「んぅ……ッ!?」 突然の事に、音羽は驚き口を薄っすらと開けてしまった。 すると、僅かに開いた唇の隙間から冷たい水が流れ込み、無意識の内にそれを嚥下した。 こくこく、と音羽が水を飲むのが分かり伏見はほっとする。 音羽が全て水を飲みきった事を確認した伏見が唇を離すと、音羽は追いかけるように伏見に顔を寄せた。 「──っ、」 「もう少し……ください……」 とろんとした音羽の瞳。 伏見は先程までの熱が再びぶり返すような感覚に陥ったが、必死に理性を総動員して「抱いてしまいたい」という衝動を何とか抑える。 「分かった」 こくり、と頷いた伏見は再びペットボトルの水を自分の口に含むと、音羽に顔を近付ける。 伏見の顔が近付き、音羽はとろんと落ちそうになっていた瞼を伏せ、口を開いた。 (──ああ、くそっ) 伏見は胸中で嘆き、音羽の後頭部に自分の手を回して引き寄せた。 ◇ ペットボトルの中身が半分程になるまで、口移しで水を飲ませてもらった音羽。 キスがこんなに心地良いものだとは思わなくて。 音羽がぼうっとする頭のままされるがままになっていると、水を飲み干した音羽の口内にするり、と伏見の舌が入り込んだ。 ぴくり、と音羽の肩が震えたが、伏見の舌が入り込んでも音羽は嫌な感情など微塵も湧かず、目を閉じて受け入れる。 先程までの暴力的な快楽ではなく、優しい口付けが音羽はとても心地よかった。 舌を絡め合っていても、いやらしさや艶めかしい雰囲気にはならず、ただただ優しくキスが落とされる。 「──音羽」 「……ふっ、……蓮夜?」 唇を離した伏見が、何とも言えない表情で音羽の名前を呟く。 ぽやぽやとした頭のまま、音羽はただ伏見をじっと見つめ返す。 その音羽の表情に、伏見は何かに耐えるようにぐっと眉を寄せると咎めるように声を低くした。 「少しは、抵抗してくれ……。簡単に体を許してくれるな……」 「抵抗……」 「ああ。こんな風に……望まぬ行為をされてるのに無抵抗でいたら駄目だ。しっかりと拒絶しろ」 「望まぬ行為……」 音羽は、ぼんやりとした目で伏見に言われた言葉を復唱する。 そんな音羽の様子を見て、伏見はやり過ぎた、と頭を抱えたくなる。 確かに我慢出来なくなって、音羽に色々してしまった自覚はある。 だが、もっと本気で拒絶してくれないと──。
Huling Na-update : 2026-03-19 Magbasa pa