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25.傷だらけの逢瀬

Auteur: 桜立風
last update Date de publication: 2026-03-13 10:02:05

何の疑いもなく、黒い車に近づく桜。

ボンネットの前に立ち、正面からフロントガラスを見た。

…途端に笑顔になる。

後部座席を示され、乗り込んだ途端走り出した。

「…お久しぶりです。あの、前に屋敷に来られた時…動揺しててろくに挨拶もできなくて、すいませんでした」

「いえ…そんなことはまったく、気にしないでください」

車は信号に引っかかることなくスムーズに進む。和哉はさらに申し訳なさそうに言った。

「遠くないホテルなんですけど…万が一を考えて、少し遠回りします」

高速道路に乗り、速度を上げていく車。

「2つ目のインターを降りて、引き返しますね」

チラチラバックミラーを見るのは、桜の様子を伺うためではないのがわかる。今回龍之介が撃たれた事件に関わる、敵対する組織を警戒しているのだろう。

それでも、和哉は桜に緊張感を悟られないよう努めてくれた。

「何か、音楽をかけましょうか…普段、どんなのを聴きます?」

「音楽…」

そういえば、そんなものを楽しんだ経験がない。父親が観ているテレビから聞こえる音楽を耳にしたことはあるけど、それがどんな人の何という曲なのか、興味を持ったこともなかった。

「龍之介さ
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
yuu
良かった。 ようやく二人だけの時間だね。
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