校舎裏には、いつも通り誰の姿もなかった。 沈みかけている陽射しが、柔らかく地面を撫でている。 遠くで鳥が鳴いているのが聞こえた。けれど、この場所に流れる空気だけは張り詰めたまま、ぴくりとも動かない。 その静けさの中で綾瀬が一歩、俺の前に進み出た。 その隣に、有理がそっと並ぶ。 先ほどよりも、ふたりの表情はずっと真剣だった。目を逸らさずに、まっすぐ俺と南条を見てくる。 「……はるくん、白浜くん」 綾瀬の声は、すこしだけ震えていた。 それでも、はっきりと前を見据えている。 「やっぱり……きちんと言っときたくて。今までずっと、言えなかったから……」 言葉を絞るようにして、スカートの裾をぎゅっと握る。 強く握った指先が、白くなっていた。 「私……はるくんのこと、ずっと好きだった」 その一言が、涙と一緒に落ちてきた。 小さくて、消えそうで、それでも胸の真ん中にしっかり届くような声だった。 「でも……白浜くんが、そばにいるようになってから、はるくんが変わっていくのを見ていた。見たことのない様子で笑うようになって、雰囲気が柔らかくなって……」 綾瀬のまつ毛が、かすかに揺れる。 感情が、まるごと溢れそうになっているのがわかった。 「……私は、自分だけは変わらないって思ってた。ずっと、隣にいる自信があったのに」 その時、ほんの一瞬だけ、綾瀬は南条に目をやる。 でもすぐに、俺を見た。 「だから……白浜くん、お願い。取らないで」 声がかすれながらも、強い意志がこもっていた。 「はるくんを、取らないで……」 その言葉が、胸に深く突き刺さる。 言い返せるはずがなかった。 俺はただ静かに、立ち尽くすしかなかった。 その時—— 「……ずるいよ」 ぽつりと、今度は有理が口を開いた。その声に、思わず顔を向ける。 有理は、ほんのすこしだけ眉を寄せながら、俺を見ていた。 表情は穏やか
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