立てておくより確実に仕留められる。……そういう動植物まで生み出してるんだからなあ。「い……きがみさま……」 民長が恐る恐る俺に声をかけてくる。「あ、ありが……」「礼はいいよ。俺のやらなきゃいけないことだった。それより、安全に蔦を出られる方法を教えておかなきゃな」 俺は足元に生えていた蔦を軽く踏んだ。 あっと言う間に俺の右足に蔦が絡みつく。白き神衣のおかげで痛くもなんともないけど、足にはギッチリと巻き付いている。「こうやって暴れると、
last updateLast Updated : 2026-01-06
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