今日も、いつものように放課後の美術室へと向かった——はずだった。「……」 でも、咄嗟に扉の前で立ち止まる。 中から微かに声が聞こえてきたのだ。 聞き覚えのある落ち着いた男子の声と、どこか甘さを帯びた女子の声。 中を覗くと、南条と……あの日、俺に話しかけてきた女子生徒がいた。 彼女は、南条の隣で寄り添うように椅子に座っている。「——はるくん、最近変わったね」「……変わった? ゆいの勘違いだろう」「えー、勘違いじゃないよ。なんか最近、雰囲気が柔らかいし」 言葉のやりとりだけを追えば、なんでもない会話かもしれない。でもふたりの距離感に、妙な胸騒ぎを覚えた。 近すぎる。肩と肩が触れそうなくらい近い。そんな距離で、笑い合っているのだ。 彼女は——ゆい、というらしい。あの時の女子生徒。 やっぱり、南条とはそんなふうに話せる存在だったんだ。 言辞を知ってしまった今、胸が小さく音を立てるように痛む。 理由はうまく説明できない。この光景を見たくない。それなのに……どうしても目を離せなかった。「ゆい、吹奏楽部の方は行かなくていいの?」「うん。今日は自主練らしいから、最初からこっちにいようと思って!」「……そうなんだ。じゃあ、一緒に描こうか」「うん! その前に、ちょっとお手洗い行ってくるね」「あぁ」 彼女が立ち上がる。それと同時に、俺も咄嗟にその場から離れようとした。 こんなふうに見ているなんて、知られたくない。というか、見てはいけないものを見てしまったような気がしていた。 でも、間に合わなかった。 扉が開き、女子生徒が出てくる。 俺の方を見て一瞬だけ表情を無にしたあと、言葉ひとつ発さずに手招きしてきた。 その自然な動きはまるで、最初からそうしようと考えていたみたい
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