竜之介は、魂が抜けたように東F区の基地に戻ると、オフィスに丸二日間も閉じこもった。綾子の静かで、しかしきっぱりとした眼差しと、慎吾の落ち着いた守るような姿。それが二本の鈍いナイフとなって、ズタズタになった竜之介の心を繰り返し切り刻んでいた。竜之介はそこでようやく自分の本質に気が付いたようだった。自分は、見当違いの責任感と偽りの罪悪感に縛られていただけの、ただの愚か者だったと。いわゆる全体のため、そして約束のためと言いながら、愛する人を犠牲にし続けた臆病者。そして、何が正しくて、何が間違っているのか。そんな簡単な感情さえも見えなくなってしまった、盲目な男だった。そして、それに気が付くと、かつて命よりも大事だと思っていた名誉や指揮官としての責任、輝かしい未来、全てが、今となってはひどく皮肉なものに思えた。だって、それらは全て、綾子が流した血と涙、そして、何度も彼女を切り捨ててきた、その犠牲の上に築かれたものだったからだ。さらに、自分の胸につけている勲章は、どれもこれも、綾子の忍耐と苦しみによって得られたものだ。そう思いながら、竜之介は金庫を開けると、前から準備していた書類を取り出した。それは、自分の行いを全て告発する、詳細な報告書だった。そこには、私情を優先し、職権を乱用して綾子の正当な異動願いを却下したことが、正直に記されていた。個人的な約束を守るために、綾子を何度も危険な状況に追い込んだこと。そして、その過程で状況判断を大きく誤り、指揮官として不適切な判断を下したこと。そして、管理能力の欠如から、美咲の犯罪行為を長い間見過ごし、結果的にそれを助長してしまったこと。部隊に多大な損害と死傷者を出してしまったことまで、全てが書かれていた。そして、彼はそこに自分の名前を書き、拇印を押した。それから竜之介は、最も公式なルートを使い、この報告書を提出した。美咲の事件と、自らの職務怠慢に関する全ての証拠資料も一緒に、監察委員会本部と国連PKO部隊司令部へ送ったのだ。竜之介は自分のために一切弁解せず、ただ公平な判断が下されることだけを望んだ。この報告書は、大きな波紋を呼んだ。美咲の件で、竜之介の評判はすでに地に落ちていた。しかし、彼自身がこれほど徹底的に罪を告白したことで、誰もが衝撃を受けた。調査はすぐに始まり、ま
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