「どうやって…入ったんですか?」 「言ったろ?兄貴のマンションなんだから、鍵くらい持ってるってこと」 龍之介より線の細い、美青年…といった雰囲気の蔵之介。 組んだ手も足も細く見えるが、このマンションに移動する時、部屋を訪ねた時の裸の上半身を思い出す。 …極道というよりモデルみたいだけど、この人もいざという時は戦うんだろうから、きっと鍛えているのだろう。 そう思ったら、室内で2人でいることに息苦しさを感じた。 じっと見つめられて、心臓が妙な速さで拍動し始める。 …大丈夫。 苦しかったら、そっと後ずさりをして、玄関を出ればいい。 ソファに座る蔵之介と、リビングの入口に立つ自分には距離がある。…手を伸ばしてすぐに届く距離ではない。 大丈夫…自分に言い聞かせた。 「何やってんの?遠慮しないで入っておいで。別に、何もしないよ?」 組んだ手と足を解いて、前かがみになって桜を見つめる蔵之介。 「い…いえ」 辛かったら逃げていいんだ。…そうやって逃げ出したからこそ、今私はここにいられるんだから。 そう思うのに、ふいに足の力が抜けた。めまいを感じて、その場に崩れ落ちる。 「え…ちょっと、桜ちゃん…大丈夫?」 近寄ってきた蔵之介に、思わず強い視線を向けてしまう。 「…そんな目で、見る?」 「すいません、近寄らないでもらえますか?」 「でも、冷や汗かいてない?」 言ってから、その理由が自分にあると気づいたらしい。言われた通り、桜に近寄らないように壁に張り付いた。 「もしかして、男嫌い?…」 「過去にいろいろあったせいです。…それより」 意外にもこちらの様子を気にかけてくれて…それは龍之介より気遣いを感じるほど。だから、用件を聞く余裕ができた。 「私に用があるって言ってましたよね?どんな用件ですか?」 もしかしたら…Black Roseを抜け出してきたペナルティが課せられるのかと思った。 あの店に連れて行かれ、店長と面接して小部屋に入れられ、売られるまで丸一日世話になった。その間の食事代や光熱費を取るというなら、納得だ。 与えられたのは、コンビニのパンやお菓子、おでんのゆで卵、水…といった、栄養バランスも何もない食べ物ばかりだったけど。 「桜ちゃん、龍之介とはどんな関係なの?」 「関係…」 考えたこととまったく違う事を言われ
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-02-19 อ่านเพิ่มเติม