南條の腰が小さく浮いた瞬間、伊吹は唇を離した。名残惜しさが舌に残る。それでも、ここから先は慎重でなければならないと、頭のどこかで理解していた。南條は荒い息のまま、片腕で目元を覆っている。喉が上下し、胸が大きく波打つ。その無防備な姿を見て、伊吹の胸の奥がきつく締めつけられた。壊したいわけじゃない。奪いたいわけでもない。ただ、ちゃんと触れて、ちゃんと感じてほしい。伊吹はベッドの上で体勢を変え、南條の脚の間から、そっと後ろに回り込んだ。身体を横向きにさせ、背中に胸を重ねる。南條の背は、思っていたよりもずっと華奢で、触れた瞬間にぴくりと反応した。「…大丈夫ですよ」耳元で囁くと、南條は短く息を吐いた。否定の言葉はない。その沈黙を、伊吹は肯定として受け取った。腕を伸ばし、腹部を包む。下腹部に触れると、すぐに指先に熱が伝わってきた。だが、そこにはあえて触れない。今は、違う。伊吹の指は、ゆっくりと太腿の内側を撫で上げていく。何度も、何度も、同じ場所をなぞる。焦らすように、けれど確実に。「…そこ、そんなに緊張しなくていいです」そう言いながら、指先をさらに内側へと進める。南條の身体が、わずかにこわばるのが分かった。初めて触れられる場所への、戸惑いと恐怖。そのすべてが、背中越しに伝わってくる。伊吹は一度、動きを止めた。「無理なら、言ってください」しばらくの沈黙のあと、南條が小さく息を吸う。「……止めたいとは、思ってない」その声は震えていた。だが、確かだった。伊吹は喉を鳴らし、再び指を動かす。ゆっくりと、円を描くように撫でる。触れ方はあくまで優しく、押し付けることはしない。南條の身体が慣れるのを待つ。最初は、ただの違和感だったはずの触感が、次第に別のものへと変わっていく。南條の呼吸が乱れ、腰がわずかに逃げる。その動きに合わせて、伊吹は指の動きを変えた。「……っ」小さな声が、確かに聞こえた。伊吹の胸が跳ねる。今のは、苦痛ではない。戸惑いの奥に混じった、確かな反応だった。「今の、嫌じゃないですよね」問いかけると、南條は答えなかった。だが、身体は正直だった。逃げる代わりに、微かに力が抜ける。その変化を、伊吹は見逃さなかった。指先に、ゆっくりと圧をかける。最初は浅く、慣らすように。南條は息を詰め、シーツを強く握る。「……伊吹」初めて、名前を呼ば
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-23 อ่านเพิ่มเติม