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Alle Kapitel von 侯爵家の婚約者: Kapitel 91 – Kapitel 92

92 Kapitel

番外編 結婚前夜

 19歳になったカインは緊張で眠れない日を過ごしていた。 特にこの3日は、空が白々むまでまんじりと過ごしている。 カインは、明日の朝のためにと用意された婚礼衣装と向き合ったまま、何時間も過ごしていた。 ――ついに明日。 カインは、今夜何十回目かの深呼吸をしてみたが、やはり落ち着かない。 昨年のあの夏から季節は2回変わった。 あの日、カインは膝をつき、ジルダのスカートに口付けをした。 貴族の正式な求婚の儀式だ。「ジルダ――僕と……僕の……」「はい。承りました」 カインが言い終える前にジルダが答えた。 カインは顔を真っ赤にして立ち上がると、ジルダの小さな両肩を掴んだ。 まだ涙の渇ききらない頬が、キラキラと輝いてるように見える。「さっ、最後まで言わせてくれ!」「言われるまでもなく、婚約は10年以上も前に成立しておりますし」「そうだけど!……そうだけど、そうじゃなくて……それに、承りましたってなんだ!」 ジルダが答えると、カインは恥ずかしさでジルダを発作的に抱きしめて、ジルダの顔を自分の胸に埋めさせた。「改めて口にすることで伝わることもあるだろ……」「そうですか――そう、ですね」 ジルダは、手持ち無沙汰な両手でカインの背中を抱いた。「では、聞かせてくださいまし」「……」 カインが求婚の言葉を発する事ができたのは、それから一刻ほど経ってからだった。  いつも通りの魔力吸収は、とても楽しみな習慣になっていた。 ジルダの態度は相変わらず澄ましたものだったが、カインにはそれがなぜかたまらなく可愛かった。「カイン様――おやめください」 カインの左手を握って魔力を吸収するジルダの頬を、カインの右手がつつく。 なぜ、あの頃の自分はジルダの事をあんなにも嫌っていたんだろう。こんなにかわいいのに。「カイン――いい加減にして」 ジルダが睨むと、カインは嬉しくて笑ってしまう。 澄ましたジルダも可愛いが、怒ったジルダも可愛い。 カインの右手が、ジルダのほつれた髪を巻き取ると、ジルダは照れたように頬を薄桃色に染める。 そんな毎日が、カインにはたまらなく幸せだった。「カイン、明日は大事な日だと言うのに――」 いつまでも部屋の明かりが消えていないのを察して、侯爵が扉を開けた。「父上――すみません」 叱られた子供のような表情のカイ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-08-21
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番外編 お役目の日

 石畳で整備された道を、小さなジルダを乗せた獣車がゆっくり走っている。 出かける前にカインの魔力を食べさせた草竜は、機嫌よく貴族街を進む。 あれよあれよと決まった、婚約と同時に贈られた獣車にはまだ慣れない。 母や姉が社交に使うからと、ジルダから取り上げようとしたが、父であるシトロン伯爵が烈火の如く怒っていたのが印象に残っている。 エスクード侯爵家の家紋が刻印された獣車で、奥方や姉が社交に出かけたらどういうことになるかを、伯爵はよくわかっていた。「ジルダ!今日もありがとう。今日は何をして遊ぶ?」「その前に、魔力の吸収をしないと……」 ジルダの到着に、車寄せで待ち構えていたカインが大喜びで迎えると、ジルダは困ったように笑って答えた。 カインはジルダを連れて、カインの子供部屋へ連れて行った。 寝室とは違い、室内には柔らかい絨毯が敷き詰められていて、靴を脱いで遊べるようになっている。「今日はここでしよう。あとからロメオたちも来るんだ」 カインの無邪気な明るい笑顔に、ジルダもつられて顔が緩んだ。 しかし、まだひきつれた不器用な笑みは抜けない。 絨毯に座ったカインは、ジルダの頬を両手でつねった。「こうやって笑えばいいんだよ」「ひ……|ひたい《いたい》……」 ジルダが言うと、カインはすぐに手を離した。 頬を抑えて、自分を不可解な目で見るジルダがたまらなく可愛かった。 魔力吸収は4度目だった。 魔力暴走の後は、カインも魔力が落ち着いていたので10日ほどは、ジルダの役目は来なかった。 やがて呼び出されてから、5日、3日と日を縮めたのだ。「5日でもいいと思いますが」「僕はジルダに会えるなら毎日でもいいよ」 3度目の時にジルダが提案すると、カインがすかさず言ったのを、エスクード侯爵は困った顔で見ていた。「では、魔導士様の言ってた3日に1度にしましょうか」「君に負担にはならないか?」 ジルダの提案にエスクード侯爵が申し訳なさそうに答えたが、だからと断っているわけではないことは7歳のジルダにもわかる。「これからもお迎えに来てくだされば大丈夫です」「わかった――もちろんだとも」 エスクード侯爵家から、ジルダに合わせたかわいい獣車と御者が送られてきたのは、翌日のことだった。「じゃあ、魔力を吸収しますね」「ダメだよ!」 ジルダが立ち
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